2日で4393万人が弔意 日韓は底抜けの外交音痴 | 朝鮮問題深掘りすると?

朝鮮問題深掘りすると?

初老の徳さんが考える朝鮮半島関係報道の歪み、評論家、報道人の勉強不足を叱咤し、ステレオタイプを斬る。

金国防委員長の逝去報道後わずか2日間で、平壌市内の金日成広場や党創建記念碑、平壌体育館などや各地方都市所在地、国防委員長の現地指導とゆかりのある企業所などに弔意に訪れた人々の延べ数が、実に朝鮮の人口のおよそ2倍に当たる4392万9000人にたっしたといいます。脅威的な数字です。朝鮮の人々の嘆きがよくわかります。朝鮮の人々にとって国防委員長は国家の指導者であるばかりではなくまさに実父のような存在でした。この心情を理解できなくては朝鮮の過去も現在も知る事はできず,従って今後も知ることはできないでしょう。


朝鮮問題深掘りすると?-厳冬をものともせずに哀悼の意を尽くす人々 厳冬をものともせずに哀悼の意を表す朝鮮の人々(金日成広場で)

アメリカや,日本、韓国ではこうした朝鮮の人々の国民感情を何も理解しないまま,今後について論じていますが、それはあたかも作者の訴えようとしていることをまったく理解しないまま、その作品を論じようとする、全くの素人となんら変わりありません。この心情を理解でき無いまま朝鮮の今後を理解できるわけがありません。実際にはその味を経験したことの無いものが、これこれの調味料を使えばこういった味になると論じているのとまったく同じです。


そうした例を日本の「専門家」諸氏によく見られます。それがどのような弊害をもたらすかは韓国の現状が良く見せてくれます。いま韓国では考えられないことが起きています。いわゆる「弔問波動」なるものがそれです。弔問を巡って国論が真っ二つに割れているのです。


多くの民主勢力が弔問を希望しているにもかかわらず、政府は故金大中前大統領の夫人と現代グループの故チョン・モンジュン会長の遺族らの弔問だけを許し,他一切の弔問を許しません。さらに韓国内に弔意所を設けることは国家保安法違反だとしています。


そして北側が韓国政府のこうした措置を非難し、全ての弔問客を受け入れるとしたことを韓国社会の国論を分裂させる謀略だと決め付け、「原則を歪める」、「南南葛藤を誘発させる」と逆に北を非難するという、まったく理解しがたい言動を繰り返しています。司会仮に韓国で世論が割れたと言ってもそれは政府の対北政策の矛盾が生み出したものであって、北側が意図的に作り上げられるようなものではありません。韓国政府の言っていることは身から出たさびの原因絵尾北側に負わせようとする卑怯な態度です。


ところで現政権の言動は過去に金日成主席が逝去されたときに当時の金泳三大統領が取ったときと同じものです。当時金泳三大統領は非常戒厳令を敷き、主席の逝去を利用し朝鮮を追い詰めようとしました。しかしそれは無残に失敗し、現在も朝鮮の人々から人非人と憎しみを持ってゲス扱いされています。



むろん弔意を表明するかどうかはそれぞれ個人の判断であり、それをどのような方法でするかも人それぞれです。それを国家、政府がどうしろというものではないはずです。


朝鮮は弔意を表しに来るのであれば、いかなる者でも受け入れると表明しています。しかし他方で祖国平和統一委員会は25日の朝鮮中央通信記者のインタビューに答えて「韓国当局の今回の弔意訪問の道を塞ごうとする者についてはそれがいかなる者であっても「わが最高尊厳を厳重に冒涜する特大犯罪者として烙印し、末永く許さないだろう」とし、「韓国当局は今回の弔意妨害策動が北南関係に想像を絶する破局的後漢をもたらすことになると言うことを心に刻むべきだ」、「韓国当局の道徳的限界だけでは無く北南関係改善に対する真正性を最終的に検討することになる」と警告しています。


朝鮮のウェブサイト「わが民族同士」は22日付けで「南朝鮮当局の態度を見守るであろう」という論評を通じて「いまや南朝鮮当局がどのような態度を見せるのかによって北南間系が解きほぐれることもあり、完全に終わることもある」と強く警告しています。

10.4と6.15の北南共同宣言を発表し、祖国統一の前途に明るい灯火を照らした一大民族的偉業を成したと言う点から見ても、金国防委員長の死を悼むのは当然のことであり、弔意を表明し弔問に訪れたいとするのは民族的感情からも、また先祖伝来の美風良俗、人倫道徳的見地からしても当然です。


従って同論説は、一七年前の「文民政権」(金泳三政権)の教訓を忘れてはならないとしながら、「同族としての初歩的な礼儀と人倫道徳もわきまえない輩に対してはしっかりと計算するであろうし,高い対価を支払わせる」と強く警告しているのです。


ここまで書いて日本政府の態度を黙認するわけには行きません。日本政府は在日の朝鮮公民(朝鮮籍の在日コリアン)の弔意団であっても朝鮮の最高人民会議の海外代表議員として選出された人物の再入国は許さないとの立場を取りました。明らかな敵対措置です。これも理解しかねないことで、抗議せざるを得ません。


なんと破廉恥な、恥知らずな措置でしょう。在日朝鮮公民の強い反発があっても感知せずということでしょうが、この措置を知って養老猛司氏の「バカの壁」という著作が思い浮かびました。


日本政府がバカの壁を乗り越えられずにのうのうとしているあほな姿が思い浮かんだ次第です。朝鮮は国防委員長の逝去に各国がどのように対処するかを見極めていることでしょう。中国はそれを感じているからこそ周辺各国に朝鮮を刺激するようなことは控えるようにと釘を刺しているのではないでしょうか。


だとすれば日本や韓国の態度は中国をして一層いらいらさせ、不愉快にさせることでしょう。アメリカやロシアはそれを察知しているようですが、日本と韓国は相変わらずの三流外交の癖を抜け切れていないようです。もはやアメリカの意図さえも直接言われなければ察知できないようです。朝鮮のことを知らないでいることからくる底抜けの外交音痴です。