偽プロメテウスの罠―明かされなかった朝日新聞誤報の真実(1) 嘘も方便 | 西陣に住んでます

偽プロメテウスの罠―明かされなかった朝日新聞誤報の真実(1) 嘘も方便

朝日新聞「吉田調書」誤報


朝日新聞には、自らが持つ理想観念(イデオロギー)に合致する結論をもたらすためには、手段を選ばなくてもよいという思想が脈々と流れていると私は思っています。

私たちが住んでいる世界は不確定性(uncertainty)が支配している世界といえます。つまり、事の真理を説明するのに最適な理想観念が仮に存在するとしても、世の中ではその理想観念に合致しない現象が普通に生起するということです。このファクトは、その理想観念を布教する者にとって「不都合な真実」と言え、真実とは異なる「ファクト」を捏造することによってこの「不都合な真実」を隠すというモラルに反した手法が選択されることがあります。仏教の「嘘も方便」はまさにこの手法であり、仮に理想観念が真理と合致する場合には迷える子羊を救済する一つのストラテジーであると考えられます。

ただし、この論理には嘘があります。理想観念を布教する者が、理想観念が真実と合致することを証明できるのであれば、「嘘も方便」なる手法を使わなくても理想観念が真実と合致することを布教する相手にわかりやすく示せばよいだけであり、もし布教の相手が理想観念が真実と合致することを理解できないのであれば布教する意味もなくなります。また、理想観念が真実と合致することを証明できないのであれば、嘘をついてまでその理想観念を布教をすることは合理的でなくなります。

つまり、「嘘も方便」というのは、基本的に真実に対して傲慢な布教者が使う手法であり、論理的に間違っています。そして、その「嘘も方便」を多用している布教マスメディアが朝日新聞と言えます。

朝日新聞は自らが持つ理想観念を布教するために、例えば次のような明らかな捏造を繰り返してきました。

「子供ずきなおじさん・なくなったスターリン首相」1953.3.7
「北朝鮮の完備した受け入れ態勢、目覚しい復興振り」1960.2.26
「林氏 失脚後も健在」1972.2.10
「ポルポト派 アジア的な優しさ持つ」1975.4.19
「南京大虐殺 悲惨さ写した三枚」1984.8.4
「サンゴ汚したK・Yってだれだ」1989.4.20


これらの例は、いずれも立派すぎる(笑)誤報で、一般企業であったら当然会社が潰れてもおかしくないところ、報道機関であるという特権を利用してふんぞり返ってきたと言えます。ところが、最近では国民のメディアリテラシーの向上もあり、「嘘も方便」はもはや国民にとって何の効果もない技となりつつあります。そればかりか、「嘘も方便」の技を使ってきたら、国民はマスメディアにはできなかった「報道検証」をインターネットメディアを使って堂々と行える時代になりました。

朝日新聞が従軍慰安婦に強制性があったことを示したいのであれば強制性の証拠を示せばよいことであり、その証拠が示せないのであればそれも一つのファクトであり、朝日新聞は従軍慰安婦に強制性があったかどうかわからないとすべきです。それが公正な報道と言えます。

同じように、東電社員が所長命令に違反して原発撤退したのであれば、その証拠を示せばよいことであり、嘘をつく以外に証拠が示せないのであればそれも一つのファクトであり、朝日新聞はそのこと自体を報道価値がないものとして報道しなければ良かったわけです。

ファクトでないことを捻じ曲げてファクトとすれば必ずそれは証明できないことになります。朝日新聞が悪質なのは、未公開の故人の発言を独自に入手することで、誰も反論できない環境を作り、嘘をついたことです。ただ、朝日新聞の盲点は、調書を未公開とするハードルはそんなに高くなく、朝日新聞の報道によって利益を損なうステイクホルダーの政府が公開・未公開のオプションを握っていたということです。朝日新聞の挙動はあまりにも稚拙であったと言えます。

2014年9月12日の朝日新聞の朝刊は次の通りです。

朝日新聞「吉田調書」誤報

紙面に謝罪の言葉が並び・・・

朝日新聞「吉田調書」誤報

社長のお詫びの言葉もあります。

朝日新聞「吉田調書」誤報

ただし、これはアリバイにすぎないと私は考えます。
それは、謝罪の内容が論理的でないからです。

このことは他紙も詳しく述べています。

産経新聞はジャーナリズムが行うべき仕事をしっかりしたと思います。

朝日新聞「吉田調書」誤報

読売新聞は産経新聞に追従して同様に貴重な仕事をしたと考えます。ただしマスメディアの特権を危惧するピンボケな主張も含んでいます。

朝日新聞「吉田調書」誤報

毎日は論調を同じくする朝日を遅れて批判しました。明日は我が身とならないよう、結論ありきでない記事づくりが必要だと私は思います。

朝日新聞「吉田調書」誤報

いずれにしても、先入観なしに「吉田調書」を読む限り、朝日新聞のような結論にはまったくならないことは明白です。

朝日新聞「吉田調書」誤報

この件に関する詳しい分析記事は、この3連休にアップしたいと思います。

なお、国民が気をつけなければならないこととして、朝日新聞は巧妙なダメージコントロールを現在も継続中であるということです。そして、TV朝日の番組が朝日新聞を批判しているように見せかけて、実際には朝日新聞のダメージコントロールの重要な一役を演じている可能性があるということです。[前の前の記事]でも示した通り、TV朝日は「嘘も方便」という意味で朝日新聞と同じ体質をもっています。朝日新聞はTV朝日の大株主でもあります。

また、同様に朝日新聞と同じような理想観念をもっている人物や団体が同じような役割を演じる可能性もあります。少なくとも韓国メディアはすでに朝日新聞擁護の記事を書いています。一方、普段は朝日新聞に同調してヒステリックに社会を批判する人物や団体が、朝日新聞の明らかな過失については批判しないで擁護するケースが散見されます。私たち国民にとっては、ダブルスタンダードを見抜く良い機会になるかもしれません(笑)。

メモメモメモメモメモ

それにしても9月12日の朝日新聞は、どの紙面見ても「吉田調書」「吉田証言」に加えて「レスリング吉田選手世界選手権優勝」というまさに吉田DAYとなっていました~(笑)

朝日新聞