よそにつけたコメントってシリーズを始めたような気がするが、いつ書いたか覚えてないや。
村野瀬玲奈さんのところに、例によって昔話のコメントをつけました。
2014-03-16
日本の出版界とは違って、憎悪を商品にしようとは考えていない中国の出版界
日本では嫌中本が平積みされているけど、「中国・上海の書店では、嫌日本なんて売ってなかったよ」って記事がネットにあった、ってお話です。
村野瀬玲奈さんは、「反日教科書があるじゃないか」というネットウヨコメントの先回りをしていますが、それは付随した話。
わたしは、本文趣旨に異議を唱えるわけではないけど、話を広げるのもいいかなと思ってコメントを付けました。
[C22827] 嫌中マーケット
とりあえず中国の出版界はまだ発展途上だから、憎悪商品というマーケットセグメントへのアプローチが未だしなのでは? という可愛げのない感想を持たないこともないけど、ほんと中国の出版事情はどうなっているんでしょうね。
「日本への反感をあおる」ということなら、もう何十年も前、「香港などのB級映画では、日本軍だの日本人だのがお定まりに悪役だ」って話を読んだ気がするなあ。
有名なところでは、ブルース・リーの映画って日本人が悪役じゃなかったっけ?
今はともかく、1960年、70年代の台湾や香港や東南アジアの大衆娯楽で、日本を悪役にしたあざとい作品は結構あったのではないかと推測するけど、そういう作品の収集家っていないかな。
日本を悪役に描いて「反感をあおる」娯楽作品などは多いだろうと思うけど、だからって日本製品を使って日本のポップカルチャーに影響されたりするのも大衆だろうと思う。
一つ強調したいのは、日本の嫌韓、嫌中本なんて、昔はなかったよ。東西冷戦真っ盛りで、「中共」なんて普通に言われていた時代だって、中韓ヘイトなんてそんなに商売の種ではなかったと思う。どちらの国も経済発展して日常的にも接点が増え、また情報環境が変わっていろいろ情報が増えたから嫌中や嫌韓マーケットが形成されたので、文化大革命で人死にが出ていた頃の中国だって、狭い範囲の右派言論はともかく、大衆的にはそんなに中国を否定的にいう言論は少なかった。
どっちの国も悪口を言い合っていることより、ヘイトマーケットの形成はなんでじゃ? ってところの方が大問題だと思うけどね。
2014-03-19 投稿者 : kuroneko
相変わらずうろ覚えの昔話の域を出ていませんが、ブルース・リーの映画なら今でも見ることはそんなに難しくはないでしょう。
日本が太平洋戦争で占領したような国では、70年代ぐらいまでは反日の意識って強かったように思います。大衆娯楽文化もそうした意識を当てこんだ作品はあったのではないかなあと推測。
でも、今の日本の嫌韓、嫌中ブームみたいなものは、昔では考えられないのではないかな。
だいたい1日に200点以上、書籍・雑誌が発売されるなんて状況は、現代の日本以外あり得ないでしょう。
1970年頃には、日本人の韓国や東南アジアへの買春ツアーってのも問題になった。反対運動も起こった。その運動の証言者ならまだ大勢いる。
別に日本人だけ、「シャッチョーサン、スケベ」なのではなくて、西ドイツの観光客でも買春が多いという記事を読んだように思います。
その頃の東南アジアでは、戦争中の体験のある人も多いし、日本に対しては複雑な意識があったでしょう。ただ、今の日本のような大衆化した出版文化ではないだろうから、反日の書籍が書店に並ぶことがあったとは想像しにくい。
日本の今の中・韓ヘイトというのは、きわめて日本限定で、きわめて現在的な現象だと思います。「秘書課広報室」のコメント欄では、この後、ドクタンが来たのをきっかけに、以下のコメントも付けました。
[C22861] 保守の劣化
(前略)
てえか、言論商品として嫌韓、嫌中本が流通していることに対して、今の社会気分は「売れるんだからね、むふふ~ん」なわけで、そこの批判が大事だと思う。
(後略)
社会的影響とか職業倫理とかジャーナリズムの質とかいう議論は無視して、「経済行為として当然」というのが、価値中立的かつ「メタな立場」であり得ると、供給する側が思っているのではないか。
「それ、全然、価値中立でもメタでもないですから」って、突っ込まないといけない。
具体的な事実関係を確かめて、真っ当な言論を構築して、「物言い」つまり表現方法を工夫して、自らの言論が多数派に届くようにする。
けっこう大変であります。