『新釈 中国古典怪談』8 台湾 龍山寺や李登輝さんの思い出 | Talking with Angels 天使像と石棺仏と古典文献: 写真家、作家 岩谷薫

『新釈 中国古典怪談』8 台湾 龍山寺や李登輝さんの思い出

龍山寺 本来の中国の良さを今に伝えているのは、むしろ「中華人民共和国」ではなくて、その歴史的成り立ちから鑑みて、台湾だと思っています。共産党の嵐を避けた「中華民国」ですから。
 昔、李登輝総統の撮影をさせていただくという、ものすごい栄誉なお仕事をさせていただきましたが、その時に撮影し、本書にも紹介した「龍山寺」です!

(李登輝さんを撮るのは正直、恐かった。昔、私の先輩カメラマンのお爺さんだったかお父さんが、舟に乗っている天皇の御影を陸から撮影する仕事を仰せつかわり、脇差しを携えて撮影したという逸話を聞いたことがあります。つまり、撮影に失敗すると、その場で切腹するつもりだったそうです!当時の蛇腹式のデカイカメラで撮るなんて、それはそれは恐ろしいプレッシャーだったことでしょう。機材は変わったとは言え、それに近いプレッシャーが私にもありました!笑)

 元々、この仕事は台湾の要人をはじめ人物取材がメインでしたので、台湾の風景や文化を撮るのは二の次でした。なので取材最終日に、タクシーをチャーターしてなんと、たった3時間たらずで台湾の名所を巡り撮影するという強行だったのです。

 それ故、撮影自体はちょっと粗い。笑。 龍山寺全景に人の頭が2つも入っていますが、「とりあえず、急ぎで撮っておけ!!あとは画像処理で消せる!」って感じで、人が去る時間を待つのも惜しかったので、こんな写真なのです。 龍山寺にはたぶん10分も居なかったかった気がします。
 次の蒋介石の廟である「中正紀念堂」は、おそろしく広くて、蒋介石の巨大な像を撮るためだけに、堂内をほぼマラソン状態で走りまくったことを思い出しましたヨ。あれはキツかった。笑
龍山寺_1
龍山寺_2



 龍山寺のような、魅力的なお寺には、もっとゆっくり居たかったのですが…
 御覧のように平日にもかかわらず、参拝者がいっぱいでした。

龍山寺_3
龍山寺_4
 本書では男女の縁というテーマで、龍山寺を小さな例として記しましたが、当たり前ですが、ネットで調べられる範囲以上の事は書いていますゼ。笑。しかも、別の同じ時代の興味深い説話もからめて。
 ただ、以下は本書にも書いていない事柄ですが、ちょっと面白いなと思うのは、唐時代の一介の文人が書いた小説のキャラクターがこのお寺では、神様になってしまっているところなのです。詳細は本書を参照。
 例えば、中国、シンガポール、マレーシアなんかでも明時代に書かれた『西遊記』の孫悟空が斉天大聖として崇められていたりもしますし、関帝廟で有名な関羽も恐らく、明時代の『三国志演義』という小説で神格化されたと思います。(まぁ、関羽は実在でしょうが…ただし、所謂ゲームやアニメなどで言われる『三国志』とはこの『三国志演義』を指していて、西晋(280年頃)に書かれた歴史書の『三国志』も存在します。 )

 一介の作家が書いた小説のキャラクターが神様になってしまう現象は、少なくとも私の知識では、日本では先例が無いような気がします。 こうしたところも中国らしいのかも? 使えそうな神は何でも使ってしまう感じでしょうか?
 上の写真にも、私なんかが知らない、小さな神様がいっぱい映っています。台湾や中国の人が見ればすぐ解るのかもしれませんが…。
 ちなみに「天上聖母」って書いてあるのは、媽祖ですね。

龍山寺_5 供物台に描いてあった、とってもステキな装飾画。洋の東西を問はず、寺院のこうした細密画を撮影するのは大好き。中国にはこんなにスバラシイ極彩色の絵画やイメージがいっぱいあるというのに、本書の装丁はやっぱり少々もったいない
 この龍山寺を御覧になられても解りますが、中国の文化は基本的に極彩色の文化であり、私が中国古典怪談に持っているイメージもやはりこのように極彩色なのです!知らない人が装丁をしちゃうと、こうなっちゃうわけですな…。まぁそれも仕方なし…。少なくとも私はこんな極彩色のイメージで本書を書いたわけです。
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