「審判」フランツ・カフカ著・・・★★★★
ある朝、アパートで目覚めた銀行員Kは突然、逮捕される。理由は判らない。正体不明の裁判所と罪を知らないKのはてしない問答がつづく…。「城」「アメリカ」と長編三部作をなす未完の傑作。
祝!500冊!
500冊目の記念に何を読もうかとちょっと考えたんですが、やっぱり歴史的名著、それも以前読んだけど理解不能な含蓄に富んだ物がいいと思い、本作を選択。
フランツ・カフカといえば不条理小説の大御所で、主人公の男が虫になってしまう「変身」は誰もが知ってる名作である。
「変身」はSFだと思えば凡人にも理解できるかも知れないが、この「審判」や、同等に評価される「城」はちっとやそっとじゃ理解出来ない摩訶不思議な不条理な作品である。
再読という事である程度ストーリーは記憶しているつもりだったが、全く憶えなし。。。(;´▽`A``
主人公の銀行員Kは、ある朝突然逮捕されるのだが、容疑が何なのかも分からないし、Kもそれを疑問に思わない。(確か「変身」で主人公や主人公の家族も虫になったことに疑問や驚きがなかったよね)
裁判所に呼び出されるのだが、具体的な場所も分からず、着いてみればアパートの一室で、人でごったがえしている。
そこでKは裁判所の下働きの女を一目見ただけで手を出す始末。
Kは叔父の知人の弁護士を紹介してもらうが、弁護士はKにとって味方なのか敵なのかも分からない態度で、またしてもKは、その場にいた弁護士の助手をしている女に手を出す。
さらに、銀行に融資の相談に来た工場長に、裁判に詳しいという画家を紹介してもらうが、その見返りに絵を買わされたり、有力なイタリア人顧客を街の名所に案内しようと待ち合わせるが来ない為、大聖堂に入ると教誨師と問答を始めたりと迷走が続く。
結局、容疑が何なのか、裁判は開かれたのかも分からないままKは処刑され、死んでしまう。
なんじゃ、これ?、、、やっぱり、理解不能である。。。(´д`lll)
印象的なのは、それぞれの部屋である。
各部屋ごとに変な人間がいて、その人間に主人公が翻弄される。
なんか「不思議の国のアリス」に似た、白昼夢を見ている様な感じである。
カフカは専業作家ではなく、保健局に勤める傍ら執筆活動を続けた人で、生前は評価もされず遺言で友人のマックス・プロートに作品はすべて焼き捨てるように伝えたが、プロートは次々と作品を発表し、カフカは大作家と言われるまでに評価される。
実はこの作品は死後に未完のまま発表された。
結末は書かれているものの、途中の章は何篇かが抜けていて、その章は終章の後にまとめて載せられている。
読めば「この章はこの間にはいるんだろうな」と分かるが、それを入れても不条理は不条理のままで読者は途方に暮れる。
不条理の上に未完な訳だから、意味不明なのは当然と言えば当然だろうか。
もしかしたら、未完が故に高い評価を受けているのかも知れない。
一時期の私の不条理熱も冷め、評価は2段階下げた。
やはり、完成したもう少し理解可能なものが読みたい。。。(;´▽`A``
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