レモンユーカリ油と虫除け剤について | 化粧品犬が化粧品開発を模索するブログ

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大手会社の開発に勤務していましたが、好きな化粧品を好きなだけ追求するため円満退職。
ノラ犬となった化粧品犬が、面白いと思った情報を発信していくブログです。
化粧品コンサルタントとして仕事も受けています。
パームアミノ・ラボ合同会社 imori@palmamino-labo.jp

化粧品犬です。

今回は、レモンユーカリ油と虫除け剤についてのお話しです
去年、レモンユーカリ油やユーカリ油は、虫除け剤とし化粧品に配合する事は出来ないというエントリーを書きました。
法律的に許可されていないんですね。
厚生労働省からクレームが来ると回収になります。
今回は、その続編的なお話しになります。

ちなみに去年書いたエントリーはこちら。
コーセー サンカット ウルトラUV バズガードスプレーとパラドゥ バズ ガードUVについて書いています。

レモンユーカリ油を使用して虫除け効果を匂わせる商品
コーセー サンカット ウルトラUV バズガードスプレーの解析 前編 2015.7.26追加
http://ameblo.jp/kesyouhinken/entry-12054617092.html
コーセー サンカット ウルトラUV バズガードスプレーの解析 後編 2015.7.27追加
http://ameblo.jp/kesyouhinken/entry-12054968270.html
パラドゥ バズ ガードUVの解析 前編
http://ameblo.jp/kesyouhinken/entry-12055699437.html
パラドゥ バズ ガードUVの解析 後編
http://ameblo.jp/kesyouhinken/entry-12056074010.html

いずれも、レモンユーカリ油(ユーカリ油)で賦香して、虫よけができるようにみせつつ、実際に虫に刺されないと書くと法律違反→回収になるので、パッケージに微妙に虫の絵を描いたりして(^_^;)
とても苦労している商品です。
化粧品犬としては、この種の商品は、長続きしないだろうな・・・と思ってました。
そもそも、なんで製品化したんだろうと不思議でした。
パラドゥ バズ ガードUVはセブンイレブン専売なので、厚生労働省からクレームが来た時にチェーン店だから店頭回収しやすいので、良いのかな・・・とか思ってました。

でも、そうでは無かったのかも?と思える資料を見つけてしまったんです。
おそらく、厚生労働省はクレームを付けてくることはない・・と判断できるような資料です。
既に色々な医薬系のホームページで引用されている資料なので、コーセーとかセブンイレブンとかも、この資料を見て判断している可能性は結構高いと思います(^_^;)

そいう資料かというと、下記の国立感染症研究所が出している資料です。
国立感染症研究所は、厚生労働省の施設等機関で、日本国内に二ヵ所しかないバイオセーフティーレベル (BSL) 4の研究施設の一つを持っているすごい組織です。主な業務は、病原及び病因の検索並びに予防及び治療の方法の研究及び講習を行うこと、です。要は正に日本を支える防疫学的研究と、お医者さんへのコーチです。とにかく、えらいです(^_^;)

その国立感染症研究所デング熱トップページから入って、「安全な忌避剤(虫除け)の使用方法」に進むと出てきます。直リンアドレスも貼っておきます。
デング熱が流行った2014年に設置されたページですね。

国立感染症研究所デング熱トップページ
http://www.nih.go.jp/niid/ja/dengue-m/5093-dengue-top.html
(直リン)安全な忌避剤(虫除け)の使用方法
http://www.nih.go.jp/niid/images/vir1/PDF/deet.pdf

この「安全な忌避剤(虫除け)の使用方法」は、Q&A形式で書かれていますが、重要なのは下記の一節でして。
日本未認可のピカリジンや、日本では有効成分として認められていないユーカリ油(レモンユーカリ油)につても、その有効性について言及されていることです。薬事法では効果をうたえないというのに(^_^;)

Q. どの忌避剤が一番良いですか?
A. アメリカ疾病対策センター(CDC)は科学的検証により有効性が証明され、皮 膚や衣服に使用することをアメリカ環境保護庁(EPA)により認可された有効成分を含む製品を推奨しています。(中略)EPAに認可された製剤のうち、長く持続し高い効果が示されている成分は:
• ディート(DEET: N,N-diethyl-m-toluamide)と
• ピカリジン(Picaridin: KBR 3023)(日本国内未発売)です。
• ユーカリ油[有効成分:p-menthane 3,8-diol (PMD)]を主成分とした忌避剤も販 売されています。近年の研究では蚊に対して低濃度のディートと同様の効果を 示したと報告されています。


日本がデング熱で大騒ぎになったのが2014年でこのHPもその時期に設置されているのですが、当時は未認可だったピカリジンが、その後有効成分として許可され、2016年現在では商品まで出ているんですよ(^_^;)
デング熱から国民を守るためとはいえ、すごいスピードの承認→商品化です。
国立感染症研究所の行政に与える影響の大きさが窺えます。
これは、ユーカリ油(レモンユーカリ油)の有効成分としての許可も待ったなし?なのかもしれません
これは、フライイングでも、商品出したくなる(^_^;)
コーセーもセブンもそんな考えかもしれません。
また厚生労働省からのクレームも、こないかも・・・ですね。

ただユーカリ油(レモンユーカリ油)については、他の部分にこんな記載も有ります。

Q. 忌避剤を子供に使用してもいいですか?
A. 各製品の説明書をチェックしてください。もし、小児の使用に関して特に何 も書かれてなければ使用しても構いません。アメリカ疾病対策センターは米国 製品の説明書に従いユーカリ油を 3 歳以下の子供には使用しないよう発表して います。
一方、
アメリカ小児学会(AAP)はユーカリ油に関してまだ見解を発表し ていません。

ピカリジンに較べて、ユーカリ油(レモンユーカリ油)の有効成分としての認可は、随分遅い気がするんですが。
厚生労働省としては、ユーカリ油(レモンユーカリ油)の日本国内での有効成分としての認可については、このアメリカ小児学会(AAP)の見解が出る尾を待っている可能性もありますね。
しかし、アメリカの見解をそのまま国内で通すと、「ユーカリ油を 3 歳以下の子供には使用しない」と言うことになってしまう(^_^;)
それはそれで、どうなんだ?という感じもします(まあユーカリ油低配合濃度の時はその限りでは無いとかに逃げる気がしますけど)。

子供が使用するに当たって、ユーカリ油は意見が確定していませんが、DEETについては、日米とも色々な制限があります(次回以降に書く予定です)。しかし、ピカリジンは子供に対する制限が特にないようです(子供の手に届かないところにおけ、くらい)。

実は、このディート、ピカリジン、ユーカリ油(レモンユーカリ油)の3種をそれぞれ使った商品もラインナップしている、虫除け剤のブランドがあります。
それは、フマキラーのスキンべープです。
元々は読者のおすずさんに教えていただいた情報なのですが、調べたら有効成分をフルコンプ(^_^;) の興味深いシリーズでした。
ただユーカリ油の扱いが、化粧品的では無いのですが(^_^;)、それはそれで面白いです。
ディートとピカリジンの商品化だと、実はキンチョー(大日本除虫菊社)もやっているのですが、3種のフルコンプだとフマキラーだけになるんじゃないかな。
というわけで、次回からスキンべープの解析をはじめます。
まだ蚊が多くないのでちょっと残念ですが、これから夏が来ると、ピカリジンの実力が試せますよ(^_^;)
今回のエントリーで興味が出た人には、面白い解析になると思いますのでよろしくです。