集団的自衛権=アメリカの罠 1 | きなこのブログ

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「1454」 【今読み返す副島本】 米同時多発テロ事件前に発表された、副島隆彦の「集団的自衛権」論をそのまま転載します。 今こそ読み返してほしいと思います。 2014年6月3日
http://www.snsi.jp/tops/kouhou


以下に転載するのは、2001年3月に発売された、副島隆彦著『悪賢いアメリカ 騙し返せ日本』(講談社、2001年3月22日刊)の序章です。今はもう新刊では手に入りません。


この中で副島先生が今、安倍晋三首相が必死になって推し進めようとしている集団的自衛権について持論を述べています。


今、2014年に読み返してみても、全く内容に変更を加える必要がありません。


「副島隆彦の学問道場」では、だいたい10年先んじて日本の言論を先読みしています。

(だから、「先読みしすぎている」ということであまり注目を浴びません)


愛国者と言われる政治家・知識人は、この文章で書かれている「アメリカの罠」にまんまとハマっている。


田母神俊雄氏のような人でさえも石原慎太郎の新党に参加しようと言い出すのだから、この国の言論空間はますますおかしくなっていきます。


以下に副島隆彦著『悪賢いアメリカ 騙し返せ日本』(講談社)の序章をそのまま転載します。


(貼り付け開始)


副島隆彦著 『悪賢いアメリカ 騙し返せ日本』(講談社、1600円)


序章 新たに日本に襲いかかるアメリカの罠


<アメリカが仕掛ける新たな戦略的攻勢>


この一〇年間、日本は、アメリカの金融支配層とその意を受けたアメリカ政府が仕掛ける対日金融戦争(マネー・ウォー)で散々な目にあって、完敗した。


日本の金融法人の大きなところが、次々と、今も私たちの目の前で、ニューヨークの金融会社に買収され、乗っ取られ続けている。


アメリカの金融支配戦略に対抗して、日本の指導者層は、知恵を絞って有効な防御の壁を幾重にも築くほどの能力がなかった。


そのために、日本を守ることができなかった。


日本の指導者層は、ここに至った事態を深刻に反省すべきである。


そして、アメリカは、今度は、まったく別の方角から、日本に戦略的攻勢を仕掛けはじめた。


それは、「日本強制開国」の次の段階とも言うべき新たな対日戦略である。


ジョージ・ウォーカー・ブッシュ新政権は、新しい布陣で「東アジア政策の一環としての日本管理政策」に乗り出した。


アメリカは、過去一〇年間にわたって、これだけ日本を金融・経済で痛めつけたのだから、


「もうそろそろ、少しは、日本を大事にしてくれるはずだ。少しは、攻撃の手を緩めてくれるだろう」


とか


「今度の新政権の東アジア政策の専門家たちは、ほとんどが“知日派”であるから、日本に対して優しい対応をしてくれるだろう」


などという考えは甘い。


そのような幻想を振りまく人々はおかしい。 


アメリカは、次は、金融・経済の分野からではなく、安全保障(軍事)・外交・政治の分野から攻勢をかけてくるのである。


「経済と政治は、互いに貸借を取り合ってバランスするのだ」という、近年、私が確立した大きな考え方に依るしかない。


世界的思考基準では、金融・経済と政治・外交・安全保障(防衛)を、大きく二つに分けて考えることになっている。


したがって対日専門学者もこの二種類に分かれる。


日本は、自力で自国を防衛する力が実際上、無い。


その分を、アメリカの第七艦隊と極東派遣駐留軍の世話になっている。


だから、前者の金融・経済の分野で、日本側の政治家や対米交渉官僚たちが、強い主張や反論をすることができないのである。


<集団的自衛権行使の真意>


今や、ただ一点、「日本は、集団的自衛権の行使に踏み切るべきか、否か」の問題にかかってきている。


私は、この重要な外交問題に対して、はっきりと書く。


日本国民よ、騙されるな。


今度こそは、この一〇年の金融戦争(マネー・ウォー)での大敗北を肝に銘じて、徹底的に用心して対応すべきである。


日本は、集団的自衛権の行使に踏み切ってはならない。


断じてならない。


集団的自衛権のことを、英語で、Collective Self Defense(コレクティヴ・セルフ・ディフェンス)という。


これを「行使する」とは、日本軍(自衛隊)がアメリカ軍と共同軍事行動に出ることを意味する。


国の自衛権 Self Defense Right とは、この地球上のすべての国家が当然に自然に持ち、手放すことのできない、奪われることのできない固有の権利(インエイリアナブル・ライト)である。


