$世界映画博-メランコリア

『メランコリア』 MELANCHOLIA 2011年・デンマーク・スウェーデン・フランス・ドイツ 


共鳴する。ということがある。
映画を観ていて、入り込むような染み込むような錯覚に浸ることが。

微妙評価を多く目に耳にしていたけれど、これは好きだった。
とても好きだ。

正直、絵画を模した冒頭にはオロオロ。
もしや、『ニーチェの馬』的な作品かとオタオタ。
披露宴だけで長時間に至っては、オイオイ大丈夫かと不安の嵐。

が、いつの間にか虜。

女の危うさや儚さ。
心の病が生み出す混乱と戸惑い。
姉妹それぞれの不安を描いて、描き切る力量は圧倒的だ。


うつ病のラース・フォン・トリアー監督と、先入観を持つと道を見誤る。
今作の不評にまた落ち込んだそうだけれど、そんな必要はない。

キルステン・ダンストをブス子と呼んでいたことを謝りたい。
素晴らしすぎて泡を吹く。
揺らぎの中にある美しさの前半と、達観したような後半と。
うつ病体験の厚みもあって、出色の芝居。

シャルロット・ゲンズブールの感性は、水面のよう。
姉の献身の健やかさ、愛情による錯乱も。

久々のシャーロット・ランプリング、加齢したジョン・ハート、焦燥が冴えまくりのキーファー・サザーランド。
彼ら芝居達人を彩る美術と音楽が、極めて印象的だ。


地球に惑星が近づいている。
衝突しそうな、美しい惑星が。

肝はやはり、そこである。
広げられた憂鬱のシーツに包まれてしまっては、もったいない。

心の病と、天変地異と、家族という一単位と。

ラストに向かう緊迫感と端麗さ。
弦楽奏が織りなす旋律に、耳目が高鳴る。

破滅と解放は表裏一体。
それでもこの物語は、解放と呼びたい。



映画 WOWOW

[関連作品]
『ニーチェの馬』



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