150冊目 その名にちなんで/ジュンパ・ラヒリ | ヘタな読書も数撃ちゃ当る

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ある日突然ブンガクに目覚めた無学なオッサンが、古今東西、名作から駄作まで一心不乱に濫読し一丁前に書評を書き評価までしちゃっているブログです

「その名にちなんで」ジュンパ・ラヒリ著・・・★★★☆

若き日の父が、辛くも死を免れたとき手にしていた本にちなんで、「ゴーゴリ」と名づけられた少年。言葉にしがたい思いがこめられたその名を、やがて彼は恥じるようになる。生家を離れ、名門大学に進学したのを機に、ついに改名。新しい名を得た彼は、いくつもの恋愛を重ねながら、自分の居場所を見出してゆく。だが晴れて自由を満喫しながらも、ふいに痛みと哀しみが胸を刺す。そして訪れる、突然の転機…。

 

 

前回、傑作だの、美人だのとベタ褒めしたラヒリのデビュー2作目の長編です。

 

主人公のゴーゴリはカルカッタ出身でアメリカに移住した両親のもとに生まれ、作家の”ゴーゴリ”にちなみ命名される。

しかし、ゴーゴリ自身はその名にコンプレックスを抱き続ける。。。

もしかしたら、ゴーゴリは同じ境遇で育ったラヒリ自身なのかもしれない。

 

 

本作品も前作「停電の夜に」で特筆された精緻で淡々とした筆致は変わらず、じんわりと読者に語りかけてくる。

 

オチもラヒリらしく心に沁みた。

しかし、本書は長編で、何か事件が起きるでも、刺激的な事があるでもなく、ガングリー一家の半生を淡々と描いている為冗長的なのは否めない。

ラヒリの作品に初めて本書を選んだらたぶん途中で飽きると思う。

個人的にはラヒリは長編よりも短編作家だと思います。

 

 

その名にちなんで (新潮文庫 ラ 16-2)/ジュンパ・ラヒリ
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