「その名にちなんで」ジュンパ・ラヒリ著・・・★★★☆
若き日の父が、辛くも死を免れたとき手にしていた本にちなんで、「ゴーゴリ」と名づけられた少年。言葉にしがたい思いがこめられたその名を、やがて彼は恥じるようになる。生家を離れ、名門大学に進学したのを機に、ついに改名。新しい名を得た彼は、いくつもの恋愛を重ねながら、自分の居場所を見出してゆく。だが晴れて自由を満喫しながらも、ふいに痛みと哀しみが胸を刺す。そして訪れる、突然の転機…。
前回、傑作だの、美人だのとベタ褒めしたラヒリのデビュー2作目の長編です。
主人公のゴーゴリはカルカッタ出身でアメリカに移住した両親のもとに生まれ、作家の”ゴーゴリ”にちなみ命名される。
しかし、ゴーゴリ自身はその名にコンプレックスを抱き続ける。。。
もしかしたら、ゴーゴリは同じ境遇で育ったラヒリ自身なのかもしれない。
本作品も前作「停電の夜に」で特筆された精緻で淡々とした筆致は変わらず、じんわりと読者に語りかけてくる。
オチもラヒリらしく心に沁みた。
しかし、本書は長編で、何か事件が起きるでも、刺激的な事があるでもなく、ガングリー一家の半生を淡々と描いている為冗長的なのは否めない。
ラヒリの作品に初めて本書を選んだらたぶん途中で飽きると思う。
個人的にはラヒリは長編よりも短編作家だと思います。
- その名にちなんで (新潮文庫 ラ 16-2)/ジュンパ・ラヒリ
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