燃料電池車が本命? | 朝倉新哉の研究室

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トヨタが燃料電池車の一般向け販売を開始するようです。

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トヨタ 燃料電池車を一般向け販売へ

トヨタ自動車は次世代のエコカー、
「燃料電池車」の将来の販売競争に先手を打つため、
一般向けの販売を700万円程度の価格で今年度内に始める方針を固めました。



燃料電池車は、
車に充填(じゅうてん)した水素と
空気中の酸素を反応させて発生した電力でモーターを回して走る車で、
走行中に二酸化炭素を排出しないことから、
次世代のエコカーの本命とも言われています
関係者によりますと、この燃料電池車について、
トヨタは一般向けの販売を700万円程度の価格で今年度内に始める方針を固めました。
トヨタは12年前からリースに乗り出していましたが、
毎月のリース価格が当時120万円かかっていたため、
納入先は官公庁などに限られていました。
そこで、高価な部品の使用量を減らしても
性能が落ちないようにするなど、コストダウンを進めたほか、
量産体制も整えるといった価格の引き下げに向けた開発を加速させていました。
トヨタは早ければ年内に発売することも検討しており、
ほかのメーカーに先駆けることで、
将来、世界の自動車市場で主流となる可能性があるとみている
燃料電池車を巡る販売競争をリードしたい考えです。
このほか、ホンダは来年に、
日産自動車は3年後に燃料電池車の一般向けの販売に乗り出す計画ですが、
普及に向けては水素を車に充填する施設の数をどこまで増やせるかなどが課題となります。
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http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140625/k10015477681000.htmlから抜粋して引用。
(赤字強調はブログ主による)

燃料電池車は、次世代エコカーの本命ですか。
記事では、二酸化炭素が出ないことにしか、言及していませんが、
水は排出されます。
水が出る?
水が出るだけなら、クリーンじゃないか、と思ったアナタ、
ちょっと浅いと思いますよ。
水しか出ない、というのが、曲者です。
私は、
他の国なら、いざしらず、
日本においては、本命にはなりえないだろう、
と思っています。
燃料電池車の数が増えると、ある問題が起こるだろう、と。
それは、日本の気候風土に根ざした問題です。

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世界の文明国を眺めても、日本ほど湿度の高い国はない。
高温多湿の国に文明国はない、とまで言われている。

(日本家屋の)床を高くするのは、床下に風を通して、
水や湿気が生活空間に影響をおよぼさない工夫である。
西洋では一般に、路面が床面と同じ高さである。
しかも、日本の古代人は、単に床を高くしただけでない。
日本の気候は、一年中の湿度や温度の差が極端で、
この差がそのまま住居の中に持ち込まれると、とても快適とはいえない。
室内を常温常湿に保っていたい。
湿度の高いときは湿度を吸い、湿度の低いときには逆に吐き出してくれる、
一種のエア・コンディショナーが、
日本の泥壁や土壁である。
泥や漆喰の壁は、
湿気が高いときは湿気を吸い、低いときは吐き出す

したがって、部屋の中は常湿に保たれることになる。

床を高くし、泥壁を考案したうえに、
日本人はもうひとつの知恵を加えた。
それが座敷である。
畳もやはり壁同様に呼吸している
つまり、日本の家屋は、家全体が呼吸しているといっていい
柱も床板も壁も畳も、雨の多い季節には膨張して外を内とをピッタリ遮断し、
壁や畳は室内の湿気を吸い、
乾燥してくると、その湿気を吐き出して外より湿度を高くする。
私が日本の家屋は生きているというのは、こういうことである。

私は学生時代に、なぜ、日本人は履物を脱ぐのか、
西洋人はなぜ、土足で入っていくのかとひじょうに疑問に思ったことがある。

こうした違いが、なぜ起こったかは、
やはり日本の風土に大きな関係があると思われる。
日本は湿気がひじょうに多い。
それに対応するためには、住居の下も上も、
それから周囲も、湿気を防ぐ構造にし、
材料もまた、そういう材料を使う必要があった。
その結果、木造の日本家屋が完成したと考えるべきだ。
西洋の場合は、屋根で雨露を防ぎ、壁によって外気を遮断すれば、
それでこと足りたのである。

