移民、生産性、正社員化、第4の産業革命 | 朝倉新哉の研究室

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全ては日本を強くするために…

やあ、みなさん、私の研究室へようこそ。

一昨日の記事で、
人口が減っても経済力を落とさないためには、
生産性を上げることが必要だ、
と言いましたが、
産経新聞の田村秀男さんが、
昨年の6月20日に、同様のことを言っていました。

>>>
内閣府や「経済財政諮問会議」を
裏方で仕切っている財務官僚は
着々と移民への地ならしをしている。
例えば、内閣府は2月、報告書で
出生率に加えて移民を年20万人ずつ受け入れた場合、
60年で人口1億1000万人台(12年)を保てるが、
移民なしでは出生率回復の場合では9894万人に落ち込むと
「予測」してみせたが、計算根拠なしだ。

移民増加で経済が再生できるなら、
それだけの綿密な経済分析が必要だが、諮問会議では
おなじみの御用経済学者による
「技能のある外国人材が活躍できる環境の構築でイノベーション」
など、もっともらしいが、出来損ないの中学生の作文である。

生産適齢人口(15歳以上、65歳未満)が減る中で、
経済成長を維持するためには
労働生産性を高めることが必要だ。
人口構成が日本とよく似ているドイツの移民は人口の15%程度になる。
では、同国の労働生産性の伸び率はというと、
2000年~12年の年平均で1・1%、
対する日本(滞在外国人比率1・7%)は1・3%である。
移民が多いからと言って、生産性が向上するわけではないのだ。
(産経新聞特別記者・田村秀男)
>>>

http://www.zakzak.co.jp/economy/ecn-news/news/20140620/ecn1406201140002-n1.htm
から抜粋して引用。
(青字、赤字による強調はブログ主による)

一昨日の記事では、
日本の適正人口は7000万人だ、
という説があることを紹介しましたが、
上記記事中の内閣府の計算では、
移民なしの場合だと、9800万人ほどに減ると言っています。
それでも、7000万人よりずっと多く、過剰人口です。
この時点で、移民受け入れ論は、破綻しているとも言えますね。

日本より移民の割合が高いドイツは、
労働生産性の伸び率が、1.1%。
日本は、1.3%。
では、移民が多いほうが、労働生産性の伸び率が低いのか、
というと、そういうわけでもないようです。

グラフ1




















http://getnews.jp/archives/50611より転載

どこも似たような伸び方で、
移民の多い少ないに左右されるわけではないようです。
ただし、これは、”伸び率”であって、
労働生産性そのものを見ると、グラフ2のようになります。

グラフ2



























http://www.it-office.jp/office/concept.htmlより転載

日本は、低いですね。
そう言えば、「日本は労働生産性が低い」って、聞いた記憶がありました。
しかし、スペインやギリシャより日本のほうが低い、
というのは、腑に落ちないですね。
スペイン人やギリシャ人は、働き者ですかね。
むしろ、逆のイメージじゃないですか?
イタリア人なんかもそうですよね。
しかし、日本より労働生産性が高い国が、これだけあるんですから、
日本は、もっと生産性を高められる余地がある、
とも言えます。
しかも、生産性を高めれば、人口が減っても経済力を維持できるのですから、
移民に頼る必要性はなくなるわけです。

労働生産性の向上=移民に頼る必要性の減少

と言えるでしょう。
グラフ2を見ると、
アメリカ、オーストラリア、イギリス、フランス、ドイツ、スウェーデン
は、間違いなく日本よりも移民受け入れの割合が高い国です。
そういった国が、日本よりも労働生産性が高いわけですから、
”移民を受け入れている国は、労働生産性が高い。
 日本が労働生産性が低いのは、移民を受け入れていないからだ。
 だから、日本は移民を受け入れるべきだ。” 
と移民受け入れ派が、騒ぎそうですが、
そういう主張は聞いたことがありません。
なぜでしょう?
まあ、私が知らないだけで、誰かが言ってるのかもしれませんが。

ところで、
日本企業にこんな動きが出ています。

>>>
正社員化で囲い込み 小売りなど「地域限定」活用

2015/2/16 2:05
日本経済新聞 電子版

企業が正社員を増やし始めている。
若い世代が減り、人材を囲い込む必要が出てきたためだ。
小売業やサービス業を中心に待遇の良い正社員を増やす動きがあり、
2014年12月は企業による正社員の求人が約8年ぶりの多さになった。
パートなど非正規労働者から正社員に変わる人が増えて
賃金水準が底上げされれば、景気を支える要因になりそうだ。




















昨年12月の完全失業率は3.4%と17年4カ月ぶりに低い水準。
仕事を選ばなければ誰もが働ける「完全雇用」に近い。
働き手の中心である15~64歳は
14年末に7756万人と前年に比べて117万人も減り、今後も減り続ける見通しだ。

こうした状況に企業は人材難への危機感を強めている。
無期雇用で昇給制度もある正社員を増やせば人件費は増えかねないが、
地域や勤務時間を限る限定正社員の仕組みなども使い、人材の確保を急いでいる。

厚生労働省の統計によると、
企業が昨年12月に新たに出した正社員の求人は季節要因をならして約35万人。
7年10カ月ぶりの多さだ。
常用雇用で見ると、専門・技術職の求人は新たに職を求めた人の3倍以上。
サービス業も求職者1人を3社近くが奪い合っている状況で採用競争は激しい。

