「なあ、聞いてくれよ」
「どうしたんだ」
「おれ、これから蕎麦に乗せられるらしいんだ」
「うわぁ、まじか」
「おれ、何のために生まれてきたんだろう」
「まあそういうなよ」
「お前はいいよな。なんてったってキャベツの千切りと一緒にメインディッシュだもんな!」
「そうだけどさ…」
「ソースぶっかけられてさ、子どもたちからの人気も抜群なんだろうな。俺なんか世間からB級だのなんだの言われてよ、面白おかしく食われるんだぜ」
「でもおれもお前も同じコロッケだ」
「そうだ、同じなんだ。全く同じなんだよ。それなのに世間は俺のことをあざ笑うんだ!」
「落ち着けよ」
「お前だって最初『うわぁ、まじか』って言っただろ」
「…すまない」
「八つ当たりなのはわかってる。でも最後ぐらい許してくれよ」
「ああ、わかってるよ」
「…いや、こっちこそ大人気ないよな。当たり散らしてすまなかった」
「いいんだ」
「同じ油で揚げられたお前は兄弟みたいなもんだよな」
「ああ、おれもそう思っている」
「なあ、もう一度生まれ変わったら、どんな風に食べられたい?」
「そうだな…おれはコロッケパンかな。キャベツとソースとマヨネーズが一緒に入ったりして」
「いいね」
「お前はどうなんだ?」
「おれか? おれはコロッケそばじゃなければなんでもいいよ」
「お前•••」
「ってな、最後まで文句いってすまないな」
「…もし生まれ変わってお前とまた兄弟になれたら……」
「どうした?」
「今度はおれがお前のかわりにコロッケそばになるよ」
「キョーダイ……」
「おっと涙でひたひたになるのは良くないだろ? お前をひたひたにするのは、めんつゆの仕事だぜ」
「ああ、わかってるよ」
「それじゃあな」
「ああ、またいつか!」
『『同じ油の中で!』』
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✳︎コロッケそば
✳︎作り方
- 1麺を茹でます。
- 2★を火にかけます。
- 3お惣菜のコロッケを温めます。
- 4ねぎとわかめを添えて完成です。
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実は私もその一人で、今回作って食べてみたのが人生初めてのコロッケそばでした。
今まで注文したことがなかったのは「いやいや、そばにコロッケはないでしょうよ」と思っていたからなのですが、食べてみてびっくり。
意外とイケるんですよ。
なんていうんでしょう、上手く表現出来ないのですが、なんだか不思議な味わいでした。でも決して悪くないんですよ。
だからといって立ち食いそば屋にいって頼むかといわれたら、うーんどうでしょう、天ぷらの方がいいかなって思っちゃいます。
ただ、それは私がまだまだコロッケそば初心者なだけで、根強く残っているというのは、やっぱりディープなファンが多いんでしょうね。
とまあ、好みは人それぞれなので、気になる方は是非どうぞ。