おおつ「こんにちは。今日はびわ湖ホールでヴェルディのオペラ《リゴレット》の公演です。」
びわ子「昨日、東京でワーグナーを観て、今日はびわ湖でヴェルディ?忙しいわあ」
おおつ「公演がこの三連休に集中しているんですよ。他にも行きたいものがあったんですが」
びわ子「ところで、《リゴレット》ってどんなオペラなの?」
おおつ「私も初めて観るので、、、女心の歌とか、超有名なアリアがでてきます。大筋は、公爵の道化に隠していた娘がいました。その娘を公爵の家臣にさらわれてしまい、凌辱した公爵に復讐しようと殺人鬼に依頼したら、、娘が殺されていた、という悲劇です」
びわ子「なんのこっちゃ」
おおつ「とりあえず観てください」
(日曜日の公演を観ました)
おおつ「いかがでしたか?」
びわ子「舞台がくるくる回って、白いブロックもこちゃこちゃ動いて目が回ってしもたわ」
おおつ「場面ごとに、回り舞台で装置を回し、白い6つ(8つ?)の白いブロックを動かして、場面ごとに雰囲気を出してましたね。
マントヴァ公の広間は装置を並べて、リゴレットの家は装置を分けて。ブロックの裏は階段だったり、扉だったり、ブロックの組み合わせだけでいろんな情景を作り出してました。
ブロックをきれいに並べると、上が半円形で、月みたいに見えました。そこに、光を効果的に使って、装飾してました」
びわ子「最後はブロックは出なくて暗かったよね」
おおつ「死体袋の中に娘を見つけて嘆くシーンですからね。それまでと一転して、悲劇性を高めていて緊張感のあるいい舞台だったと思います
歌手はどうでしたか?」
びわ子「女の人の歌が凄すぎ」
おおつ「いやー、ジルダのアリア、森谷さんは完璧に歌いましたね。完璧以上。あのアリアをあそこまで声を巧みに操って、聴かせてくれるとは!天にも昇る美しさでした。森谷さんは日本でのオペラデビューだそうで、これからが楽しみです」
びわ子「最初からずっと出てた前かがみで歌っていた人もよかった」
おおつ「リゴレット役の牧野さんも素晴らしかったですね。声は出てるし、道化としての雰囲気、マントバ公への恨みなど性格をしっかり歌で表現してくれました。これ以上ないリゴレットでした」
他も、殺し屋のスバラフチーレ役のビシュニャさん、モンテネーロ伯爵の青山さんなど隙のない配役でしたね」
びわ子「女心の歌を歌った人はどうなの?」
おおつ「マントヴァ公のヌッツォさんですか?悪くはないんですが、もう一つ突抜けたところが欲しいんですよ。あの役にはそういう雰囲気が必要だと思います。まあ、ぜいたくなこと言ってますが」
びわ子「ホンマむちゃいうわ。オケとか指揮は?」
おおつ「美しくまとまってましたね。指揮は躍動感にあふれて、オケもしっかりついて行ってました。合唱も十分。オケ、歌手、合唱が一体となって、しっかりと結びついた、まとまりのある舞台を作り上げていました」
びわ子「いいことばかり言っているけど、何か不満はないの?」
おおつ「あえていえば、舞台がこじんまりとしていたことでしょうか?前日に新国《パルジファル》の大掛かりな舞台を見ていたからかもしれませんが、なんかこう、もっと尖ったところが欲しかったです。照明を横からもっともっと強く当てるとかね。
まあ、新国立劇場の、新芸術監督の、プレミエ公演と較べるのが間違っているのでしょうけど。
あ、最後のジルダの死の場面はよかったです
あとは、オケですかね。もうちょっと音量があってもいいかも」
びわ子「なんだかんだ言って不満が出てくるな」
おおつ「オペラは、歌手、合唱、管弦楽、指揮、演出、装置、照明など、いろんな要素がからまって舞台を作りますから、全てに満足できる公演というのは少ないです。受け手の感性もあります。いいところもあるし、不満なところものある、それがオペラだと思います」
びわ子「そんなもんかいな、あたりを引くにはたくさん観ないといけない、つーことか?」
おおつ「はい、満足できる公演にあたるには、何度もオペラに通うしかありません」
びわ子「じゃあ、あたりを引くために、またオペラを観にいきましょーねー」
おおつ「観に行きましょーねー」