「インド夜想曲」アントニオ・タブッキ著・・・★★★★
失踪した友人を探してインド各地を旅する主人公の前に現れる幻想と瞑想に充ちた世界。ホテルとは名ばかりのスラム街の宿。すえた汗の匂いで息のつまりそうな夜の病院。不妊の女たちにあがめられた巨根の老人。夜中のバス停留所で出会う、うつくしい目の少年。インドの深層をなす事物や人物にふれる内面の旅行記とも言うべき、このミステリー仕立ての小説は読者をインドの夜の帳の中に誘い込む。
なんとも情緒ある題名である。
内容も、題名から想像する期待を裏切らない、素晴らしい作品でした。
先回読んだ「供述によるとペレイラは・・・・・」は社会派作品で全く異なる作風だったが、その前に読んだ「遠い水平線」に近い、少し非現実的な雰囲気が漂うミステリックで内省的な作品である。
インドで毎夜ホテルを替えながら、失踪した友人を捜す男の話なのだが結末は。。。
ネタバレになるので書きませんが、唸りました。
ストーリーも良いが、文章からインドの雰囲気が情緒豊かに伝わってくる。
エンディングがまた洒落てるね~。
昔、まだ私が若かりし頃、本気でインドに修行に行こうと思ってた(今は決して無い)時期があり、人生で一度は訪れたい土地と思っているが本書によってその思いが蘇った。
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