選択療養制度は混合診療と同じ 絶対つぶすべき! | 朝倉新哉の研究室

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やあ、みなさん、私の研究室へようこそ。

以前にも、混合診療のヤバさをお伝えしてきましたが、
名前を変えて、事実上、混合診療を解禁してしまおうという、
実に姑息な動きが進行しています。

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From 東田剛&村上正泰教授@山形大学

今回は、例の「総理指示」について、
山形大学の村上正泰教授にご投稿いただきました。

村上先生は、医療行政に詳しく、
医療が新自由主義的な改革のターゲットとなってきたことを
厳しく批判されてきました。
『TPP 黒い条約』にも論考を寄せていらっしゃいます。
是非、お読みください。

 http://amzn.to/1aao2uo

今回の村上先生のご投稿は、実に興味深く、かつ重大な内容ですので、
是非、お読みいただくとともに、拡散していただければと存じます。

では、どうぞ。

<再燃する混合診療解禁論の愚かさ>

いわゆる「混合診療」問題が再燃しています。
先日の経済財政諮問会議で、
安倍首相が混合診療の大幅拡充を検討するように指示を出したからです。
何だか小泉政権時代を彷彿とさせる光景ですね。

http://www.nikkei.com/article/DGXNASFS16036_W4A410C1MM8000/?n_cid=TPRN0003

規制改革会議などに生息している
「混合診療解禁派」は本当にしつこくて、
最近では
選択療養制度(仮称)」という新しい提案まで出しています。

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/140327/plc14032719230011-n1.htm

個々の患者が希望する診療について、
個別に保険診療との併用を認めるなんて、
実質的に混合診療の全面解禁です

新しい名前で取り繕っているわけですが、
こんな低次元な議論は
小泉政権時代の激論を経て、もはや完全に消え去っていたのに、
最近、またぞろ息を吹き返しています。
ストーカー並みの粘着質です。

ところで、安倍首相は
「困難な病気と闘う患者」のためであるかのような発言をしていますが、
難病患者団体の皆さんは
「選択療養制度(仮称)」に反対を表明されています


http://www.nanbyo.jp/appeal/140403yobo.pdf

なのに、なぜ「困難な病気と闘う患者」のためのようなことを言うのか、
さっぱり理解できません。
しかも、皆さんも加入している
健保組合、国民健康保険、協会けんぽといった保険者も反対しています

http://www.kenporen.com/include/press/2014/20140404.pdf

医師会が「岩盤規制」の抵抗勢力であるように言われますが、
そんなことはなくて、混合診療解禁には、これだけ多くの人たちがこぞって反対しています。
そのような状況で、安倍首相は
「大きく変える制度改革」に突き進もうとしているのです。
一体何のためなのでしょうか。

混合診療禁止とは、
保険診療と保険外診療の併用が原則として禁止されているということですが、
すべて禁止されているのではなくて、
保険外併用療養費制度という一定のルールに基づいて、例外的に認められています。
混合診療を全面解禁してしまうと、
有効性や安全性の確認できていない技術が広がる恐れがあります

それで不利益を受けるのは国民です。
いくら患者が希望するとしても、
医療には「情報の非対称性」があるので、患者は有効性・安全性を自己責任で判断できません

 ブログ主による補足  
 情報の非対称性とは、
 医者は、専門家だから、知識をもっている、 
 患者は、素人だから、知識がない、ということです。
 患者は、素人で知識がないのだから、
 治療法が有効で安全なのか、判断できるわけないですよね。


技術はそれぞれ区別されるとしても、診療行為は不可分一体で提供されます。
混合診療を認めると、
有効性や安全性の確認できない技術の拡散を
公的医療保険制度で助長することになります
し、
仮に副作用などが出た場合にも、
その治療が公的医療保険制度でカバーされることになり、
公的医療保険の信頼性を損ねます

しかも、併用を認めることで、むしろ公的医療費も増加します
これは、二木立氏によって「新自由主義的医療改革のジレンマ」と呼ばれています。

最も本質的な問題は
混合診療を解禁することで、
将来的に有効性や安全性が確認されても、
新技術がずっと保険外に据え置かれてしまい、
所得によって受けられる医療格差が拡大するという懸念
です。
そうなると、
安倍首相自身もかつて潰瘍性大腸炎に苦しみましたが、
難病で仕事を継続できなくなっても、
所得が高い人は画期的な新薬を使って「再チャレンジ」できるのに、
所得の低い人には、その道を閉ざすというのでしょうか。
公的医療費を私的医療費に転嫁させるだけでは、患者のためになりません。

こうした問題があるため、
一定のルールの下で管理しながら、
例外的に混合診療を認めているのが現行制度です。
もちろん現行制度にも運用上の問題はあるので、
新規の抗がん剤などを迅速に保険診療と併用できるよう、
厚生労働省も運用上の改善を図っています

規制改革会議でも、一定の要件を課す必要性を認めるような議論も出ていますが、
そうであれば、「大きく変える」必要はなく、運用上の改善で済むはずです。

もし安倍首相のように、
患者のためだと本当に言うのであれば、
有効性や安全性の確認できた技術は公的保険の対象にしなければなりません。
患者さんにとって金銭的な負担が重くなるのは、
公的保険対象部分ではなく、高額な保険外の新技術の費用だからです。
しかも、仮に成長戦略として位置づけるとしても、
利用患者数が拡大するためには、保険収載する必要があります。
保険給付外のままでは、患者の金銭的負担が重く、
利用患者数が限定され、経済効果も広がらないためです。
その意味で、混合診療解禁などではなく、
必要かつ適切な診療は保険給付の対象にすること
こそが、
成長戦略にもつながるのです。

