写真詩で綴る、失われた自分を探す物語。全16回の予定です。
ストーリーを意識しているので、第一回 から順に見て頂けると嬉しいです。
目次が第一回 にあります。
『流れ込む夏のかたち』
第五章 流れ込む夏のかたち
五感が目覚め始めた時、光の輪郭が向こうの景色を透かしながら近づいて来た。
「どこへ行っていたの?」
私はたずねた。
光の輪郭は、
「ただいま」
と呟きながら私の手前でその姿を消した。
詩 「南の朝」
白いカーテンが
風に揺らぎながら開くように
小さな輝きが一面にたち込めて
見えそうで見えない景色の中を
光は音楽のようにきらめき歌う
海はその向こうで
サイダーのように淡く弾けて
空に話しかけてざわめく
椰子は気ままに伸びをして
鳥たちはあいさつを交わす
人はやわらかな枕にそれを感じながら
静かに目覚めて行く
かっぱぶいこ
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