前回、神経痛のトラブルについて少しお話しましたが今日は神経痛と歯科の関係について少しお話しします。
私は歯科医になって25年経ちますが、今までに4種例、同じような原因不明の痛みを経験しました。
それぞれ、上の前歯の裏が痛いという症例です。なぜかその方達すべてが左上の前歯の裏側です。
一人目はそれを理由に来院されました。他の歯科医院で4本の歯の神経を抜いても痛みが消えず来院しました。
いくら歯を叩こうが、冷たい刺激を温かい刺激を与えようが歯は痛くない・・・
粘膜に何かが当たると痛いのです・・・
痛みに関して分からないということは私達にとってプライドが許しません。
でも・・・分からなかったのです。
その方はそれから1年ほどして再来院しました。なんと、大学病院で2本の歯を抜いてきたというのです。痛みは?と質問したところ、ぜんぜん変わらないそうです・・・
もう一人の患者様の痛みも同じようでした。
その方は私のほうから、脳神経内科を紹介したところ、脳に血栓があったとのことでした。幸い投薬療法で事なきを得たのでしたので、一人目の患者様にこのような事例があったと連絡したところ、まだ、痛いけど怖いからいい・・・とのことでした。
あと、同じような患者様を現在も診ています。
その患者様は他の病院で上前歯を治していて、そのせいだ!と主張されていて、結局は三叉神経痛と診断され、歯とは関係ありませんでした。
たまたま、インプラントがしてあれば、そのような患者様はインプラントのせいにします・・・
ここで大切なことは、歯科医は歯からくる痛み以外について確定診断する立場にないということです。検査器具もなく、また用意しても保険での請求は認められません。又、大学でもどこでも歯科医師は神経痛について学ぶ機会がないのです。
ですから、少しでも疑問に思ったら医師にすぐ相談できる体制を取っていることが重要なのです。
ちなみに私の祖母(すでに亡くなっていますが)は、やはり原因不明の歯痛で心筋梗塞と診断されました。
歯の痛みは歯が原因だけとは限らないということはみなさまだけでなく歯科医師も心に刻まないといけないことなのです。