日経のニュースサイトに「まるで学級委員選び」池上彰が見た米大統領選
という記事がありました。
記事の性格は、冒頭部分を引用すればわかりますね。
2012年は、世界の大国のトップが次々と任期満了を迎え、審判を受ける「エレクション・イヤー」(選挙の年)。そのクライマックスは11月に本選を迎える米大統領選だ。ジャーナリストの池上彰さんは野党・共和党の候補者選びを取材するため米国へ飛んだ。
池上彰さんて、ジャーナリストというより「社会科の先生」というイメージですが、別に嫌いでもないし恨みもないので、悪くいうつもりはありません。今までの日本の「報道」が、基本的なことを押さえたうえで人々に伝えるのではなくて、自分都合でニュースを流通させていたほうが問題でしょうから。
池上氏は、アメリカ大統領選挙の予備選挙を取材して、アメリカが、若者の政治への参加意識を持たせるようにしていること、アメリカの大統領候補が長い党内の選挙戦で鍛えられているか、述べています。
アメリカでは草の根で大統領候補を選んでいる、という感想なのでしょう。
これはこれまでもニュースでアメリカの大統領選挙の報道を見た日本人が持っている感想に近いのだろうと思います。自民党や民主党が、党内で代表選挙をやるのも、ニュースになるからメディア露出が増えてテレポリティクスの時代に好都合、という身も蓋もない思惑の他に、アメリカの選挙の「お祭り騒ぎ」をうらやむ心根もあるのではないかと思われます。
ただ、形だけ真似してもどうなのか。アメリカの選挙制度をみてみました。
ISSUE BRIEF アメリカ大統領選挙の手続
国立国会図書館 ISSUE BRIEF NUMBER 456(Oct.25.2004)
(引用)
多くの国では、選挙管理機関が職権で、住民登録などを利用して選挙権年齢に達した者を有権者として登録しているが、住民登録制度のない米国では本人が自ら有権者登録を行わなければ、いかなる選挙の選挙権も得ることができない2。さらに独特なのは、登録の際に自らの支持政党(又は「政党非加入」)を申告する点である。有権者は申告した政党の党員として登録され、後に述べる予備選挙や党員集会への参加資格が与えられる。
(ここまで)
有権者登録をしなければならない、というところは見逃がせないでしょ。参加意識の高い人がスクリーニングされているともいえる。日本でも、成人になった人に有権者登録させたら、投票率は上がるでしょう。ただ、登録事務の手間がかかるのと、どれだけの人が登録するかが問題だけど。
(黒人が有権者登録しようとすると、ぼこったり脅したりしたんじゃなかったけな。昔のことでしょうが。有権者登録制度で不正がおこなわれることも想定されます)
立法情報 【アメリカ】 有権者登録の不正発覚と選挙改革
海外立法情報課・井樋 三枝子
有権者登録の際に支持政党を申告するというように、政党というものを制度化していることを抜きにして、お祭り騒ぎのような選挙だから、人々の参加意識も高いみたいに思うのはどうなのかなあ。
なんか、自民党の総裁選でも民主党の代表選でも、やるほどに政治家不信は強まるような気がするんですけど……。
民主党の代表選の楽しみ方
2011-08-24
そして誰もいたくなった 自民党総裁候補待合室
2008-09-05
登録しないと何らか社会的に不便なようにしておいて、予めの有権者登録を自発的にしないと投票できない制度にしたら、政治参加意識は上がるかな。成人になれば役所から自動的に投票の案内が送られてくるのではなくて。
政党を公的な制度のなかにどう位置づけるのかを曖昧にして、「予備選挙」をやれば政治への参加意識が高まるって考え方は安直にすぎます。
それに、日本で高校生が政党活動したら、みんなネガティブに思うでしょ。民青さんばかりでなくて自民党の支持者の息子が、(自民党の手伝いをしたってバイト感覚ならそんなもので通るかもしれないけど)、熱心に政治を語ったら、回りから浮かないかな。
議員の数が多すぎるというほど政治家の仕事をネガティブにみて、政党助成金が公的に支出されていても、政党の規約や綱領に興味がなくて、政治家の言動中心の政治ニュースで満足している。
そういう政治意識を省みないで、アメリカの選挙をうらやんでもねえ。しょうがないと思うんですけど。