新宿スワン(ネタバレ) | 三角絞めでつかまえて2

新宿スワン(ネタバレ)

新宿スワン

新宿スワン

2015/日本 上映時間139分
監督:園子温
原作:和久井健
脚本:水島力也、鈴木おさむ
プロデューサー:山本又一朗
企画:古川公平、瀧藤雅朝
共同プロデューサー:富田敏家、鈴木剛
撮影:山本英夫
美術:磯見俊裕
編集:掛須秀一
音楽:大坪直樹
主題歌:MAN WITH A MISSION
挿入歌:UVERworld
出演:綾野剛、山田孝之、沢尻エリカ、伊勢谷友介、金子ノブアキ、深水元基、村上淳、久保田悠来、真野恵里菜、丸高愛美、安田顕、山田優、豊原功補、吉田鋼太郎、今野杏南
パンフレット:★★(720円/吉田鋼太郎さんのインタビューの「飲みたくなりますヨ!」のカタカナが好き)
(あらすじ)
一文無しであてもなく歌舞伎町を彷徨っていた白鳥龍彦(綾野剛)は、スカウト会社「バースト」幹部で謎に満ちた一流スカウトマンの真虎(伊勢谷友介)に助けられ、スカウトマンとしての道を歩み始める。裏社会に足を踏み入れた龍彦は、危険な思惑が交錯する世界を縦横無尽に駆け抜けていく。(以上、映画.comより)

予告編はこんな感じ↓




20点


※この映画に関しては、カゲヒナタさんのブログが原作との比較などを書いていて参考になるので、そっちを読んで!
※今回の記事は、この映画が好きな人は確実に不快になると思うので、読まないで!


連載されていたころに原作漫画を読んでいた(途中まで)&園子温監督作ということで、興味を持って前売り券を購入したんですが、他の映画を優先していたらなかなか足を運べなくて。7月上旬、やっとTOHOシネマズ新宿で観てきました。全然合わなかったです… ('A`) ごめんなさい、ここからは否定的な文章ばかり→この映画や原作漫画が好きな人は高確率で不快になると思うので、読まない方が良いですよ。


スクリーン3は5分の1ぐらいの入りでしたが、公開から1ヵ月以上経っていることを考えるとスゴいね。
スクリーン3


まず、備忘録的に話を書いておくと、歌舞伎町で凹られていた白鳥龍彦(綾野剛)は、真虎(伊勢谷友介)に助けられたのをキッカケにスカウト会社「バースト」に入りまして。社長(豊原功補)に売られそうになったり、スカウトした栄子(真野恵里菜)が自殺したり、「今度こそ守ろう!」と思った風俗嬢アゲハ(沢尻エリカ)が実は覚醒剤中毒で風俗店店長を刺して逮捕されたりしましてね。

で、シャブを売っていたスカウトマン秀吉(山田孝之)が中学のころの同級生だったことが発覚して、ビルの屋上でタイマン→ダチになると、逃がしてあげるんですが、秀吉はヒットマン集団に殺されまして。「実は黒幕は真虎なんですよ~」的なムードを漂わせながら、龍彦が「落ち込んだりもしたけど、私は元気です (o^-')b」って感じで終わってましたよ、確か(ウロ覚え)。


そういえばラスト、龍彦が秀吉にこんなことを言ってましたな(「Let’sダチ公」第18巻より)。
タイマンはったらダチ!


なんて言うんですかね、ヤンマガに連載されていた原作漫画を少年ジャンプっぽい味付けにした印象。一応は最初に“風俗の講習”シーンを見せたりはしてるし、アゲハが働く風俗店が酷かったりして、決してすべてを美化しているワケではないんですけれども。ああいう業界を実写で派手&ヒロイックに描かれると、スゲー違和感を感じてしまって(ちなみに漫画は龍彦にもどうしようもないハードな現実に触れているし、それほどヒロイックな描き方じゃない)。

