クロニクル(ネタバレ) | 三角絞めでつかまえて2

クロニクル(ネタバレ)

クロニクル

三角絞めでつかまえて-クロニクル

原題:CHRONICLE
2011/アメリカ 上映時間84分
監督・原案:ジョシュ・トランク
製作:ジョン・デイビス、アダム・シュローダー
製作総指揮:ジェームズ・ドッドソン
脚本・原案:マックス・ランディス
撮影:マシュー・ジェンセン
美術:スティーブン・アルトマン
編集:エリオット・グリーンバーグ
音楽監修:アンドレア・フォン・フォースター
出演:デイン・デハーン、アレックス・ラッセル、マイケル・B・ジョーダン、マイケル・ケリー、アシュレイ・ヒンショウ、アンナ・ウッド、ボー・ピーターソン
パンフレット:なし
(あらすじ)
超能力を手にした、高校生のアンドリュー(デイン・デハーン)、マット(アレックス・ラッセル)、スティーヴ(マイケル・B・ジョーダン)は、自分たちの姿をビデオで記録することに。超能力を使い、他人がかんでいるガムを口から取り出したり、女子のスカートをめくったり、空中でアメフトをしたりと、退屈だった毎日を刺激的なものに変える三人。そんなある日、クラクションを鳴らして後方からあおってきた車を、アンドリューが超能力でスリップさせる。それを機に、彼は超能力を乱用するようになり……。(以上、シネマトゥデイより)

予告編はこんな感じ↓




100点


※今回の記事は、「レスラー」「フューリー」のネタバレに触れているので、気をつけて!
※今回の記事は、グロ動画のリンクが貼られていたりするので、そういうのが苦手な人は気をつけて!


尊敬する映画評論家の町山智浩さんが「キラキラ」で褒めていて、さらに2012年の映画ランキングで3位に選んでいたので、日本公開を非常に楽しみにしてまして。新宿シネマカリテで観てから、シネマサンシャイン池袋でもう1回観てきました。素晴らしい作品でしたよ… ( ;∀;) イイエイガダナー


土曜日、休日出勤を中断して、新宿シネマカリテに。
三角絞めでつかまえて-クロニクル、観ました

劇中の場面のパネルや…。
三角絞めでつかまえて-パネル展示

記事の切り抜きが飾られてました。ちなみに満席でしたよ。
三角絞めでつかまえて-記事の切り抜き

翌週、シネマサンシャイン池袋へ。こっちはあまり混んでなかったです。
三角絞めでつかまえて-シネマサンシャイン池袋


とにかく褒めるところまみれの作品でして。「もし高校生が超能力を持ったら…?」という設定に基づいた脚本がなかなかリアルだし(登場人物たちの善良さも含めて)、そのキャラクター描写も丁寧だし、超能力の見せ方もユニークだし…。本当によく考えて作られているというか、「ねるねるねるね」以上に練られているのです(無駄なリンク)。ジョシュ・トランク監督、大したモンですな(唐突に上から目線で)。


超能力を会得した男子高校生が“スカートをめくってのパンティチラーリ(a.k.a.パンチラ)”を試みるのは全世界共通で超リアルと言えよう(偉そうに)。
三角絞めでつかまえて-超能力でスカートめくり


なんとなくジョシュ・トランク監督が注目されるキッカケとなった短編を貼っておきますね↓




例えば、この映画は基本的にPOVショットで構成されていて、それによって「高校生3人組の日常を身近に感じられる→仲良しムードを疑似体験できる!」点が素晴らしいんですが…。アンドリューがカメラで撮影する行為自体がその性格を表していたりするので(カメラを間に挟むことで自分を守っている→タレントショー後のパーティで有頂天になった時はカメラを手放して行動するし、暗黒面に堕ちてからは自分撮りが多くなったりする)、不自然さを感じないどころか、その視点にちゃんと“意味と必然性”があるのがまたスゴいというか…って、「映画秘宝」てらさわホークさんの紹介文を読んでいろいろと気付いたんですがー (ノ∀`) テヘ

