体重と流産の関係 | 両角 和人(生殖医療専門医)のブログ

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生殖医療専門医の立場から不妊治療、体外受精、腹腔鏡手術について説明します。また最新の生殖医療の話題や情報を、文献を元に提供します。銀座のレストランやハワイ情報も書いてます。

体重が流産にどのような影響を及ぼすかについて調べている論文がありましたので紹介します。


方法、対象

反復流産後の妊娠に体重(やせ気味、低体重、太り気味)がどのような影響を与えているかを検討しています。反復流産患者491名、844症例を対象に検討しています。

以下の様に分類しています

①肥満群はBMI:30以上

②太り気味群はBMI:25.0-29.9

③正常はBMI:19.0-24.9

③低体重群はBMI:19.0以下


結果

正常のBMI群と以下の3群(肥満群、低体重群、太り気味群)を比較した。

①肥満群において流産のリスクは有意に上昇した。

 オッズ比は1.71、95%信頼区間1.05-2.8

②低体重群において流産のリスクは有意に上昇した。

 オッズ比は3.98、95%信頼区間1.06-14.92

③太り気味群において流産のリスクは変化がなかった。

 オッズ比1.02、95%信頼区間0.72-1.45


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結論

反復流産の患者にとってBMIが少し上昇する様な太り気味の場合は流産のリスクは上昇しない。しかし肥満や低体重の場合は流産のリスクが有意に上昇した事が判明した。


Body mass index and risk of miscarriage in women with recurrent miscarriage

Fertility and Sterility Volume 94, Issue 1 , Pages 290-295, June 2010


この結果から言える事として

反復流産の患者にとって、次の妊娠までに体重を正常に戻す努力をする事が大切と言えます。



ちなみにBIMについてですがウィキペディアによると

BMIとは、体重 身長 の関係から算出される、ヒト の肥満度を表す体格指数 である。

BMIの計算式は世界共通であるが、肥満の判定基準は国により異なる。

WHO では25以上を「標準以上 (overweight)」、30以上を「肥満 (obese)」としている

日本肥満学会 では、BMI22の場合を標準体重 としており、25以上の場合を肥満 、18.5未満である場合を低体重 としている。