やあ、みなさん、私の研究室へようこそ。
成長戦略の話題は、ヤバイ話ばかりです。
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地域人材バンク創設
外国人特例、造船に拡大
政府がまとめる新たな成長戦略の素案の全容が15日判明した。
地域経済を活性化するため、
担い手の確保から定着まで一貫して支援する「地域人材バンク」を創設する。
建設業に限った緊急対策として決めた
外国人の受け入れ特例を、
人手不足が深刻な造船業に拡大適用する方針も打ち出した。
16日の産業競争力会議で素案を提示し、
27日の閣議決定を目指す。
安倍政権の経済政策は大企業や大都市優先との批判が強い。
新成長戦略で、
景気回復の果実を地方にも十分に届けられるかどうかが、
アベノミクスの成否の鍵を握る。
地域人材バンクは
都市部に流出しがちな地方の人材をつなぎ留める狙いがある。
中堅企業と地方自治体、大学、金融機関が連携した戦略産業の担い手を育てる。
ほかに
地域で若者や女性が創業しやすい環境の整備、
担保や個人保証に依存せず事業性を評価する銀行融資の促進も盛り込んだ。
造船業には、
外国人技能実習制度の滞在可能期間を最長2年延ばしたり、
帰国した実習生を呼び戻したりできる特例を適用。
長崎市や愛媛県今治市など地方都市に拠点が多く、
「輸出を支え、地域経済に貢献している」ことを考慮し、
建設業と同様に扱うことにした。
付け焼き刃の地方配慮
政府は新しい成長戦略の素案で
「地域人材バンク」の創設や
造船業への外国人の受け入れ拡大といった地方への配慮を加えたが、
効果的な対策となるかは不透明で、
付け焼き刃の印象を拭えない。
農業分野をはじめ安倍政権の改革が進めば、
地方経済へのマイナスが目立つ恐れもあり、
一段と丁寧な対応が求められる。
新成長戦略は、株価を意識して
海外投資家の期待に沿うような「改革色」をアピールした側面が強い。
農業、雇用、医療分野を「岩盤規制」と名指しして
規制改革を打ち出したのがその典型だ。
農協の組織改革を進めれば、
過疎地で農協が果たしてきた生活インフラの縮小につながる可能性がある。
成果で評価する雇用制度が広がれば、
長時間労働が増える懸念も否定できない。
新成長戦略は
人口減少問題の克服を目指して練られただけに、
地方は大きな関心を寄せている。
株価の上昇といった資本市場の評価だけでなく、
地方の声に耳を傾ける必要がある。
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福島民友新聞(6月16日付)より引用。
(青字、赤字による強調はブログ主による)
造船業も人手不足だから、
建設業と同様に、外国人に頼ろうとしているようです。
では、その建設業はどうかというと…。
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外国人拡大も人手不足解消は限定的
6月12日
建設業の人手不足を補うため、
外国人労働者の受け入れを拡大することについて、
外国人を雇用する建設会社の90%近くが
人手不足解消の効果は限定的だと考えていることが
NHKの行ったアンケートで分かりました。
政府は、
東京オリンピック・パラリンピックなどに向けた
建設業の人手不足を補うため、
技能実習を終えた外国人の在留期間を延長するなどの
緊急措置を決め、来年度から実施する方針です。
NHKは
建設業の技能実習生を雇用している企業213社にアンケートを行い、
47%に当たる101社から回答を得ました。
この中で、
政府の緊急措置を利用するかどうか尋ねたところ、
「利用する」、「利用する方向で検討中」が合わせて91%に上りました。
一方で、
外国人の受け入れで人手不足が解消するかどうかについては、
「しない」または「部分的にとどまる」と答えた企業が合わせて86%を占めました。
その理由を複数回答で尋ねたところ、
「日本人の若い人が建設業に入ってこないから」
が最も多く81%、
次いで「日本人のベテラン職人が辞めていくから」
が40%となり、
「目先のことは外国人実習生でなんとかなるが、将来的に立ち行かなくなる」
といった声が聞かれました。
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http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140612/k10015158681000.htmlから抜粋して引用。
(赤字強調はブログ主による)
外国人に頼っても、”目先のこと”、その場しのぎにしかならないのです。
それに、そもそも建設業の人手不足問題は、ギリギリ回避できているのです。
