京の「こんにちは。今日は京都コンサートホールでのバイエルン放送交響楽団のコンサートに来ています。」
みや子「バイエルンで、美味い食べ物って何?」
京の「白ソーセージが有名ですね。あとは何といってもビールですよ。」
みや子「ソーセージもビールも本場やね。ところで今日のプログラムって変じゃない?」
京の「そうですね、前半がドボルザークの『新世界より』、後半がリヒャルト・シュトラウスの『ドン・ファン』と『ばらの騎士』組曲です。『新世界より』が前半というのは珍しいですね」
みや子「リヒャルト・シュトラウスって誰よ?ワルツの人?」
京の「ワルツではなくて、20世紀前半に交響詩やオペラで人気を博した作曲家、指揮者です。『ドン・ファン』は交響詩、『ばらの騎士』組曲はオペラの抜粋です。今年生誕150年で、今回のコンサートもそれを記念したものだそうです。」
みや子「とりあえず聴いてみよ。」
京の「それでは会場へ。」
(前半、後半のコンサートを聴きました)
京の「いかがでした?」
みや子「『ドン・ファン』の最後のほうで指揮者が固まってたな。影絵みたいで頭から離れん。」
京の「指揮者が固まって、オケの音が止まって、音がサーって消えていきましたね。オケの姿との見た目もそうでしたが、音楽とも強いコントラストがありました。」
みや子「なんかふわっとした音だったな。」
京の「『大福』みたいな音でしたね。」
みや子「は?『大福』ですか???」
京の「音の出だしはふわっとしていますが、中はしかっり詰まっているというか、迫力満点でした。大福をかじると最初はもちの柔らかく、ねっとりした歯ごたえですが、中の餡子はしっかり甘く重い感じといいましょうか。あ、餡子はこしあんね。」
みや子「わかるような、わからないような・・・じゃあ、『新世界より』はどんな演奏だったの?」
京の「『イチゴのショートケーキ』です。それも、材料を厳選した上質のやつ。」
みや子「は?どういうこと?」
京の「西宮にそういうケーキーを作るお店があるんです。その辺のケーキ屋とテイストは変わらないのですが、いい材料、いい仕事をするとすごく上質な味わいになります。パリの尖ったケーキや、ウィーンの極甘いケーキとも違う、日本の優しいケーキ。今回の『新世界から』はいつも聴く音楽を極めて上質なものとして聴かせてくれました。もちろん、アクセントをつけたり、遅くして雰囲気を変えてはいましたけれど。」
みや子「そのケーキ食べたいな。じゃあ、『ドン・ファン』は?」
京の「『ラーメン』です。」
みや子「なんじゃそりゃ?」
京の「複雑な管弦楽を見通しよく演奏してくれました。私でも音符がわかりそうなくらい。ラーメンは麺が複雑に絡み合っているように見えますが、食べるときはすっきりとすすれますよね。そんな感じ」
みや子「影絵は何?」
京の「海苔ではないかと。ラーメンの具に乗っていることがありますよね。」
みや子「だんだん、腹が減ってきたな。『ばらの騎士』組曲は?」
京の「これは何にしようか迷ったんですけど、『出汁』かなと」
みや子「昆布だしか?」
京の「どちらかというとかつお出汁かな。まあ、どっちでもいいです。いろんな場面の音楽がありますが、統一された雰囲気で、音楽から香りが立ってました。いろんな料理を香り立つ出汁で決めていた、という感じでしょうか。まあ、ちょっと無理があるかもしれません。」
みや子「それにしても綺麗な音楽やった。」
京の「流麗で美しかったですね。『ドン・ファン』の複雑な音楽から、ずいぶんとすっきりした感じがしました。すっきりしたから泣きが入るというか。まあ、クライバーの『ばらの騎士』の実演を聴いた人からすると満足できないかもしれませんが。」
みや子「行っとけばよかったね。」
京の「後悔してます、はい。」
みや子「アンコールのリゲティ『コンチェルト・ロマネスク』はどうだった?」
京の「ジェットコースターみたいなスピード感とスリルのある曲でしたね。これは『栗』です。コクがあってうまいけどイガが落ちてきたら怖いですよね。」
みや子「ぜんぜんわからん。」
京の「リゲティは栗を得たんですよ。栗ゲット、クリ・ゲットぃ、ク・リゲティ、なんちゃって。」
みや子「・・・無理有りすぎ、おやじギャグで落したかっただけか」
京の「ハハハ・・・」
みや子「でも、いいコンサートだったね。」
京の「そうですよね。ふわっと沸き立つ音で、クリアな指揮、管弦楽は指揮者の指示の音をしっかり出しているようなのに、締め付け感がない。オケと指揮者の関係がいいのでしょう。オケは名手揃いで、特にホルンの音に痺れました。また、こんなコンサートに行きたいですね。」
みや子「行きたい!だからまたコンサートに行きましょうーねー」
京の「コンサートに行きましょうね」