資生堂アネッサ エッセンスUV アクアブースターの解析3 処方解析編 | 化粧品犬が化粧品開発を模索するブログ

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化粧品犬です。

数回連続で、資生堂さんの銀のアネッサ(2016)こと、アネッサ エッセンスUV アクアブースターを解析していっています。

同時にリニューアルされた、金のアネッサ(2016)こと、アネッサ パーフェクトUV アクアブースターについては以下の過去のエントリーをご覧ください。
今年の目玉機能である、汗で強化される「アクアブースター機能」については、1の製品概要編にて詳しく書いています。

資生堂アネッサ パーフェクトUV アクアブースターの解析1 製品概要編2016.5.7追加
http://ameblo.jp/kesyouhinken/entry-12157748016.html
資生堂アネッサ パーフェクトUV アクアブースターの解析2 処方解析編2016.5.9追加
http://ameblo.jp/kesyouhinken/entry-12158455955.html

前回は、コメントでいただいたネタを生かさせてもらって洗浄実験をしてみましたが。
好評なようで良かったです!
前回のようなな、簡単で面白い実験は、機会があればやっていきたいですね。
今回は銀のアネッサ編の最終回として処方解析編をお送りします。
では、はじめます~。

まず、いつものように裏面の処方を整理します。
今回は金のアネッサ(2016)の処方を横に併記して、比較しつつ、金と銀の違いを中心にして解析して行こうと思います。
逆に金との共通機能であるアクアブースター機能や光スタミナ機能については詳しくは触れないので、興味ある方は前述の金のアネッサのエントリーを見てください。

ちょっと大きい表ですが、こんな感じになりました。



金と銀の処方は一見すると結構違うのですが、配合比が若干違うために表記順が入れ違っている事がおおく、整理すると結構似ています(共通成分に○をつけましたが、○がとても多いです)。
まず油性成分ですが、最も大きい違いはウォータープルーフ性を飛躍的に高める原料であるトリメチルシロキシケイ酸が金には配合されているけど、銀には配合されていないことです。
その代わり、銀には油の粘度を上げる酢酸ステアリン酸スクロースが配合されています。油の粘度を上げる成分としてはパルミチン酸デキストリンも配合されているので、銀には油ゲル化剤が2種類配合されているわけですね。これが、トリメチルシロキシケイ酸は配合されていないけど、石けんで落ちるけど水には溶けない、絶妙なウォータープルーフ性を実現している源だと思います。
しかしそれ以外の違いはごく小さいです。
具体的には、金に配合されている軽いエステル油の ミ リ スチン酸イソプロピルが、銀ではエモリエント効果の高いエステル油のマカデミアナッツ脂肪酸フィトステリルに変更されていることだけですね。後,銀にはトコフェロール(ビタミンE)も追加されていますが,:これは微量しか添加されない原料なので誤差範囲と言うことで(^_^;)。

紫外線吸収剤のパートも良く似ています。ただ銀の方にポリシリコーン-15という成分が追加されている(^_^;)
お、銀の方が有利なのと思いきや、よく見ると粉体のパートで、金には酸化チタンが配合されているが、銀には配合されていない。酸化チタンはきしむ使用感を出してしますので、やや普段使いよりの銀では使用感を重視して酸化チタンを外して、代わりにポリシリコーン-15を加えたのだろうと推測がつきますね。
ただ酸化チタンを外すだけよりは良いけど、有機の紫外線吸収剤が無機の紫外線散乱剤に勝てるわけは無い(特に持続性の点で)ので、これはやはり金のほうが強力!と言うことですね。

次の乳化剤のパートも、整理すると似ているのがわかります。ちょうど金委員配合されているポリブチレングリコール/PPG-9/1コポリマーとPEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコンの2種の乳化剤が、銀では1つの乳化剤(ラウリルPEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン)にまとめれたような感じでして、それ以外の乳化剤は共通です。まとめられた乳化剤も何か似ているし、このパートは大きな差は無いと思います。

