$世界映画博-ソーシャル・ネットワーク

2010年・アメリカ 


デヴィッド・フィンチャー監督には法則がある。
交互に面白いターンが来る、という法則だ。

『ファイト・クラブ』→『パニック・ルーム』→『ゾディアック』→『ベンジャミン・バトン』→今作

この規則正しさ。
なんという失礼極まりない法則。
となれば、コレは面白いかもしれない。

その軽い期待が確信に変わるまで、5分だった。
冒頭の1シーンで、確証にさえ変わってしまった。

口論で映画は始まる。
これが最高。

何が最高かと言って、すみません、ちょい流れを書いてしまいますが・・・

うら若いカワユスなJDエリカが汚い言葉を惜しみなく吐いてくれるわけなのだ。
Fワード連発。
マニアには堪らない。
マニアって何?

字幕は大人しめだったけれども、普段の日本語の罵倒に置き換えるとよりニヤニヤできるかもしれない。
いわば「シネ」的な言葉の羅列。

相対するマークの、あーだこーだがまた最高。

このド頭の1シーンで主人公のパーソナリティが、紹介しつくされている。
facebookを作ったマーク・ザッカーバーグという人間の狡さ、賢さ、弱さ、幼さ、愛嬌までもが全て詰まっているのだ。

99テイク費やして出来上がったという、このオープニング。
心が鷲掴みにされた。


憤ったマークが席を立つ。
歩く。
小走りに向かっていく場所。

そこから全てが始まって世界へ雪崩込んでいく様が、小川が増水していくような勢いで紡ぎ出されていく。
そして、疾走するように流れていく物語。
それはまさに、あっという間に世界中に広がったfacebookの成り立ちそのものだ。


淡々とした場面であっても時折、圧倒されるような息遣いが画面から流れ出してくる。
大音響の中で、まるで自分がその場にいるような臨場感には高揚すら感じてしまう。

facebookを使っている人には興味深いエピソードや、ニヤリと綻ぶシーンが頻繁に登場する。
facebookを使っていない人にも、静かなる興奮を呼び起こしてくれる映画ではないかと思うのだけれども、どうですか?


ジェシー・アイゼンバーグは、マーク役を演じるために生まれてきたような俳優だ。
話し方が完璧である。
役作りかと思っていたが、『ゾンビランド』でもこのままだった。
天性のオタク喋りなのかもしれない。
これは武器。


デヴィッド・フィンチャー監督には、この作品でアカデミーを獲らせたかった。
1票持っていたら迷わずにコレに投票した。

フィンチャーの法則は我が家だけの言い伝えかと思っていたのですけれども、世界中に広まっているのですね。
となると、次の次にまた期待。


この映画が凄いのは、現在の伝記であるということだ。
偉人の話ではない。
大河ドラマではない。
老いぼれてもいず、今まさに登場してきて常用されているツールを作った人間の話であるということ。

それでいて、ありのままに描かれているように見える。
マーク・ザッカーバーグを神格化してもいなければ、誰かを裁いているわけでもない。

いま、この同時代の中で動いたもの、動き出しているものを捉えてアメリカン・フルコースに仕立て上げている。

その面白さ。
そして、忘れがたい、ラストの愛らしさ。

今回のフィンチャーは震えるような作品を作った。
その公開に同時代に立ち会えて、幸せでした。



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