「そして扉が閉ざされた」岡嶋二人著・・・★★★☆
富豪の若き1人娘が不審な事故で死亡して3カ月、彼女の遊び仲間だった男女4人が、遺族の手で地下シェルターに閉じ込められた!なぜ?そもそもあの事故の真相は何だったのか?4人が死にものぐるいで脱出を試みながら推理した意外極まる結末は?極限状況の密室で謎を解明する異色傑作推理長編。
この度の大地震により亡くなられた方々に哀悼の意を表すると共に、被害に会われた皆様に心よりお見舞い申し上げます。
未だ、被害の全容は掴めていませんが、1人でも多くの命と財産が救われる事を祈念いたします。
うちも、東海地震を控えていますが、自然の猛威に対する人間生活の無力さを思い知らされました。
「このミス」1988年版6位の作品。
著者の岡嶋二人は井上泉と徳山諄一のコンビ作家としてのペンネームなんだそうで、マンガでは良くコンビで作品を作る人(ドラえもんの藤子不二雄とか)は聞いた事があるが、小説では初めて。
20冊以上の著書がある様だが現在はコンビを解消している。
読み始めてまず感じたのがその文体。
中学生でもスイスイ読めそうな平易な文章と広い行間隔。
今回私は単行本で読んだのだが、行数を数えてみると本書は18行。
通常は19行が標準な様で、1行の違いだが感覚的にはかなり違い、一目見ただけで読み易そうだと感じる。
粗筋は、若者の遊び仲間男女4人が金持ちの娘の別荘に行くが、その娘が痴話喧嘩の後で車ごと崖から転落し死んでいた。
その後、「お前達が娘を殺した」として、母親に核シェルターに監禁され、密室の中で4人は事件の謎と犯人を推理するという物。
プロットも非常に単純で、スリルも無いが、登場人物が少なく、密室で手掛かりも限られていて、この話をどう結着されるのか興味深く読み進めていった。
成る程、成る程。
昔ながらの王道を行く典型的な推理小説であった。
暴力も無く、登場人物のキャラ、文体、プロットは品行方正の若者向きで、ドロドロとした話(若干惚れた腫れたはある)が嫌いな方、名探偵コナン(見たこと無いけど)が好きな方などにお勧めします。
それ以外の世俗の垢にまみれた方々にはやや物足らぬか。。。σ(^_^;)
- そして扉が閉ざされた (講談社文庫)/岡嶋 二人
- ¥600
- Amazon.co.jp