日本が木材家屋になったのは、
けっして石やレンガによる建築が、技術的にできなかったからではない。
日本人は昔から立派な瓦を焼いているし、
また日本は地質自体が陶土と粘土に恵まれた国である。
むしろ、世界でも珍しいぐらいに恵まれているから、
日本全国で必要なら、レンガを焼くくらい、何でもないことであった。
今日の世界陶器の2、30%が、日本製であることを考えれば、
それはすぐ首肯できるはずである。
しかも、日本は一度、それを経験している。
東大寺など、奈良時代の寺院の床は、
磚と呼ばれるレンガ板である。
なかには、レンガに仏像をレリーフしたものもある。
平城京、平安京などは、全部レンガ敷きである。

だから、一度はやってみたのである。
しかし、それを中止した。
なぜやめたか。
やはり、レンガでは日本の風土に合わなかったからである。
レンガは地面にくっついて、
空気中の湿気を吸ったり吐いたりすると同時に、
地面の水分も吸ったり吐いたりするのである。
レンガという素焼性のものは、保水性といって、
常に水分を飽和点まで蓄える性質を持っている。
したがって、家屋にこれを使用すると、
常に湿気が吸着されていて、
居住空間内の湿度が上がってしまうのである。
すると、もし、レンガ造りの家屋に住むとなると、
ドアも窓も全部、開け放しにして、
屋根を支える柱だけにすれば住めなくもない、
という状態になるのである。

こうして日本人は、レンガを住居に一度は使用したが、
それが湿度の高い日本では不合理であることを知ると、
奈良、平安時代に捨てたのである。
それを忘れて、
西洋文化が大量に流入した明治時代に、レンガ造りの家屋を建築した。
今日ではなくなったが、江戸城の前の丸の内ビル街に、
明治三十八年ごろからレンガ建築を近代的と考えて、
次々と建築したのである。
これが「一丁ロンドン」といわれた、旧三菱の建物である。
ところが、建ててみてわかった。
室内のレンガにびっしりと白いカビが生える。
それを防ぐために内側の壁に漆喰を塗るのだが、
いくら塗ってもすぐに剥げ落ちてしまったのである。

日本では、湿気が多いから、レンガという焼物では、
室内室外の湿度が高まり、バクテリアが発生して、
壁に白いカビが生えるのである。

今日では、レンガ造りの書庫や倉庫は造られていない。
レンガ風にみえるものは、外側に装飾的にレンガ状のタイルを張ってあるだけである。

レンガ造りの家屋は、できないから、やらなかったのではなく、
長い歴史の過程で、適性のない栽培品種を捨てたように、
捨てたものなのである。

日本人は、木材を建築材として選択したのである。
湿気の多い風土の中で、
日本人が住むにはちょうどいい状況をつくってくれるから、
木材を採用し、木造建築を発達させたのである。
日本の泥壁、荒壁もまた、単に簡単に手に入るから使ったのではなくて、
やはり湿気を吸って、吐き出す呼吸の水準が、
ちょうど、人間の身体に合うから採用したのである。
さらに、天井板の重ね張りという方法も、
換気空間である屋根裏との空気の適度な流通を考えたうえで、
完成した技術である。
畳もまた、そうである。

このように、日本を代表する木造の日本家屋は、
日本の風土に適応するように、
石器時代の竪穴式住居にはじまって、
弥生文化の高床式住居になる。
そこに、中国文化の影響を受けた八世紀以後の日本の宮殿や貴族建築ができて、
それがまた民家に取り入れられて、
最後に選ばれたのが、今の日本の木造家屋なのである。
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『梅干しと日本刀』樋口清之 祥伝社黄金文庫 から抜粋して引用。
((青字、赤字による強調はブログ主による 緑字はブログ主による補足)


湿度の低い国なら、燃料電池車は、主流になってもおかしくはありません。
しかし、湿度の高い日本では、どうでしょうか。
人口密度の少ない田舎なら、いいかもしれませんが、
都市部の、それも幹線道路沿いに住んでいる人たちは、
燃料電池車の出す水(水蒸気)によって、
室内がカビだらけになって、とても住めない、
という事態が起こるのではないか、と思うのです。
東京の都心部のオフィスビルなどでも、
おそらくカビが生えたり、湿気のひどさに悩まされることになるのではないか、
と思うのです。

『梅干しと日本刀』を読んで思ったのは、
我々の祖先の偉さです。
日本の湿気の多さに対応すべく、
家全体で湿気を吸ったり、吐いたりする
”呼吸する家”を作り出したのです。
それ以外にも、日本人のすごい知恵や創意工夫が、たくさん書かれています。


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