言語の語順について | Kazuのかんたんドイツ語 【文法・語法・会話】

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ドイツ語は難しい?いえいえ、実は英語よりも簡単です。挨拶・発音・数字から、ドイツ語を簡単に分かりやすく解説します。単語の増やし方、動詞・前置詞の格支配や名詞の性の学び方も解説していきます。マルチリンガルの私が、外国語一般の学習方法についても紹介します。

Quatsch!のコーナーです。


これは、先週の話とも関係があるのですが…


言語を使う、あるいは理解するには、ある程度「語順」が重要になってきます。



何気なしに「ある程度」と言いましたが、
言語によっては、語順なんてどうでもいい、という言語だってあるのです。


例えば…

ラテン語:Cogito ergo sum.

これは、デカルトの言葉の有名なラテン語訳ですが…

極端な話、
Cogito sum ergo.
Sum cogito ergo.


と語順を自在にいじったって、意味が通るのです。

その代わり、学ぶ上では、徹底的に格変化に付き合わないといけないという話になります。

はい、これらの言語をやると、
ドイツ語の格4つなんて、可愛いレベルに思えてきます。





でも、基本的な語順がある程度決まっている言語の方が、世界の中で多いのも事実です。


そのことを、言語を学ぶ上で、注意を払うと、色々やりやすくなってきます。



例えば、今こうして書いている日本語ですが…

(「私は」)「りんごを」「食べた

といった感じで、
「誰が(S)」「何を(O)」「どうする(V)
という語順が基本になります。

これを「SOV語順」という言い方をしています。


細かい議論は色々ありますが、日本語で他の語順になることは考えにくいです。



ということは、どういうことかというと、

日本語で語順をシャッフルしてしまうと、
聞いていても結構ストレスになってしまいます。



例えば…
「私」「食べる」「リンゴを」
「食べる」「リンゴを」「私」


と言われて、意味を何となくはとれますが、こんな語順で言われたら、結構苦痛かと思うのです。


あえて言うなら、
「何を(O)」「誰が(S)」「どうする(V)」
が比較的見られますが、それは強調のために倒置が起こっているだけ
です。



しかし、
おそらく皆さんの多くが第一外国語・第二外国語でならう言語の場合、結構な割合で…

「誰が(S)」「どうする(V)」「何を(O)

という語順を基本とする言語が多いです。



具体的には…

英語   : I ate an apple.
スペイン語: Yo comí una manzana.
フランス語:Je mangé une pomme.


といった具合です。

他にも、中国語もそうですし、
欧州の言語でもロマンス語系はどうやらこの語順のようですし、
ゲルマン系でもスカンジナビア半島の言語もこの語順です。




「え?じゃあ、ドイツ語は?」と聞かれそうですが…

言語学の分類上は、
「誰が(S)」「何を(O)」「どうする(V)
の仲間だとされています。

つまり、分類上は、「日本語」と同じグループに分けられています。



「え?」と思われるかも知れません。

というのも…
Ich esse einen Apfel.
Ich einen Apfel.


という風に、2番目に動詞(=「どうする(V)」)がくる形を確かに最初のうちは習います


が、どんどん習っていくうちに…

Ich habe einen Apfel gegessen.

Ich will einen Apfel essen.

Als ich einen Apfel gegessen habe, ...



といった感じで、意味をなす「動詞」に注目したら、
「誰が(S)」「何を(O)」「どうする(V)
という語順が中心になってきます。



ドイツ語の場合、
英語やロマンス語系の言語に比べて語順に自由がきくのも、
「格変化」がまだ残っているからだという部分もあるのです。

その証拠に、
語順が自由な言語ほど、色々な「格」の変化に対応する必要があるのです。




こういう、語順の話を理屈で話をする必要も最初は必要ですが…


それ以上に、
話す「型」として意識できるようになってくると、
もうちょっと、言葉が見えやすくなってくるように思います。


そして、
こういう言語の大きな構造みたいな話をする機会、聞く機会が少ないのも、
言葉の大枠を身につけるヒントがそこにあるのに、非常に残念なことのように思います。


その大枠を見えるようにするのが、教える側の腕なのだな…と改めて思っている次第です。



今日は、これにて。


<リンク>
Quatsch! バックナンバーはコチラ。
http://ameblo.jp/kantan-doitsugo/entry-11528446169.html

次回:留学生の受け入れ…これでいいの?
http://ameblo.jp/kantan-doitsugo/entry-12018740071.html

前回:欧州系言語の語源のお話
http://ameblo.jp/kantan-doitsugo/entry-12010710685.html



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