以前の記事の新鮮胚移植 vs 凍結胚移植 で凍結胚移植のメリットについて説明しました。凍結胚移植では妊娠率が高くなるという事が最大のメリットになります。
新鮮周期と比較すると凍結胚移植の妊娠率は約1.5倍近く高くなります。
どうして高くなるのか?以下その原因を考えてみます。
1)年齢が若いから?
一般的に胚を凍結できる症例は採卵数が多いため、卵巣年齢が若い事が予測されます。つまり妊娠率が高いのは単に患者の年齢が若いからなのかもしれません。
2)新鮮周期だとImplantation Windowが早まる?
胚にはいつでも着床できる訳ではなくて、着床できる時期があります。この時期は「着床への窓」(Implantation Window)と呼ばれています。分泌期中期の月経周期19日~22日が子宮内膜が胚着床を受容する時期であると言われています。つまり子宮側にも胚の受け入れ可能な時期が決まっているという事です。それ以前でもそれ以降でも着床できない事になります。
新鮮胚移植周期では排卵誘発剤により複数の卵胞が育ち、一つの卵胞からの少量のプロゲステロン分泌が合わさり大量になり、その結果Implantation Windowが早く開いてしまう可能性が考えられます。
これに関しては以前の記事の早期黄体化と妊娠率について に詳細を書いていますので参考にして下さい。
3)体外培養により胚の発育速度が遅くなるから?
体外培養により胚発育の遅延が起こりやすくなり、胚盤胞から孵化したときにはImplantation Windowは閉じてしまっている可能性がある、という指摘もあります。
以上の様な理由から凍結胚移植の方がより妊娠率が上がるのではと推測されす。