粉体は、前述しましたが金には紫外線散乱剤の酸化チタンが配合されていますが、それが銀では外されているのが大きな違いです。あと金では水酸化Alが配合されているのが、銀ではシリカに変わっていますね。水酸化Alは、アクアブースター機能を発現させるための表面親水性の粉体だと思うのですが、シリカも表面親水性なので、同様にアクアブースター機能は発現するのでしょう。使用感的な差としては,シリカのほうがしわ隠し効果というか、結構不透明なので、メイク効果が高いです。

最後は保湿剤のパートですが、金に較べて銀には美容的なエキスが多いです。売りになっているヒアルロン酸以外にも、ローズ水、イザヨイバラエキス、バラエキスなどがありますね。
金も銀も顔・体用なのですが、やはり銀の方が、より顔向けなのかなと思います。

金のアネッサのように、トリメチルシロキシケイ酸が配合されて石けんで落ちにくい日焼け止めを、顔に塗るのは・・・海だけにした方が良いかなと思います(^_^;)
あと海で金を使う場合でも、くれぐれも目に入れないように気をつけましょう。
そもそも目回りに塗らない方が良いんですが、でも目回りまで攻めたくなってしまうんですよね~(^_^;)

解析はここまで。
あとは、原料毎に、コメントを付けました。
金のアネッサとかぶっている成分は、すいませんがコピーを貼ってます。

油性成分
ジメチコン :いわゆるシリコン油のことです。
セバシン酸ジイソプロピル:エステル油という種類の油で、軽い感触が特徴です。
イソドデ力ン :スクワランに似た軽くてさっぱりした使用感の油です。ただし石油由来です。
マカデミアナッツ脂肪酸フィトステリル:
イソステアリン酸 :液状ですが、重さのある油です。
酢酸ステアリン酸スクロース:油の中に少量溶解させることで、油の粘度を上げることが出来る原料。
パルミチン酸デキストリン :油の中に少量溶解させることで、油の粘度を上げることが出来る原料です。日焼け止めの製剤の安定性を高める効果があります。
トリエトキシカプリリルシラン :粉体の表面処理剤(粉体の表面をコートして、粉体を油と馴染みやすくする原料)です。
ハイ ドロゲンジメチコン;粉体の表面処理剤(粉体の表面をコートして、粉体を油と馴染みやすくする原料)です。
トコフェロール:別名ビタミンE。酸化防止力に優れた、べったりしたオイル状の成分。
ステアリン酸:固形の脂肪酸の一種であるが、粉体の表面処理剤(粉体の表面にコーティングされ、油と馴染みやすくする試薬)として使われることがある。今回は配合量も少ないため、この用途で配合されていると思われる。

紫外線吸収剤
メトキシケイヒ酸エチルヘキシル:UVB吸収剤。1960年代から使用されている。
ポリシリコーン-15:ポリシリコーン-15は、UVB吸収剤です。シリコンポリマーの中に、紫外線を吸収する部分を持たせた構造をしており、人体に吸収されないため安全性が高くなっています。日本では2005年使用許可された、比較的新しい紫外線吸収剤です。
オクトクリレン:別名2―シアノ―3,3―ジフェニルプロパ―2―エン酸2―エチルヘキシルエステルとも呼ばれる、UVB吸収剤。。紫外線吸収効果は高くなく、そのため光に対して比較的安定。水に溶けない性質を生かして、日焼け止めの耐水性を向上させる目的で配合されたり、田尾紫外線吸収剤を安定化する目的で配合されることが多い。
ジエチルアミノ ヒ ドロキシペンゾイル安息香酸へキシル :UVA吸収剤。日本では、2005年から使用許可されています。
ビスエチルへキシルオキシフェノ一ルメ トキシフェ二ルトリアジン:UVA・UVBの両方を吸収する、紫外線吸収剤。日本では、2007年から使用許可されています。

