先々週と先週、NHKで宮崎あおい主演でドラマで『蝶々夫人』を放送していたのを観た人はおられるだろうか
うちは娘と僕がオペラをよく観るので見ていたわけだが、このドラマ今の日本女性の目にはどう映ったのだろうか
蝶々夫人のあらすじは単純。明治初期に長崎にアメリカ海軍の将校がやってきて、現地妻として日本の芸者と結婚する。そしてその女性は身ごもり子供を生んで、アメリカ将校を3年間待ち続ける。そしてようやくやってきたとき、その男が正妻を連れてきて、子供をひきとろうとして、真実を知り、子供を引き渡して自害する、というストーリーだ。21世紀に生きるみなさんはどう思われるだろう
そういう前ふりで11月27日に行われた、1.FFC Tubine Potsdam-FCR2001Duisbrugの一戦を、とても書きつくせないが、書いてみようと思う。
昨日も書いたように、この両チームには現在5ポイントの差があり、しかもPotsdamホームゲーム、しかもDuisbrugにはドイツ代表が4人おり、先週の2戦で疲労している。明らかにDuisbrugの分が悪い。
試合は、定跡通り、基本的にはPotsdamが攻め、Duisburgが自陣内で守ってカウンターを狙うという方式ですすんでいく。Duisburgも気合が入っており、Potsdamのパスを身体を寄せて奪い取り、前線へつなぐ。そこで必死になって動きまわる、ドイツ人からみると小柄な女性、安藤 梢選手だ。
正直、安藤選手はワールドカップやオリンピック予選を通じてチームに貢献はしていたが決定的な仕事というのはわずかしかなく、今期ブンデスでもここ何試合かケガに苦しみ途中出場で、期待はしづらかった。今回もチームに貢献するが、どうかな、と思うだけだった。
しかし4分、安藤選手が左サイドでパスを受け、ドリブルで深く突破し、クロスを阻まれて最初のCKをとりPoppのファーストシュートにつなげる。14分にはスルーパスを通し、16分には自らミドルシュート23分に自らPKエリアに入ってシュートははずれ。
PotsdamディフェンスもFrankfurt戦に比べて気合が入ってないように思える。それにPotsdamのフォーメーションは、MFを抜けられると、DFとの間にスペースが開いているので、チャンスになりやすいのは確かなのだ、しかしそれはプレーヤーがやること。
一方Potsdamの永里選手も動きまわる。しかし中盤底から前線まで動きまわる安藤選手と同じではなく、あくまで前線でパスをまわして崩したり、自分でシュートにもっていく。6分には左PKエリア前からミドルシュート。11分にはゴール前でこぼれたボールをシュートしたがうまくミートせずセーブされる。22分にはロングクロスからGK前で惜しいヘッドだがオフサイド
前半、Duisbrugの気迫のこもった攻守で互角にすすむ。20分にはロングスローからSchmidtがかなり惜しいシュートを放つがGKに弾かれ、さらにCKからLaudehrがヘッドどちらもかなり惜しい局面がある。
しかし先手をとったのはPotsdamだった、ここでも永里選手。
34分永里選手のゴール前へのパスにMittagが走りこみ、もう一度外に返したところに永里選手が走りこんでHanebeckにまわしてシュートそしてゴールあざやかな先制。スタンドは大喜び。
明らかに気落ちしたDuisbrugは、41分、11番のFKをゴール前で競り合ったBresonikがヘッドクリアに失敗してオウンゴールにしてしまうしかし42分PKエリア内でPotsdam選手がハンドを犯してしまいPKのチャンス蹴るのはオウンゴールをしたBresonik・・・だがキーパーが防いでゴールならずそして前半終了2-0.。これでは勝負は見えたと思っても不思議ではなかった。
後半開始後もPotsdamの攻勢が続く。Potsdamには勝者の余裕すらにじむ。DFはいつものように相手に密着し、正確なシュートを阻止しようとする。しかしDuisburgと安藤選手はボールを前に出し走り続ける、たとえ無駄に見えようと。
そして62分、スローインからBresonikが左サイド深く入りこんで斜めにゴールぎりぎりへクロスかシュート、それに安藤選手が走りこんで押しこんでゴール2-1
この得点自身は明らかにPotsdamの怠慢だともいえる。バイタルエリアはDFまかせで走りこむスペースが大きく空いていた。とはいえまだ余裕はある。が、1秒でも惜しいかのように自らボールをとってセンターに置く安藤選手。明らかにこのままで済ます気はない、というように。
Potsdamの悪い癖は改善されていない。DFとMFの間に相変わらず大きなスペースがある。65分Bresonikのセンター少しからの大きなFKをPK前でヘッド、が流れるが、それにLaudehrが追いついてバイシクル気味に頭上から後ろにあげる、そこへ安藤選手がヘッドクリアした球にPoppがさらにヘッドゴール2-2の同点
こうなるとPotsdamも必死だ。前にボールをあげてくる。68分左からのクロスに永里選手がヘッドしかしはずれ
69分Potsdamは選手を交代して局面の打開を図る。しかし前に出た分MFとDFの間のスペースは広がり、またそこへボールを放りこまれるとDFが孤立する。そして攻撃もDuisburgの気迫のディフェンスに止められる。どうみてもPotsdamに点は入りそうにない、ドロー、まさか逆転しかしDuisbrugも選手を交代して勝ちに行く。
89分Potsdamのロングスローからのヘッドクリアでオウンゴール寸前をGK必死にとびついてセーブそのあと、センター前からのロングハイパスに右サイドを駆けあがるLaudehr、そしてそのあとを中央から左サイドへ斜めに走るBresonik。Laudehrからのクロスにシュートゴール逆転2-3
こうして、試合は終った。すさまじい激闘。まさかDuisbrugが後半開始2-0から逆転できるとは思わなかった。逆転の原因などわかるはずがない、僕に言えるのはこの試合の中心に二輪の日本のなでしこの花が咲いていたということだけだ。
永里選手はクレバーだった。攻撃を演出し、何度も危険なチャンスをつくり1点を演出した。それに対し、安藤選手はあきらめずひたむきに走り続け、2点のチャンスをしっかりものにした。
なぜフィジカルの劣る日本の選手が活躍できたのだろうそれは技術であり、頭脳であり、そして粘り強い精神力だ。
僕はこのMatch Reportのエンディングにふさわしい音楽に悩んだあげく、『蝶々夫人』にたどりついた。蝶々夫人の美しさは、命を賭してまでも貫くひたむきで、ひたむきで純粋な心ではないだろうかこれを作曲したイタリアのプッチーニは何に感動したのかはわからない、多分理屈にはならないものだろう、しかしこのオペラは今なお愛されて、世界中で公演されている。そして多分日本女性とこの音楽なしにはこのドラマは語れない
日本を代表するスケーター、浅田真央さんのスケートにのせて
Ps オペラもぜひ観てね
ドイツに咲くもう一輪のなでしこ、熊谷選手の1.FFC FrankfurtはVfl Wolfsbrugに破れ4連敗で4位に転落した。しかし彼女も含め、みんな澤選手の背中を見て走っているなでしこなのだと改めて実感した日だった。
女子Bundesliga第10節結果
1.FFC Frankfurt-Vfl Wolfsburg 0-1 1890人
FF USV Jena-Bayer 04 Leverkusen 2-1 408人
Turbine Potsdam - FCR 2001 Duisburg 2-3 2560人
Bayern München - 1. FC Lok Leipzig 1-2 530人
Bad Neuenahr - Hamburger SV 1-0 602人
Essen-Schönebeck - SC Freiburg 0-2 588人
順位表
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