しかし、規制改革会議の連中は、
公的医療費を抑制するため、
公的医療保険制度の給付範囲を縮小すべきだと考えています。
でないと、
混合診療解禁という主張と
公的医療費抑制という主張を両立させることができません。
しかし、それを明確に主張すると批判が強くなるので、
自分たちの正体を覆い隠して、患者の味方のように振る舞っているだけなのです。
安倍首相は、
混合診療を成長戦略として「投資家にアピール」するらしい
のですが、
混合診療解禁は間違った政策であるだけでなく、成長戦略にすらならないのです。

(以上)

 困難な病気と患者のために混合診療・・・。
「女性のために外国人労働者」「女性のために配偶者控除廃止」と同じやり口ですね。
 何というか、実に、いやらしいですな。
 そういうの「ステルス作戦」っていうらしいですよ。
http://www.nikkei.com/article/DGKDASDC31003_T00C14A2EA1000/
>>>

『三橋経済新聞』2014年4月23日付 から抜粋して引用。
(青字、赤字による強調はブログ主による)


最後の「ステルス作戦」というのが、どういうものか、
以下に引用します。

>>>
「移民」は介護から?
外国人労働者拡大、静かに模索 技能実習見直し焦点


安倍政権は1月にまとめた成長戦略の検討方針に
「外国人受け入れ環境の整備」と明記した。
「移民」や「単純労働者」と言い出せば国論を二分しかねない問題。
そこで政府は、
受け入れの対象を低・中レベルの技能労働者までじわりと広げる
ステルス(見えにくい)作戦を進めようとしている。
外国人労働者が6月にまとめる成長戦略の焦点に浮かんできた。
>>>

http://www.nikkei.com/article/DGKDASDC31003_T00C14A2EA1000/から引用。

一昨日の記事でお伝えした
「移民は受け入れない」と言いながら、
外国人技能実習制度と高度人材受け入れ制度を拡充する、
というのとよく似てますね。
安倍内閣は、当初は、支持できる政策(プラスの政策)が多かったのですが、
いつの間にか、国民のためにならない”マイナスの政策”が多くなってきたように思います。
当ブログとしては、
安倍内閣の得点は得点として認め、支持しますが、
マイナスはマイナスとして、明確に反対します。
どうも経済面では、マイナスが多くなってきました。
消費税増税とか、外国人技能実習制度とか、高度人材受け入れ拡充とか、
選択療養制度という名の混合診療解禁とか…。

$国家戦略研究
↑  http://consultanta.web.fc2.com/ZZZ/MixWhere/MixWhere.htmlより転載

これが、混合診療解禁派の本音です。
国民全体の医療のことより、自社の利益を優先させているのです。
松井証券の社長も、混合診療解禁派です。


http://www.nikkei.com/article/DGXNASFS0300A_V00C13A4000000/より転載

松井氏は、
2001年から2003年まで規制改革会議の民間委員を務め、
混合診療の解禁を訴えていました。
松井氏は、
「現状の医療制度ではサービスとして付加価値を見いだすという視点に欠ける。」
と発言しており、
医療を利益を生む”産業”だと捉えています。

こういう人間の主張を、真に受けて混合診療を解禁したら、
とんでもないことになります。

>安倍首相は、
>混合診療を成長戦略として「投資家にアピール」するらしい

これが、本当なら、安倍総理も”同じ穴のムジナ”だということです。
そういう”ヤバい政策”は、絶対に阻止しなければなりません。

しかし、外交、安全保障の面では、プラスが多く、
こちらは、素直に評価したいと思います。

>>>
日米、宇宙防衛を強化 中朝データ共有し海洋・ミサイル監視 首脳会談合意へ

24日に都内で行われる日米首脳会談で、
安倍晋三首相とオバマ米大統領が、
宇宙における防衛協力の強化で合意することが21日、分かった。
北朝鮮の核・ミサイル開発が進む中、
日米が情報収集能力を補完し合うことで双方の防衛体制を強化する。

衛星情報を利用して、
東シナ海や南シナ海などへの進出を図る中国を念頭に
海洋監視を日米共同で強化するほか、
北朝鮮のミサイル発射に関する動きをいち早く察知し防衛行動の迅速化を図る。
テロ対策やシーレーン(海上交通路)の安全確保などにも活用する。

防衛省は、
高性能の熱源探知センサーを衛星に搭載する共同研究を
宇宙航空研究開発機構(JAXA)と進めるなど、
独自に宇宙からの警戒監視能力の強化を図っている。

首脳会談では、
サイバー防衛や海洋監視で
東南アジア諸国連合(ASEAN)を支援していくことも確認する。
また、安倍政権が掲げる「積極的平和主義」や
集団的自衛権の行使容認に向けた取り組みなどに対し、オバマ氏が支持を表明する見通しだ。
>>>

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/140422/plc14042208250007-n1.htm
から抜粋して引用。

”プラスの政策”は支持して、”マイナスの政策”には、反対を表明して実行させない、
そのようにして、安倍内閣をうまく”使う”ことが必要だと思います。

”ヤバい政策”、”マイナスの政策”はやらせない!
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