599冊目 女たちの遠い夏/カズオ・イシグロ | ヘタな読書も数撃ちゃ当る

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ある日突然ブンガクに目覚めた無学なオッサンが、古今東西、名作から駄作まで一心不乱に濫読し一丁前に書評を書き評価までしちゃっているブログです

「女たちの遠い夏」カズオ・イシグロ著・・・★★★
イギリスに住み、娘の自殺という事態に遭遇した悦子は、自分が生きてきた道を回想する。裏切りの記憶、子殺しの幻影、淡く光った山並みの残像―戦後の長崎を舞台に、戦争と戦後の混乱に傷ついた人々の苦しみを、端正流麗な文体で描きあげる。謎めいた構成の背後から、戦後日本の一つの透し図が現われ出る…。

 

先日「充たされざる者」と「わたしたちが孤児だったころ」を読んで、カズオ・イシグロは全て読んだと思ったら肝心のデビュー作を読んでなかった。(´0ノ`*)
ということで、本作はカズオ・イシグロのデビュー作「女たちの遠い夏」(後に「遠い山なみの光」に改題)である。
 

読み終わり、へっ?何じゃこりゃ?って感じだった。

初期の作品だからその後に続く「浮世の画家」「日の名残り」の様な作風だとは予想していたが。。。
 
「浮世の画家」も「日の名残り」も何かが起こる物語ではないが、静謐で抑制が効いた文体で描かれた淡々とした作風が印象的で、両作品とも高い評価ができた。
 
本作も何かが起こりそうで何も起こらないストーリーで、イギリスに住む主人公の悦子(娘を自殺で亡くしている)が戦後(昭和20年後半~30年代頃?)の長崎で暮らした日々を回想録として綴っている。
 
悦子が長崎で出会った、幼い娘に関心を持たず、どこか謎めいている女(佐知子)とその娘との交流と、当時の夫と義父と暮らした日々を、淡々とした作風で描いている。
文体は普通のように感じたが、繊細優雅な行文や神秘的な世界がイギリス本国やアメリカでは絶賛されたようで(訳者あとがきより)本作は王立文学協会賞を受賞している。
 
どうしてもこれ以降の作品と較べてしまい、辛いかもしれないが評価は★3つ(カズオ・イシグロ作品で最低)となってしまった。

この作品自体が悪いのか?訳が悪いのか?はたまた、私の感性が変わってしまったのか?

 

これは「日の名残り」を再読してみる他になさそうである。
 

 

追記:次作で600冊目の区切りを迎える。今まで100冊目ごとに名著と名高い本を読んできた。

過去に読んできた本は次の通り。

 

100冊目 百年の孤独(再読)/G・ガルシア=マルケス

200冊目 人間失格/太宰 治

300冊目 罪と罰/フョードル・ドストエフスキー

400冊目 いつかパラソルの下で/森 絵都  ・・・400冊目と気付かず読んでしまったf^_^;

500冊目 審判/フランツ・カフカ

 

600冊目はあの歴史的超大作に再び挑もうと思う。

暫くブログの更新は出来そうにありません。

何せ全5巻(文庫版)もあるんだもん。(@_@)