505冊目 予告された殺人の記録/G.ガルシア=マルケス | ヘタな読書も数撃ちゃ当る

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ある日突然ブンガクに目覚めた無学なオッサンが、古今東西、名作から駄作まで一心不乱に濫読し一丁前に書評を書き評価までしちゃっているブログです

「予告された殺人の記録」G.ガルシア=マルケス著・・・★★★☆

町をあげての婚礼騒ぎの翌朝、充分すぎる犯行予告にもかかわらず、なぜ彼は滅多切りにされねばならなかったのか?閉鎖的な田舎町でほぼ三十年前に起きた幻想とも見紛う殺人事件。凝縮されたその時空間に、差別や妬み、憎悪といった民衆感情、崩壊寸前の共同体のメカニズムを複眼的に捉えつつ、モザイクの如く入り組んだ過去の重層を、哀しみと滑稽、郷愁をこめて録す、熟成の中篇。


本書は「百年の孤独」「族長の秋」などと共にマルケス作品の中でも特に評価が高く、著者自身も本作を最高傑作と評していた。

ところが、例の如く私にはその良さが理解できない。。。orz


町に越してきた有力者の息子と、貧乏家の娘が町中を挙げての婚礼をするが、処女でない事が分かりその日のうちに実家に戻される。

娘の相手は同じ町の男で、この物語の主人公サンディエゴ・ナサール。

婚礼の余韻も冷めやらぬ翌朝、事態を知った娘の双子の弟達が「サンディエゴ・ナサールを殺す」と会う人たちに言い触らし、殺人予告は町人の多くが知ることとなる。

が、予告されたにもかかわらず、ナサールはあっけなく兄弟の肉切包丁でめった刺しにされ殺されてしまう。。。

というストーリー。


この物語は実際に起こった事件をモチーフにしたルポルタージュ風のフィクションで、ノンフィクション・ノベルと言われるカポーティの「冷血」や三島の「金閣寺」と同じ手法で、本作ではナサールの従弟(?)が調査した事件にまつわる人々の証言で構成されている。


マルケス作品の例の如く、登場人物多数で、ざっと数えて40人近くが登場する。

本の厚さは薄く、143Pなので長編よりの中編位な感じで油断して読み始めたが、一章読まないうちに誰が誰だか分からなくなり、始めから読み直しながら人名をメモしていった。


マルケス作品に漂う雰囲気、死、生、祭りなどの共同体の村意識を描いた作風は多くの著作と共通しているが、事実を元にした物語だけに「百年の孤独」や「族長の秋」のようなマジック・リアリズム色は薄く理解はしやすい。


しかし、不条理な出来事とはいえ実際に起こった事件がモチーフなのでプロットは現代ミステリィには到底及ばないし、奇想天外な展開がある訳でもなく、倒置法を多用し素朴でごついマルケスらしい文体ながらこれといって感嘆するような文章も無く、私には高い評価の理由が良く分からなかった。


次の作品(歴史的名作)を読み始めてますが、これも理解できるかどうか。。。(-"-;A


予告された殺人の記録 (新潮文庫)/G. ガルシア=マルケス

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