経済政策の目標 | 朝倉新哉の研究室

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全ては日本を強くするために…

やあ、みなさん、私の研究室へようこそ。

三橋経済新聞の記事を引用しながら、話を進めてまいります。
(一部省略しながら引用しています。青字による強調は私が行いました)

>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>引用部分
財務省が地方自治体に対し、
公共事業の予算を「次年度に持ち越す」ように促している

という報道が流れ、目を疑いました。
財務省といえば、我が国の「悪夢」と言ってもいい財政均衡主義の親玉です。
例年の公共事業予算は、自治体側が使い切らない場合「消滅」します。
というわけで、以前は3月に「駆け込み工事」が行われてたほどなのです。
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年度末になると、やたら道路工事が増える、
というのは、予算を次年度に持ち越せないから、
その年度のうちに、予算を使い切ってしまおうとするからなのです。
使い切らないと、次の年から予算を減らされますから。

>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>引用部分
とはいえ、現在は土建産業の供給能力不足により、
使いきれなかった予算は、そのまま「使わない」というケースが増えてきています。
いつもの財務省であれば、予算の節約(?)に対して喜んだだけでしょう。
ところが、今年は使い残した予算を、年度をまたいで使っていいと
「財務省」が自治体に異例の呼びかけを行っているわけです。
予算の繰り越しには面倒な手続きが必要なのですが、
財務省は手続きの簡略化まで検討しています
これは、何を意味するか。
要するに、消費税増税後の景気減速(及び税収減)に、
財務省までもが危機感を抱いている
という話なのだと思います。
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私は、予算は、次の年度には持ち越せないと思っていました。
これを予算の単年度主義と言います。
単年度主義だから、年度内に使い切らなくてはならなくなり、
余計な道路工事をやって、渋滞を発生させている、と、
ずい分批判されたものです。
しかし、たとえ面倒であっても、それなりの手続きさえすれば、
予算の持越しはできるということを初めて知りました。
「なんで今までやらなかったんだ!」
という話です。

消費税増税後の景気減速に、そんなに危機感をもつなら、
なんで増税するんだよ、という話です。
97年の消費税増税で何が起こったか?
長いデフレが起こったのはもちろんですが、
こういう悲劇も起こっているのです。

$国家戦略研究
http://asanagi987.blog27.fc2.com/blog-entry-4286.htmlより転載

ご覧のとおり、自殺者が急増したのです。
また同じことが起こったら、財務省はどう責任を取るつもりなんでしょう。
もっとも、それを恐れてるからこそ、
予算の繰り越しを奨励してるのかもしれませんが。
だったら、最初から増税するなよ、という話です。

>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>引用部分
『1月の街角景気、3カ月ぶり悪化 消費増税控え、反動減に懸念
http://www.nikkei.com/article/DGXNASFL100TL_Q4A210C1000000/

内閣府が10日発表した1月の景気ウオッチャー調査(街角景気)によると、
足元の景気実感を示す現状判断指数は
前月比1.0ポイント低下の54.7となり、3カ月ぶりに悪化した。
4月の消費税率の引き上げを前に
自動車や家電製品で駆け込み需要がみられる一方で反動減を懸念する声が出た。
飲食業など一部の業種では節約の動きがみられた。
 家計分野では
「常連客の客単価が低下していたり、月曜から水曜にかけて来客数が減っていたりなど、
 細かく見ると買い控えの動きが始まっているようだ」(北海道の高級レストラン)
といった指摘があった。
内閣府は前月までの「緩やかに回復している」との基調判断を維持した。
その上で
「ただし、先行きについては、消費税率引き上げ後の需要の反動減などの影響が見込まれる
との文言を付け加えた。
2~3カ月後の景気を占う先行き判断指数は
5.7ポイント低下の49.0と2カ月連続で悪化した。
マイナス幅は
東日本大震災の起こった2011年3月(20.6ポイント低下)以来の大きさで、
指数は12年11月以来14カ月ぶりに50を下回った。(後略)』

注目すべきは現在の景気の話ではなく、4月の消費税増税以降です。
先行き判断指数が5.77ポイント低下の49と、
2カ月連続で悪化しているということは、
国民が「将来の景気減速」に怯えているという話になります。

後略部で、九州の自動車販売業の方が、
「予想以上に駆け込み需要が大きく、4月以降は反動減で厳しい状況になる
と語っていますが、
問題は増税で物価が強制的に上がる反対側で、賃金上昇が足踏みしている現実です。
無論、4月に賃上げしてくれる企業も少なくないでしょうが、
物価上昇分には追い付かないでしょう。
すなわち、実質賃金の低下です。
 
【図 実質賃金(毎月決まって支給する給与)の対前年比%(年平均)】

http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_45.html#Jissitsu

図の通り、13年の実質賃金の伸びは対前年比-0.9%でした。
アベノミクスにより物価は上昇傾向にあるものの、所得の上昇が追い付かないのです。
無論、物価上昇率に所得上昇率が追い付かない環境は、
デフレ脱却のために必ず通過しなければならない「過渡期」です。
最終的には、物価上昇率を所得上昇率が追い付きます。

問題は、このタイミングで消費税が増税されることです。

ちなみに、前回の増税直前の96年の実質賃金は、1.4%のプラスでした。
それにも関わらず、消費税増税で日本経済はデフレに突っ込み、
97年の実質賃金は-0.2%、98年は-1.0%と、国民の貧困化が始まりました。

そして、今回は増税前年の13年が-0.9%。
実質賃金だけを見れば、97年の増税時よりも状況が悪いのです。

政策の重点を物価から「国民の所得」「実質賃金」の拡大に移さなければ、
「所得が増えないにも関わらず、物価のみが上がる」状況に陥り、
国民は怨嗟の声を上げ、大手マスコミが大喜びで政権批判を展開することになりかねません。

そういう意味で、財務省の「公共事業繰り越しの推進」は
(物凄く珍しく)正しい政策だと思うのです。
とはいえ、「あの」財務省までもが危機感を覚えていると考えると、
慄然とせざるを得ないわけです。
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当ブログでは、
日本の国家目的を、国体護持(皇室の維持)
     国家目標を、富国強兵
としました。
”富国”といっても、どういう状態が、”富国”なのか。
これをはっきりさせないと、
経済政策を実行しても、
国の経済力が全然強くならない、とか、国民が全然豊かにならない、とか、
そういう”空回り”になりかねません。

では、どうなれば、”富国”なのか。

実質賃金の拡大(向上)

これこそが、”富国”を実現するために目指すべき目標です。
賃金が上がっても、それ以上に物価が上がってしまっては、
実質賃金の向上にはなりません。
国民も、豊かさを実感することはできません。
というか、実質賃金は低下していますから、
実際、豊かにはなっていません、むしろ、貧しくなっています。

実質賃金の拡大
=物価の上昇率より、賃金の上昇率のほうが常に上回っていること。

これを経済政策の目標とすれば、
国民が豊かさを実感できる”富国”は実現できるでしょう。

それにしても、
消費税増税→駆け込み需要→反動減=景気悪化
この流れがわかっていながら増税する財務省は何なんだ?
と思いませんか?

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