要はファンタジー作品なんですよね。いや、難しい問題で、「セックスワークの負の面を強調する→そこで働く女性たちのSOSが届きにくくなっている」みたいな社会の現状は実際にあるし、女性が風俗で働きたいならそれも良いんだろうし、「最貧困女子」とか読むとスカウトマンが困っている女性を実際に助ける側面もあるようだし…。でも、不良をファンタジー化した「クローズZERO」とか、ホストをファンタジー化した「夜王 ~yaoh~」とかはまだしも、「女性を水商売や風俗に紹介して女の子の月給から10パーセント取る商売」のファンタジーは、ちょっと受け入れられないかなぁと。

それと、このニュアンスが伝わるか微妙ですが、今作を不良映画で例えると「クローズZERO」じゃなくて、「ドロップ」っぽくて受け付けないというか。ううむ、職業差別的な文章に感じられたら申し訳ありませんけど(汗)、水商売も風俗もスカウトマンもそれ相応のリスクがある仕事ではあるじゃないですか、絶対に。だからこそ、カゲヒナタさんも指摘してましたが、「水商売や風俗で働けば、ほしいもんが買える」みたいな台詞は最悪で。パンフで脚本を担当した2人が「PG12で中学生でも観られる」ことを誇ってましたが、こんなの中学生には1秒も観てほしくないですよ、悪影響しかないから。


むしろこの映画が15歳じゃないと観られないのがおかしいと思う…って、関係ありませんがー。




というか、原作漫画と比べると、脚色が安易な上に気持ち悪い。栄子が飛び降り自殺した直後に龍彦が街を歩いたら大勢の人にイチイチ感謝される描写とか、「星の王子さま」をパクッた絵本「まぼろしの王子さま」の安っぽさとか、アゲハがシャブのパケを落とす展開のバカっぽさとか、「正気!? Σ(゚д゚;)」と目を疑うシーンがメガ盛りなんですよ。山田優さん演じるクラブママも万能すぎて萎えまくりで、特に終盤、ミラノ座のコインロッカーで龍彦を待ち伏せしてたご都合すぎるくだりは観客をバカにしてるのかと思うほど。

一番ダメだと思ったのが、「秀吉が同級生を刺していた」という設定。原作みたいに「イジメから助けた地味な奴」程度なら存在を忘れても納得できるけどさ、自分をかばった同級生を刺した奴の顔をすっかり忘れるってどうなのよ?(中学生的に大事件だと思うんですが) その他、「関を病院送りにする程度って、口封じになってなくね?」とか「今どきあんな探偵の描き方はねーだろ」とか「秀吉を銃殺するヒットマン…」とか、枚挙にいとまがないほどイライラするところが多すぎて、「この脚本を書いた奴は死ねばいいのに」って思っちゃいました♪ (*ノ▽ノ) キャッ


でも、大人が「死ねばいい」なんて書いちゃダメなので、謝罪の意を込めた動画を貼っておきますね (o^-')b ゴメンナサイ!




フォローすると、役者さんたちは全員ハマッていて、綾野剛さんは予想以上に役に合ってましたよ。山田孝之さんも良かったし、伊勢谷友介さんも「ジョーカー・ゲーム」と同じような役で笑ったし、深水元基さんはゴツくて好みのタイプでした。彼らが並んで歩いたりするのは確かにカッコ良かったですな。あと、歌舞伎町でロケをした部分はちょっとわかってうれしかったし、劇中に出てくるグレーゾーンが本当は歌舞伎町じゃない場所で撮られていたのは「ある意味、グレー」って感じがして面白かったですね。

何はともあれ、園子温監督、「冒頭で『A SONO SION'S FILM』が出ない→職業監督に徹した」ってことにしても、こんな映画撮っちゃうんだって失望感はあって。アクション演出が全体的に普通だったのも残念だったし、なんか「リアル鬼ごっこ」を観に行く気力も凄まじく減少した感じ。それこそR-18にして暗黒面全開で作っていたら、スゲー乗れた気がするんですが…。とりあえず役者さんのファン以外にはオススメしませんけど、所詮は「マリア様がみてる」に90点を付けるようなブログの言うことなのでね(苦笑)、興味がある人はあまり気にしないでくださいな。




和久井健先生による原作漫画。とりあえず映画の元となった4巻まで読み返しちゃいました。



映画のサントラでございます。ボリューム多め。



オフィシャルブック。役者さんのファンはどうぞ。



ドラマ版も貼っておきますよ。