格差問題に関する民主党岡田代表の国会での詭弁 | 西陣に住んでます

格差問題に関する民主党岡田代表の国会での詭弁

格差問題



国会は国民の生活に大きな影響を与える法律を議論する
極めて重要な場です。
したがって、定量的な根拠に基づく適正な議論を行うことが
要求されます。

そんな中、国民を騙すかのような不当な論拠で
相変わらず党利党略のために政府批判をしているとしか思えないのが
民主党です。

平成27年2月16日の民主党岡田代表の格差問題に関する詭弁は
極めて不誠実で悪意が感じられるものでした。
どこが不誠実で悪意が感じられるのか、以下に説明したいと思います。

民主党岡田代表の格差問題に関する主張の骨子は次の発言にあります。



岡田党首(youtube映像2:26秒)

私は改革の痛みについても、国民に対して正直に丁寧に説明して参りたい。この演説でもそのことを貫きたいと思います。さて、まず内政について質問いたします。私が最も重要だと考える課題は経済成長と格差是正の両立です。

(中略)

岡田党首(youtube映像4:56秒)

安倍政権の経済政策の最大の問題は成長の果実をいかに分配するかよいう視点がまったく欠落していることです。経済のグローバル化が進む中で世界の先進国が格差拡大という困難な問題に直面しています。日本も今や先進国の中でもっとも格差の大きい国の一つとなっています。給与所得者のうち、年収200万円以下の人は1120万人で全体の1/4を占めています。相対的貧困率は近年急上昇し、今や過去最悪の16%にも達しています。特に深刻なのは、子供の貧困であり、ひとり親家庭の子供の貧困率は実に50%を超え、OECDの中で最低です。国家として恥ずべきことです。不安定雇用が多い非正規労働者は増え続け、2016万人となり、雇用者全体に占める割合は38%になっています。いずれも深刻な事態です。これをしっかり変えていく。経済成長と格差是正を両立させることで、先進国の中でも格差が小さい、希望の持てる国にする。そのモデルに日本がなる。そのための新しい経済政策を民主党が打ち出していく決意です。総理に伺います。今私はいくつかの格差拡大を表す数字を指摘しました。総理は日本全体の格差が近年拡大しているという事実をお認めになりますか?また総理は予算委員会で格差が人々にとって許容の範囲を超えているものなのかということが重要だと答弁されました。総理自身、今の格差が人々の許容範囲を超えていると判断しているのですか?それともそうではないのですか?すべての議論の前提ですから、それぞれについてYESかNOかではっきりとお答えください。

「国民に対して正直に丁寧に説明して参りたい。この演説でもそのことを貫きたいと思います。」という岡田代表が、実はこの演説で不正直に国民を欺いています。

まず、日本は必ずしも先進国の中で格差が大きいとはいえません。他国と比較して悪い数値が出ているのは、ひとり親家庭(single parent)の子供の貧困です。岡田氏はこの数値のみをもって日本の格差がひどいと主張して政府をヒステリックに批判しているわけです。

何よりもひどいのは「相対的貧困率は近年急上昇し、今や過去最悪の16%にも達しています。」とありますが、16%に達したのは民主党政権の時代(平成24年)であり、岡田氏は民主党政権が創出した数値をあたかも安倍政権になってからの値であるかのように批判しているのです。こんな理不尽なことはありません。

格差問題

次に、岡田氏が主張している年収200万円以下の人は1120万人で全体の1/4を占めているというのは事実です。ただし、↓このグラフを見てください。

格差問題

年収200万円以下の人は民主党時代(2010~2012年)にもずっと増加していて、マクロに見れば、今と同じ全体の約1/4を占めていました。そして、むしろその伸び率は安倍政権(2013年)になって低下しました。

さらに、本質的に民主党政権と安倍政権を比較すると、年収200万円以下の人が増えている理由はまったく異なっています。↓このグラフを見てください。

格差

民主党の時代(2010~2012年)に年収200万円以下の人が増えたのは、単純に格差が広がっていたと言えるかと思います。それに対して、安倍政権(2013年)に年収200万円以下の人が増えているのは、それまで収入が全くなかった人が収入を得るようになったためであると言えます。つまり、低所得者層の格差は確実に縮まっています。↓拡大図を見ていただければさらにはっきりとわかるかと思います。

格差

ちなみに、年収200万円以下の人が給与所得者に占める割合は、民主党政権と安倍政権ではまったく変わらないと言ってもいいと思います。つまり、所得分配には大きな差はないと言えます。

格差

この図を見る限り、「年収200万円以下の人が増えて格差が広がった」のは消費税が3%から5%に引き上げられてデフレ社会となってからです。新自由主義といえる小泉政権もこの格差をさらに広げるのに貢献したといえるかと思います。

さて、ここからが大事なところです。

民主党は自らをリベラル政党と呼んでいます。しかしながら、私は民主党はリベラル政党ではなく、新自由主義とバラマキを同時に行うハチャメチャ政党であると考えています。

民主党が行った事業仕分けや脱ダム等の政策は、効率化を重視して社会のレジリエンスを破壊する新自由主義です。このような効率化によって、効率性が低い労働者が職を追われました。そして、職を追われた労働者に対して再分配というバラマキを拡大しました。これが生活保護です。今や公共事業費や防衛費とオーダーが変わらない4兆円/年という規模に膨らんでしまいました。以前には、効率性は低くても真面目にしっかりと働いて給与を得ていた人達が、働かないで給与をもらえるようなメカニズムが形成されてしまったのです。なお、維新の会の江田氏と橋下氏も新自由主義政策を前面に出しています。

このようなコンテクストから私の基準で言えば、金融政策と公共事業によって給与所得者を増やし、経済と財政を実際に少しずつ回復させている安倍政権こそ、実はリベラル政権であると言えます。やはり、働ける人がきちんと働いて、不幸にもどうしても働けない人達を支えるというのが適正な社会であると私は思います。

さらに、民主党がよく理解もしないで格差指標として盲信するジニ係数についても私は必ずしも妥当でないと考えます。ジニ係数を算出する際に求められるローレンツ曲線は、ごく一部の例外的大金持ちに大きな影響を受けることになります。また、ピケティの高額所得者に基づく格差表現も必ずしも妥当ではないと考えます。これは格差の影響を受ける貧困層の実情を直接反映するものではないからです。ちょこちょこっと作ってみたのですが、私は、トップではなくボトムの累積で表現する↓こちらの図の方が社会の実情を表していると考えます。

格差問題

さて、岡田党首になって民主党も少しは変わるかと思いましたが、ホントに全然ダメですね(笑)。

とにかく、民主党ができる限り早くつぶれて、真のリベラル政党が生まれることを期待するところです。また、少なくとも現在の野党には真のリベラルに発展できる政党はないと思います。なお、真のリベラルが生まれることを期待しますが、同時に真のコンサーヴァティヴが生まれることも期待します。合理性が高い政策を私たちが選ぶことができる環境が一刻でも早く整備されることを強く望むところです。