びわ湖ホール声楽アンサンブル第59回定期演奏会モンテヴェルディ作曲歌劇《オルフェオ》を聴いてきた。
びわ湖ホール小ホールの小さい舞台は座席で一杯。それは、声楽アンサンブルの他に、アンサンブル・プリンチピ・ヴェネツィアーニの18人の管弦楽がいるから。
管弦楽の楽器の説明がプログラムに挟んであって、以下の楽器が使用されるらしい。
バロック・ヴァイオリン2
ヴィオラ・ダ・ガンバ3(大、中、小)
コントラバス1
コルネット2
テオルボ1(コルネット持ち替え)
バロックギター(コルネット持ち替え)
サクバット4(4種)
ドゥルツィアン1
リコーダー2
パーカッション1(リコーダー持ち替え)
トリプルハープ1
オルガン1
レガール1(オルガン奏者が演奏)
チェンバロ1
楽器名を並べただけで興奮するわ。主役は声楽アンサンブルだけど、管弦楽への期待も大きい。オペラだし。
管弦楽、合唱が舞台に現れ、舞台が埋まった。座席も完売で小ホール全部が人で埋まった感じ。
冒頭の管弦楽の音楽は激しいけれど、どこかやさしい。古楽器の演奏によるものだろう。また。管弦楽の人のリズミカルな動きもとても気持ちいい。トロンボーンの原型のサクバットの4人4様の動き、リコーダーとパーカッション持ち替えの人のてきぱきとした動き、後で出てくるけど、レガールのふいごの動き、テオルボの長いネックのゆらめきなどなど、視覚的な楽しみが一杯だった。
さて、本題のびわ湖ホール声楽アンサンブル、オルフェオ役のみ舞台前中央にいて、その他の役、合唱は管弦楽の後ろに座り、一部の役は前中央に移動して歌う。
まずよかったのは、音楽の精の鈴木さん。最初から美しく感情のこもった歌を聴けた。これは楽しめると思ったけれど、他のソリストはもう一つだった。オルフェオの五島さんも頑張っているんだけど、音程とか空回りしている感じがした。
合唱はさすがに綺麗でよかった。そんないい合唱団の一員でも、ソリストで出てくるともう一つという感じ。まあ、これは他の合唱団でもあることだけど。
前半のプロローグから2幕まではこんな印象だった。
でも、後半の3幕から5幕は、ソリストも頑張ってくれた。伝令の本田さん、プロセルピナの岩川さんが特によかった。そしてオルフェオの五島さん!芯のある太く力強い声は最後まで衰えることなく、音程もうまくコントロールされて、オルフェオの嘆きが心にしみわたったような気がした。
管弦楽も前半と同じく素晴らしかった。大変息の合ったアンサンブルで、音程は古楽器だけに安定させるのは難しいだろうけど、十分聴かせてくれた。トリプルハープのチターを思わせる素朴な音が強く印象に残った。レガールの風がうなるような音も面白かった。一番好きだったのは、パーカッションの軽快な手さばきと極めて的確な音の出し方。見ていてワクワク、聴いていてさわやか。すばらしい。
指揮は、あまり存在を感じなかった。でも、歌手や管弦楽を引き立てて、バロックオペラを気持ちよく聴かせてくれた。実はとてもいい指揮者だったんだと後で思った。
ということで、前半は多少不満もあったが、後半は大変満足した。声楽アンサンブルの定期演奏会でバロックオペラを取り上げるのは5(6?)回目とのことだけど、また機会があれば是非とも足を運ぼうと思う。