このことははっきりしている。


そうすると、この自衛権(国防権)の集団的行使とは、日本が「同盟国」(ally)と共同で戦闘行動を行うことである。


もっと簡単に言えば、日本軍(自衛隊がやがて憲法改正により改組されて、国防軍あるいは、国軍になる)が、アメリカ軍と本格的に共同で軍事行動をすることをいう。 


このことは、いよいよ自衛隊が日本領土外で動き出す、ということである。


アメリカ軍と共同実戦行動をとるということだ。


それこそ、まさにアメリカの思う壷である。


この私でさえ、もうほとんど騙されるところだった。


国家としての日本の集団的自衛権の行使とは、


日本の自衛隊が特定の外国と戦う、


すなわち外国との戦争に突入することを覚悟して、


アメリカ軍と一緒に本格的に行動する、ということだ。


日本軍が日本領海の外側の公海や外国の領土で戦闘行動に出ることを、国民の多数意思として是認する、ということだ。


もっとはっきり書こう。


アメリカは、日本を中国と対立させ、中国にぶつけるつもりである。


日中を分断して、いがみ合わせる。


それで、「漁夫の利」を得ようと考えているのである。


これこそは、二一世紀初頭のアメリカの対日戦略である。


これを「分断して支配せよ!」戦略と言う。


「分断して支配せよ! Divide and rule! 戦略」については、後述する。


日中は絶対に戦ってはならない、同じアジア人同士ではないか


ところが、一方で、すでに、日本国内には新たな合意ができつつあるように見える。


今の日本人の八〇パーセントは、自衛隊あるいは別個の新たな派兵部隊による国連主導の国際平和維持活動(PKO)への参加を、やむを得ないこととして認めつつある。


この流れを変えることはできない。


しかし、このことと、「集団的自衛権の行使」とは別ものである。


絶対に違う。


それを意図的に混同させようとする人々がいる。


私は、ずっと考えていた。


昨年(二〇〇〇年)の秋あたりから、ずーっと考え込んでいた。


どうもオカシイ、と感じてきた。


その経緯を書く。


昨年(二〇〇〇年)一〇月一一日に、アメリカで、新たな対日戦略報告書が発表された。


それは「 米国と日本――成熟したパートナーシップに向けた前進」という名の重要論文である。


この論文は、きわめて重要なのだが、突きつめて解説すれば次のようになる。


アメリカ(の対日政策担当者たち)は、次のように結論づけた。


日本が自力で憲法改正に向かおうとする最近の流れを承認してもよい。


いや、むしろアメリカはそれを好意的に受け止め、後押ししよう。


日本国民は、多数意思で、現行の憲法第九条を改正して、「日本は国軍(国防軍)を持つ。自衛のための戦争は、あらゆる国家が本来持っている権利である」という条文を持つことになるだろう。


ストロングジャパン 強い日本)になりたがっている今の日本人の不満を汲み取ってやろう。


しかし、その際、新たに編成される日本国軍は、これまでの自衛隊同様に、駐留アメリカ軍の指揮下になければならない。


そして、新たに合同軍として動く必要が生じたときには、同盟軍(アライズ・フォース 連合軍とも言う)となり、これが「集団的自衛権の行使」である。


つまり、日本が、アメリカの意思から離れて独自で動くことまでは絶対に許さない、と密かにアメリカの日本管理対策班(ジャパン・ハンドラーズ)たちは考えているのである。


そして、やがてアメリカ軍が台湾海峡有事の際に中国軍とぶつかることになるときに、日本軍を道連れにする計画である。


彼ら対日戦略官僚たちは、今の日本人が、アメリカのやり方に対して、多少イラついてきていることをよく知っている。


日本国内には薄く広く反米(嫌米)感情が広まっている。


アメリカにずいぶんと痛めつけられた、と感じている。


その一方で、日本人はどうやら、国際社会に向かって、自分の声で発言を始めたがっているようだ。


どうやら、敗戦後の五五年間にわたる、アメリコントロールに対する不満が出てきつつある。


この不満を上手にカによる監視と教育と統制、押さえ込み、別のはけ口へ導くために、今度の対日戦略論文が作成されたのである。


その本当の隠された意図は、ただひとつ、日本を中国にぶつけろとい点にある。


アメリカは、日本国内に反中国感情を高めて、中国と対競争させて、アジア人同士でいがみ合わせるつもりである。


そうやって日本人の反米感情を巧妙にそらす策略である。


一挙両得である。


だから、私たちは、今度の新たな悪賢いアメリカの手に乗ってはならないのだ。


同じアジア人同士で戦ってはならない。


東アジア(東洋人)は団結しなければならないのである。


その一方で、たしかに中国も次第に強引な反日になりつつある。


アメリカが裏からけしかけているからだ。


それでも、あんな、今の横柄な態度の中国政府であったとしても、日本は中国と本気でケンカしてはならない。


日本は、一九七八年の日中平和友好条約調印以来の四次にわたる政府借款(政府開発援助)で、合計六兆円も援助している。


それなのに、「ありがとう」とも言わず、「評価する」と言う、そういう連中である。


しかし、それでもなお、日本は中国と真剣に話し合いを続けて、日中両国で東アジア地域(リージョン)全体を率いていかなければならないのである。



日本も自作自演で戦争可能