2010年の京都の紅葉は? | 西陣に住んでます

2010年の京都の紅葉は?

西陣に住んでます-宝筐院



今年の夏は恐ろしく暑かったですね~!


京都ではナラ枯れ現象などが発生したり[→記事]
平安神宮左近の桜がこんな時期に咲いちゃったり[→記事] してますが、

肝心の紅葉の見頃時期はどうなのでしょうか・・・?


あくまで科学的に(笑)分析してみたいと思います。


サーチサーチサーチサーチサーチ

去年の夏は冷夏でしたが、今年の夏は記録破りの酷暑でした。
この酷暑が紅葉に与える影響が心配されるところですが、
実際どうなるのでしょうか?


民間の気象予報会社のウェザーニュースは、
9月の中旬に全国の紅葉予測を行っています。
[全国800ヶ所の紅葉見頃予想]


この予測の概要は次の通りです。


~見頃の時期は北日本で遅く、東・西日本で例年並み~

紅葉は一般的に秋の気温と深く関係しており、気温が低いと紅葉の時期が早まり、高いと遅くなります。今年はラニーニャ現象が発生しており、夏は猛暑になりました。この場合、冬は寒くなることが多く、今年は10月中旬までは例年よりも気温が高くなると予想されるものの、10月下旬からは冬型の気圧配置が現れるようになり、例年並みかやや低い気温になる予想です。そのため、例年10月に見頃を迎える北日本では、例年に比べ見頃がやや遅れるものの、11月、12月に見頃を迎える東日本・西日本では、例年並に紅葉の見頃を迎える地域が多くなりそうです。


~猛暑の影響心配なし!夏の晴天で、全国的に色付きは良好~

色付きの良さは秋の気温や日照時間、夏の葉の育ちや痛み具合に影響されると言われています。今年の夏は記録的な猛暑となり、日照時間も例年に比べ長くなりました。このため、光合成が活発に行われ、葉の育ちが良く、また紅葉の色を出す色素の元も活発に作られたと考えられます。雨が少なく猛暑の影響で、葉が痛んだり、虫の害が発生している木が一部ではあるものの、影響は限定的と見ています。また、秋の条件も色付きに対して左右します。秋雨前線による日照不足は色付きに対して悪く働くものの、10月下旬からの冷え込みは色付きに対して良く働きます。これらの条件から総合的にみると、今年の色付きは鮮やかで、まずまずの綺麗さになると考えられます。


あくまでも全国的なトレンドを予測したものであるので何とも言えませんが、
私はぼちぼち当たっているのではないかと思います。


紅葉がとってもキレイな嵯峨宝筐院(↑写真)では、
1990年からの紅葉のピークの実況を発表してくれています。

宝筐院の紅葉は、
京都の紅葉の全体的なピークの時期にそのピークを迎えることから、
京都の紅葉を考える上でとっても貴重なデータと言えます。


[宝筐院の紅葉のピーク]


このデータでは、
紅葉のピークとなる約1週間強の期間が示されていますが、
ここで、その期間の真中の日を紅葉の見頃と仮定して
過去20年にわたる京都の月別の気温(気象庁)と比較してみました。

(↓クリック拡大)

西陣に住んでます-紅葉の見頃時期

西陣に住んでます-紅葉の見頃時期

西陣に住んでます-紅葉の見頃時期


これらの図を見ると、

確かに気温と紅葉の時期の間には相関関係があるようです。

どれも回帰直線が増加関数になっていることから、

よくいわれるように、「気温が高いと紅葉の時期は遅れる」
という傾向が実際にあることがわかります。

また、図中のR2決定係数と呼ばれるもので、
1に近いほど関連性が強く、
0に近いほど関連性が弱いことを示すものです。

実際には、この値が0.6よりも大きいと、
統計学的にぼちぼち関連性が高いと評価されることになります。

ここで、この値を基にして考察すると、次のような結論に達します。

(1) 紅葉のピーク時期は11月の気温に強い影響を受ける。
(2) 8~10月の気温は紅葉のピーク時期にほとんど影響しない。


つまり、8月に記録的な酷暑を記録したからといって、
必ずしも紅葉の見頃時期が早くなるとは限らないということで、
大事なのは11月の気温予測であるということです。

さて、気になる11月の気温ですが、
10月23日の気象庁の[近畿地方の1か月予報] によると、


向こう一カ月の気温は
高くなる確率が50%、平年並みの確率が30%、低くなる確率が20%


ということです。この予報からすると、
「11月の気温は高くなる可能性がやや高い」と言えるかと思います。

ウェザーリポートの9月発表の予想では、
10月下旬から例年並みかやや低い気温になることを予想して、
紅葉の見頃時期は平年並みという結論を出しているので、
そのロジックから言えば、
「今年の京都の紅葉は遅れる可能性がやや高い」

と分析できるかと思います。


なお、この1か月予報は毎週金曜日にアップデイトされるようなので、
気をつけて見守りたいと思います。

ちなみに葉を赤くする物質のアントシアニン
夏には生成されないとされています。
10月になって、日照時間が平年よりもやや少なくなっている
のが気になるところです。

ところで、今年の夏には、ラニーニャが発生したそうです。
最近、20年間で秋にラニーニャが発生していたのは、
1994年、1995年、1996年冬、1998年、1999年、2005年、2007年です。

そこで、京都の気温や宝筐院の見頃時期の各年データと

比較してみましたが、顕著な影響を与えているようには見えませんでした。
つまり、「ラニーニャの発生は京都の紅葉に影響を与えない」

と言えるのではないでしょうか。

一方、今年は京都に台風が上陸しませんでしたので、
「今年は台風による葉のダメージはほとんどない」と考えられます。


というわけで、以上議論してきましたが、
「ここまでのデータでは、

 今年の京都の見頃時期がどうなるかはよくわからない」

というのが結論です(笑)。


今年も運命に身をまかせて楽しもうと思います。

なお週間予報によると、火曜日からめちゃくちゃ寒くなるそうなので、
風邪をひかないように気をつけましょうね。