日本はどう思われているか? ①北朝鮮の厳しい日本認識 | 朝鮮問題深掘りすると?

朝鮮問題深掘りすると?

初老の徳さんが考える朝鮮半島関係報道の歪み、評論家、報道人の勉強不足を叱咤し、ステレオタイプを斬る。

お約束していた北朝鮮の日本認識について伝えようと思います。御承知のように日本では事あるごとに、国民感情や世論を盾に敵対的な北朝鮮政策を「正当化」する政府の姿を見ますが、しかし国民感情や世論はなにも日本だけにあるものではありません。北朝鮮にも国民感情はあり、世論もあります。そしてそれは大いに北朝鮮の対日政策に反映されています。しかも北朝鮮が社会主義国であるだけに、国民感情や世論はより直接的に政策に反映されていると見た方が良いでしょう。


ところが日本では北朝鮮の国民感情や世論にまったく無関心で、それを無視したまま自国の国民感情だけを先立たせて日朝交渉に臨むという、極めて手前勝手な言動が目立ちすぎます。北朝鮮に対する一方的で無責任な情報だけが乱舞し、「危険」「脅威」「個人独裁」「貧しい」「破綻国家」などといったネガティブな印象だけが振り撒かれ、それに基づいたステロタイプな認識に囚われているというのが、日本の北朝鮮に対する認識を特徴付けています。


そのような日本を他国はどう見ているのか。他国ではこうした手前勝手な日本について、どのように囁かれているのかを知る必要もあるはずです。そこで管理人はいくつかの特徴的な日本認識を御紹介したいと思ったわけです。そしてその最初にもっとも因縁の深い北朝鮮、韓国の日本認識を取り上げてみました。


まず北朝鮮の日本認識です。はたして北朝鮮は日本をどのように見ているのでしょうか。言うまでもなく日本は北朝鮮を「敵国」として位置づけているので、その「敵国」が日本をどのように考えているのかを知るのは無駄ではないでしょう。


さてここに御紹介するのは7月26日の労働新聞に掲載された署名入り論評です。表題は「けち付け専門屋のつまらない言動」とでも訳しましょうか。内容は岡田外相が最近の記者会見で6者会談に関して「天安艦」事件と結びつけて否定的な発言をしたことについて書かれたものです。


論評は日本がアメリカの下手人として6者会談では邪魔ばかりし、煩く付きまとい文句を言う割には建設的意見など微塵も語ることがないばかりか、朝鮮半島での出来事に不必要に口を出し漁夫の利を得ようと虎視眈々と狙って、「身の丈に合わない」醜態を晒していると露骨に罵っています。主要な内容だけ紹介します。


「彼(岡田外相)は、謀略的な天安艦沈没事件と関連してアーだコーだと騒ぎ立て、6者会談の早期再開は困難だとか(北朝鮮が)どのような態度をとるかにかかっているなどと、身の丈に似あわない雑言を繰り広げた。それはなんとかして6者会談を破綻させ、朝鮮半島の非核化を阻止することで漁夫の利を得ようとする惨めで稚拙な術策から出発した余迷い言である」


「日本にはこの(天安艦事件)問題解決に口を挟む如何なる名分もない。ただ傍観者として見物だけをしていればよい。日本が身をわきまえずにこの問題を口に出し、子どものように駄々をこね騒ぎ立てるのは、アメリカに阿附屈従し、顔だけでも見せようとする下手人の醜態に過ぎない」


「6者会談は日本が再開すべきだといったから再開し、すべきでないといったから再開しないという会談ではない。条件が成熟し時が来れば日本がわざわざ苦労して騒がなくとも、会談は当然のごとく再開されるであろうし、そうでなければ再開されないであろう。日本に分別があって知覚があればこの程度のことは知るべきであろう」


「過去の6者会談の全過程を見ると日本は実に邪魔くさく使い道のない存在であった。」


「日本は愚鈍にも会談で、基本議題とはまったく関係のない風呂敷包みを卓上に広げては会談を複雑にしただけである。そして故意に自分が責任を持つべき義務の履行を怠け、朝鮮半島核問題解決に障害と混乱をもたらし問題を膨らましただけだ。これは国際社会に日本が何のために6者会談に参加しているのか、またわざわざ日本を参加させる必要があるのかと言う疑問だけを膨らませている」