このためすでに非正規で働いている人を正社員にする企業が目立つ。
東京ディズニーランドを運営するオリエンタルランドは
821人の契約社員のうち、16年度からは希望する人すべてを正社員に登用する計画だ。
高度なショーを運営するノウハウを持つ人に働き続けてもらうようにする。

育児などと両立しやすい仕組みで人材をつなぎとめようとする企業も多い。
カジュアル衣料品店「ユニクロ」を運営するファーストリテイリングは、
地域を限って短時間勤務を認める正社員制度を導入した。
長時間働けない人も良い処遇を目指すことができる。
将来は1万6千人をこの制度で雇う計画だ。

企業も高い時給で新たなパートを雇って育てるよりも、
経験を積んだ人材を定着させるほうが効率が良い。

賞与や昇給が少なく、雇用期間に限りがあることも多い非正規から
正規に移る流れが強まれば、雇用者全体の賃金底上げが期待できる。
>>

http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS15H18_V10C15A2MM8000/から抜粋して引用。

移民を受け入れる根拠として、少子化問題があります。
少子化の最大の原因は、婚姻件数の減少です。
婚姻件数が減っているから、出生数も減っているのです。
婚姻件数が減っている主な原因は、
非正規雇用の増加(=正規雇用の減少)と賃金の低下です。
上記の記事のような動きが広がっていけば、
給料が上がり、正規雇用が増える(=非正規雇用が減る)ので、
婚姻件数の増加が期待できます。
婚姻件数が増えれば、出生数も増えますから、
移民など必要なくなるわけです。
政府は、この動きを後押しすべきです。


また生産性の話に戻りますが、
こんな動きがあります。

>>>
「第4の産業革命」日本乗り遅れるな

12月9日 17時26分

ロボットや人工知能などを活用した、革新的なものづくりを目指す、
「第4の産業革命」
と呼ばれる取り組みが世界各地で進むなか、
経済産業省は
この動きに日本企業が乗り遅れないよう具体的な対応策の検討を始めました。

経済産業省によりますと、
世界の製造業では
ロボットや人工知能、ITといった最新の技術を駆使して、
すべての工程を自動化する
「第4の産業革命」
と呼ばれる動きがドイツを中心に始まっています。
このため経済産業省は、
有識者からなる産業構造審議会の小委員会を9日開き、
日本企業が
ITを産業分野に本格的に活用するこの動きに乗り遅れないよう、
取り組みを急ぎたいという方針を示しました。
これに対して、出席者からは、
「今のIT技術の進歩は
 これまでの事業戦略を根本から変える次元にまできており、
 企業の経営者も考え方を変えるべきだ」
といった意見が出されました。
審議会では、
来年夏にも政府が取りまとめる新たな成長戦略に、
革新的なものづくりなどの実現に向けた具体策を盛り込むよう提案することにしています。

ロボットやIT活用の産業革命

「第4の産業革命」と呼ばれる動きは、
ドイツが「インダストリー4.0」と呼んで、産官学の連携で進めています。
ドイツでは、
水力や蒸気機関の登場で工場が機械化されたことを
第1次産業革命、
電力を活用して大量生産が本格化したことを
第2次産業革命、
そして、コンピューターの活用が進み、生産工程の自動化が進んだことを
第3次産業革命と位置づけています。
このためロボットや人工知能、ITなどを組み合わせて
さらに進んだものづくりを目指す今回の動きを、
第4の産業革命と呼んでいるのです。
第4の産業革命では、
人工知能が工場内の一つ一つの機械に対して
最適な動きの指示を出し、工場全体の生産効率を高めるとしています。
これによって、同じ製品の大量生産だけでなく、
顧客のニーズに合わせた、オーダーメードの製品を、
少量で生産する工程であってもすべて自動化できるようになるということです。
さらに工場をネットワークでつなげ、
製品の設計から部品の調達、流通まで、
すべて人工知能が管理することで
生産コストを大幅に削減することができるとしています。
こうしたものづくりの革新に成功すれば、
国際的な競争力を高めることができる一方で

大勢の人を雇用する製造業で人手が要らなくなることが懸念され、
光と影を生み出すことになりそうです。
>>>

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20141209/k10013843081000.htmlから引用。
(青字、赤字による強調はブログ主による)

労働生産性が高くなる=人手がいらなくなる
→人口が減っても経済力を維持できる

これは、見方を変えれば、

労働生産性が高くなる=人手がいらなくなる
→失業が増える

とも言えます。
しかし、失業が増えるのは、人口が減らない場合、あるいは増える場合ですから、
人口が減っていくのなら、失業は問題にはならないはずです。

この”第4の産業革命”も、生産性を高める努力の一環と言えるわけですが、
そういう動きをしている中で、
移民を受け入れて、労働人口を増やしてしまったら、
本来なら、発生しないはずの失業問題が発生することになり、
”移民を受け入れたけど移民に与える仕事がない”
ということになってしまいます。
そうなったら、犯罪が激増するのは、火を見るより明らかです。

『高齢化問題は解決?』という記事で、
定年の有名無実化が進んでいることを紹介しました。
働く高齢者が増えれば、高齢化問題は相当緩和されるはずです。
それに加えて、
企業の正社員化を後押しすれば、
出生数も回復するでしょう。
さらに、第4の産業革命のような生産性を高める取り組みも進めていけば、
移民に頼る必要はないと思います。

結論
日本に移民は必要ない


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