乳化剤
ラウリルPEGー9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン:シリコン油、油脂類双方に対して馴染みやすい乳化剤です。シリコン油と普通の油が混在している製剤で、安定性の高い乳化物を作ることが出来ます。
PEG/PPG -14/7ジメチルエーテル:プルロニック型とも言われる、ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールが結合された原料で、可溶化力が高い。水に溶解するので、乳化剤というか保湿剤というか微妙。
ジステアルジモニウムヘクトライト:粘土とカチオン界面活性剤を結合させた乳化剤。乳化安定機能が非常に高い。
ジステアリルジモニウムクロリド:カチオン界面活性剤。乳化安定機能は高いが、今回は単独の配合ではなく、ジステアルジモニウムヘクトライトに含まれる不純物だと思われる。

粉体、顔料
ポリメタクリル酸メチル:安全性の高い樹脂パウダー。これを配合する事で、無機粉体にくらべ皮脂とのなじみが良く、表面の平滑性に優れた化粧料になります。
ポリメチルシルセスキオキサン:メチルトリメトキシシランが重合してできた、球状のシリコンパウダー。滑り性が高い。
(ビニルジメチコン/メチコンシルセスキオキサン) クロスポリマー:滑りの良いシリコンパウダー。
酸化亜船:紫外線散乱剤。白浮きはしないが、単独では効果は高くない。酸化チタンや紫外線吸収剤と組み合わせて持ちいられる事が多い。
シリカ:別名を無水ケイ酸とも呼ばれる親水性性の粉体。微粉末で吸収性が強く、ふんわりした感触と不透明さを併せ持つ。各種メイク品の他、クリーム、乳液や歯磨き粉など幅広く使われる。
タルク:ファンデーションなどによく使われる親水性の無機粉体。紫外線散乱効果や吸収効果は無いが、使用感を調整できる。感触は直径にもよるが、すべり感を向上させる事が多い。

保湿剤、 香料など
エタノ-ル:日焼け止めの原料として、ジェル系日焼け止めや、ウォーター系の日焼け止めでは汎用されている。この商品のようながっつりシリコンのッ日焼け止めでは高配合されているのは珍しい。
グリセリン:安全性に優れた、汎用的な保湿剤。
ローズ水:セイヨウバラまたはダマスクバラの花を水蒸気蒸留することで得られる芳香水。β-エンドルフィンの分泌を促進し、精神のリラックスと@肌荒れの改善に効果があると言われている。
アスコルピルエチル:還元性があるため、製剤の安定性を保つ効果がある。
グリチルリチン酸2 K:医薬部外品も使われている、抗炎症剤。
トウキ根エキス:トウキの根から抽出して得られるエキス。血行促進、抗炎症、抗アレルギー効果に優れる。
ワイルドタイムエキス:あ抗菌効果や創傷治癒効果に優れたエキス。
イザヨイバラエキス:イザヨイバラの果実から抽出したエキス。ビタミンCを多く含み、美白やコラーゲン生成に効果があると言われている。
ヒアルロ ン酸Na:安全性の高い、高分子の保湿成分。
バラエキス:バラの花から抽出して得られるエキス。糖、タンニン、没食子酸、ペクチンを含み、抗炎症作用・収斂作用・鎮静作用があると言われている。
ウコンエキス:抗炎性、抗菌性、抗酸化性、保湿性のあるエキス。ただし皮膚が、黄色く着色されやすい。
PPG-17:別名ポリプロピレングリコール。溶解性が高く、かつ潤滑性も高いため、スキンケア・ヘアケア問わず広い分野に使われている。
EDTA-3Na:製剤の安定性を保津キレート剤。
BG:汎用的な保湿剤。可溶可能も高い。
BHT:特に紫外線吸収剤の安定性を保ち、日光による着臭や着色など製剤の劣化を防ぐ。
ピロ亜硫酸Na:還元性がある無機塩類。製剤の安定性を保ち、日光による着臭や着色など製剤の劣化を防ぐ。

これで終わりです。
やはり成分おおおい・・。
しかし今回は、金のデータがあったのでかなり助かりました~