「ちょっと、あんたの『卯の花』ってちょっと私の『菜の花』とかぶってるのよ!」
「ああ…本当に申し訳ないです。私みたいなあまりカスで出来たようなもんが『卯の花』だなんて綺麗な名前をもらってしまって」
「まったくどうにかしてるわ! 私なんて2月と3月にしか登場できないのに、一緒に並んでややこしくしないで!」
「私もまさか菜の花さんとご一緒することになるとは思わなくて…」
「あんたみたいなもんはちょこっと小鉢にもられてればいいのよ!」
「そんなこと言ったら菜の花さん、あなたもだいたい小鉢でおひたされて…」
「うるさいうるさい!」
「申し訳ございません!」
「ああもう、ラチが明かないわね。ところで今日はどんな料理になるの?」
「味噌汁です」
「え、味噌…汁…?」
「……はい」
「ほんとに?」
「……はい」
「いや、私はいいのよ。おひたしの時とそんなに変わらないから。でもあんた……」
「はい…汁に溶けて消えてなくなります」
「ちょっと…」
「いいんです。これが私の最期の仕事です」
「いいの? 味噌汁に溶けたおからなんて、誰も存在を気づいてくれないわよ?」
「それでも、皆さんの健康のお役に立てるのなら本望です」
「あんた、なかなか粋なところあるわね」
「そんなことないですよ」
「たとえみんながあんたに気付かなくても、私だけはあんたのこと憶えてるから」
「菜の花さん…」
「じゃあいくわよ!」
「はい!」
「みんな抱きしめて!」
「味噌汁の!」
『果てまで!!』
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✳︎菜の花と卯の花の味噌汁
★★★レシピ★★★
- 1おから、油揚げ、菜の花と水を火にかけます。
- 2沸騰したら火を弱めて味噌を溶かします。卯の花に味が付いているので味噌は控えめで。
- 3完成です。
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本日は会社でお世話になったオジ様が定年退職するため送別会があるのですが、お祝いの品でこんなものを買いました。
渡すのが惜しくなって飲んでしまおうかと思ってしまったのは、ここだけの話です。
酔った勢いでその場であけてくれたりしたら嬉しいですね。はははは!
今までのレシピはこちらをどうぞ!