415冊目 警官の血/佐々木 譲 | ヘタな読書も数撃ちゃ当る

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ある日突然ブンガクに目覚めた無学なオッサンが、古今東西、名作から駄作まで一心不乱に濫読し一丁前に書評を書き評価までしちゃっているブログです

「警官の血」佐々木 譲著・・・★★★★

昭和二十三年、上野署の巡査となった安城清二。管内で発生した男娼殺害事件と国鉄職員殺害事件に疑念を抱いた清二は、跨線橋から不審な転落死を遂げた。父と同じ道を志した息子民雄も、凶弾に倒れ殉職。父と祖父をめぐる謎は、本庁遊軍刑事となった三代目和也にゆだねられる……。戦後闇市から現代まで、人々の息づかいと時代のうねりを甦らせて描く警察小説の傑作。


決算で仕事がちょっと忙しいのと本書が長編だった為、久しぶりの更新となりました。

私にとっては珍しい警察物。


2人の男娼が殺された事件を追って謎の死を遂げた初代、左翼ゲリラ組織に潜入し功績を上げるが、初代の謎の死を探り殉職した2代目、上司である刑事の不正を追及し初代の謎を明かした3代目。


戦後、高度経済成長期、現代に亘る親子3世代の警官の大河小説であるが、文体や展開は素直で非常に読み易く長編の割りに重さは感じない。

初代の部は余りにあっさりしていて、正直退屈であったが2代目から面白くなった。


3世代ともそれぞれの事件、役割を果たしていくのだが、その過程で体験する警察内部のグレーゾーン、正義と悪との境目に苦悩、葛藤する3人の姿を描き、単なる謎ときに終わらない面白さがある。


最近のミステリーが、カラクリやどんでん返しなどのプロットに凝る作品が多い中、本書は昔ながらの真っ当な警察小説という感じでスリルやスピード感は無いものの、読み応えのある評価に違わぬ作品だった。


最近、読書熱が冷めブログ更新も減っていますが、余暇にやる事も無くボチボチと読んでます。

現在、また長編大河物を読んでるので次の更新まで又間が空きそうです。。。m(u_u)m


警官の血〈上〉 (新潮文庫)/佐々木 譲
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