(当ブログ『外国人労働者は不要』をご参照ください)
造船業も、賃金アップで、かなりの程度解決は可能なはずです。
>新成長戦略は、株価を意識して
>海外投資家の期待に沿うような「改革色」をアピールした側面が強い
これについて、東田剛さん(中野剛志さんの変名)が、
こんなことを言っています。
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「「アベノミクスのバロメーターは、なにより株価だ」3月11日、首相官邸。
安倍は居並ぶ経済関係閣僚を前に漏らした。」
アベノミクスのバロメーターは、
失業率でもコアコアCPIでも実質賃金でも国民所得でもなく、成長率ですらなく、
なにより株価なんだそうです。
法人税減税で、外資を呼び込むというのは、
株価を上げて、政権支持率を上げるためなんですね。
成長戦略の目的は、国民所得の向上でも、デフレ脱却でも、雇用でもなく、
単なる「株価の上昇」、そして、それによる「政権支持率の上昇」ですか。
政府が目先の株価や支持率のために動くなんて、経世済民のかけらもありません。
でも、そう考えると、一連の成長戦略のメニューの意味がクリアに分かります。
例えば、GPIF(年金積立金管理運用法人)の運用で、
株式投資の比重を上げさせるのも、株価を上げるため。
(当ブログ 『年金がヤバイ』をご参照ください)
企業統治改革も、外資マネーを呼び込んで、株価を上げるため。
企業統治改革というのは、
要するに、社外取締役を入れて、株主の意見を強めて、
ROE(自己資本利益率)を上げるという米国型の企業経営にするという話です。
で、90年代半ばに、これをやって、ダメになったのがソニー。
それから、以下の論文は、
2002年から2007年の景気拡大期に、
なぜ賃金が上がらなかったのかを分析したものですが、
株主の意見を強くする米国型の企業統治の導入が、賃金を抑制していたとの結果が出ています。
http://www.boj.or.jp/research/wps_rev/wps_2009/data/wp09j05.pdf
そりゃ、そうでしょう。
企業が、利益を上げて、株主への配当を増やすには、
人件費のカットが一番手っ取り早いわけですから、当然、こうなる。
アメリカが1980年代から実質賃金が上がらなくなってしまったのも、同じ理由でしょう。
この企業統治改革が目指しているのは、まさに
「ウォール街から世間を席巻した、強欲を原動力とするような資本主義」
(要出典)に他なりません。
株価の上昇を目的とした成長戦略とは、
賃金と雇用の抑制につながる成長戦略になるに決まっているのです。
政権支持率を上げるため、株価を上げ、
そのためには、賃金と雇用を引き下げるという戦略が、官邸主導で実行されているのです。
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『三橋貴明の「新」日本経済新聞』(2014年6月11日付 執筆者は東田剛さん)
から抜粋して引用。
(青字、赤字による強調はブログ主による 緑字はブログ主による補足)
企業統治改革の名のもとに、
株主の意見を強めて、米国型の経営に。
そうすると、人件費をカットして、配当を増やせ、ということになり、
賃金は抑制される、と。
給料が増えず、GDPも増えなくなることを意に介さず、
「人件費をカットして、配当を増やせ!」
と要求する株主たち。
給料を減らせば、GDPも減り、国全体の経済力も落ちてしまうのに、
それよりも、配当を増やして、自分たちの利益を増やすことを優先しているのです。
モンスターペアレンツならぬモンスター株主という呼び名がピッタリだろう、
と思って、そう名付けました。
今後は、”逆企業統治改革”をやるべきです。
株主の支配力を弱め、給料が増えていくように、改めるのです。
株式持ち合いを復活させれば、それは可能です。
(当ブログ『賃上げの足音が徐々に 資本提携促進法の提案』をご参照ください)
で、最も気になるのが、「地域人材バンク」です。
どうしても、”あの人”の”あの会社”が絡んでいるように思えてなりません。
竹中平蔵が取締役会長を務めるパソナです。
「人材バンク」という名前からして、
人材派遣大手のパソナが絡んでいるであろうことは、
容易に想像がつきます。
パソナは、すでに、
株式会社パソナ農援隊(HPはこちら)という子会社を作って、
農業分野への進出を図っています。
農業だけでなく、地域人材バンクという形で、地方での業務拡大を狙っているのでしょう。
パソナ取締役会長 竹中平蔵
(ウィキペディアより転載)
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