184 イザベル・ルオー像 高田博厚作  が好評で定着しているようであるから、この像の横向きの写真を紹介する。彫刻は、繰り返すが、実物の品格に直接打たれなければだめなのである。先生の作品群の写真は世におびただしくあるが、実物の力・品格を伝えるのに成功しているものはなかなかない。この像も、写真ではそれを伝え難いもののひとつである。184節での写真制作でも苦心した。私がルオー家から頂いたこの像は、1967年作「イザベル・ルオー II 」であることはまちがいない。ルオー家には先生作のイザベル像が二体あった。ひとつはこれであり、もうひとつは1974年作「イザベル・ルオー III 」であった(そう確かに判断できる)。 彫刻は立体造形であり、角度によって表情を動かす。正面も横向きも、六十代の先生の気力と充実さをしめす知性品格に満ち充ちている。このような本物を創れるのは高田先生ただひとりだろう。