「このような事実は人々に日本について極めて明白な見解を与えた。それは日本が6者会談に不必要に入り込みその進展を邪魔し、会談の雰囲気を曇らせるけち付け役専門の呼ばれもしない客だということだ」


「忠告するが、6者会談に参加する資格も、面目も持ち合わせていない日本は、あちこちと忙しく走り回り騒ぎ立てるよりは、平安でなく騒々しい家庭事情(内政)のことに神経を使った方が良いだろう。
今日、民主党政権に対する日本の民心は日々悪化している。鳩山政権の時には普天間米軍基地移設問題と関連して国民との約束を翻意して民心の罵詈雑言に会い、今は菅直人政権の消費税引き上げ問題で内部が騒がしい。国会参議院選挙で民主党が敗北したのは日本民心の当然の判決である」


「政局が危険であり、政治的地震の胎動している危険な状況に陥っているくせに、日本が自分の家庭事情を省みず6者会談再開を遮断しようと、ろくでもない騒ぎを起こすのはチャンチャラおかしいことだ。」


「日本が6者会談に参加すべき理由は何も無い。我われは6者会談に日本が参加しないほうが返って悪いことではないと考える。日本は自らの立場をしっかりとわきまえ、ほかの事に眼をそらさない方が良いだろう」


いかがですか?この論評には過去の6者会談で、日本が一貫してとった立場に対する北朝鮮の判断が露骨に表れています。整理すると①日本はケチばかり付け、6者会談の進展に向け前向きなことはまったくしてこなかった②日本はアメリカの下手人としての醜態を見せるべきではない③日本は自分の身の丈に見合った振る舞いをすべきだ④日本は他国のことに口出しをする前に不安な自国の政情に頭を悩ませた方が良いということになりますか。


読んだ方々の中には多少頭がキレた方もいるかと思いますが、6者会談に日本が参加できたのはアメリカの思惑の結果であって日本自身にその資格があるというわけでもなく、また6者会談で決まった重油や食料の提供など責任を持ってなすべき義務をサボタージュしたことなど、6者会談停滞の原因の一つを提供したことなどは、いかんせん事実なのですから反論のしようもありません。


北朝鮮が日本をアメリカの下手人と呼ぶ客観的要素があることも否定できず、朝鮮半島問題に不必要に口を挟んでいることも事実です。金賢姫の不必要な訪日を実現することで李明博政権の関心を買い、人気(票)を得ようなどと姑息な手段を最近も使っていることなどはその現われでしょう。


そして論評が容赦なく日本を罵倒しているのは、日本政府の言動が度を過ぎており、容赦ならないところにまで上り詰めている事に対する、北朝鮮の警告でもあると受け取った方がよいでしょう。


国民感情がこれでは仮に日朝国交正常化が実現したとしても両国の友好親善はいくつもの試練に見舞われるほかありません。日中関係を見てもそれが分かります。日中国交正常化が実現しても国民間のわだかまりや相互不信が未だに根強く残っており、それが両国の関係を著しく阻害していることは否定できない事実です。


これは何よりも国民同士の相互理解や信頼関係を築く事がいかに重要なことであるかを教えてくれます。残念ながら今の日朝両国の関係はとても険悪です。日本政府の意味のない対北朝鮮「制裁」は両国国民の和解を著しくさえぎっています。民際外交でさえ北朝鮮と聞くと後ずさりする始末です。そしてそうした日本の雰囲気は間違いなく北朝鮮にも伝わっているはずであり、北朝鮮でも日本イメージはすこぶる悪いはずです。


政治・外交レベルでこの悪循環を断ち切る勇気を今の日本政府に期待するのは、残念ながら無理なようです。であれば民際外交を拡大するしかありません。政治ではなく学術、文化の世界で、一歩一歩道を切り開いて行くしかないようです。もちろんマスゴミには民際外交などとのたまう資格などなく、当面は自制することからはじめる必要があると思われます。