超能力が上達していく場面はすべて楽しいんですけど、空中浮遊を試みる場面では、マットが撮影することで彼の失敗が面白く見えたりして、スゲー上手いなぁと。「超能力で無意識にカメラを浮かべて撮ってるから」というショットも新しいし、クライマックスで事件性が強くなると、監視カメラやニュース映像が入ってくるのも考えられてるし…。まぁ、撮影好きな女子高生ブロガーのケイシー(アシュレイ・ヒンショウ)の存在だけは強引さを感じなくもなかったけど、基本的には「よく考えられてるなぁ (゚д゚;) スゲェ」と全編感心しながら観てました。


このシーンでマットにカメラを持たせるのも良かったですな。
三角絞めでつかまえて-超能力をマスターする過程が素敵

あまり関係ありませんが、ケイシーの“予告編のシーン”がなかったのは残念だったり。
三角絞めでつかまえて-この場面、ないよね?


そりゃあ、「いじめられっ子」「優等生」「バカ」という3人組のキャラ配置や物語自体は既視感がありましたけど(ちなみに監督は「AKIRA」「キャリー」「フューリー」などに影響を受けたそうな)、登場人物の描き方が本当に上手いし、さらに役者さんたちも素晴らしいので、POVで観ていると感情移入がハンパないんですよね。3人組が超能力をキッカケに仲良くなっていく姿は楽しかったし(お泊まりして“修学旅行の夜”ライクに「今日が人生で一番良い日だった」話をする場面は号泣!)、彼らの“輪”が壊れてしまった時は心底悲しかったし、マットがアンドリューを殺さざるを得なくなるラストは涙が止まりませんでしたよ… (ノДT) アンマリダー 


家が貧乏&内向的なアンドリュー。こういうキャラが力を得ることで暴走してしまうのは仕方ないけど可哀相すぎ!ヽ(TДT)ノ
三角絞めでつかまえて-アンドリュー

優等生で人気者のスティーヴ。落雷で彼が死ぬ展開は“「レスラー」でのラムの寝坊”級に時間を巻き戻したい心境に。
三角絞めでつかまえて-スティーヴ

バカだけどイイ奴のマット。「彼がアンドリューにもう少し優しく接してあげれば…」と思うけど、お互い高校生なので仕方なし。
三角絞めでつかまえて-マット

終盤、それに気付いたマットはアンドリューを助けようとするも、時すでに遅しというね。
三角絞めでつかまえて-アンドリューをかばうマット


一応、備忘録として超適当にお話を書いておくと、「童貞喪失に失敗したアンドリューが拗ねる→慰めようとしたスティーブが事故で死亡→アンドリューはさらに童貞をこじらせた上に、病気の母親が死亡&驚くほどクズな父親(マイケル・ケリー)にそれを責められたことで爆発→超能力で街を破壊するアンドリューをマットが殺してしまう→アンドリューが行きたがっていたチベットに、マットがカメラを置いて終了」って感じ。見終わった後は“彼らの仲が良かったころ”ばかりが頭に浮かんで、超切なかったです… (ノω・、) グスン


彼らの仲良し振りが輝きまくってただけに、終わった時の切なさは凄まじいものがありましたよ…。
三角絞めでつかまえて-仲良し3人組


僕的に一番グッときた要素は主人公のアンドリュー。演じたデイン・デハーンが非常に繊細で魅力的なんですが、その見せ方も工夫されてるというか。単に「根暗な奴が暴走してモンスターに!→殺されても仕方なし!(o^-')b ザンネーン」って感じじゃなくて。パーティで殴られてグスングスン泣いてたりとか、お母さん想いだったりとか、親父が超クズだったりとか、お母さん想いだったりとか、「消防士だったころの親父は嫌いじゃなかったっぽい=幸せな時期もあった?」とか、お母さん想いだったりとか、観客が「本当は良い子なのに… (iДi) アンマリダー」と思えるように演出していて。だからこそクズな父親に追い込まれて暴走するくだりは、「こんな世界、壊してもいいYO!ヽ(TДT)ノ」とアンドリュー寄りの気持ちにもなったりして。

というか、最初に観た時は「95点」だと思って。ってのは、僕は超能力モノの中でも「スキャナーズ」の頭部爆発シーン「フューリー」の人体爆発シーンが大好物 ( ̄ー ̄) ニヤッ アンドリューが部屋にいる蜘蛛を分解する場面はこの映画の白眉なワケですけど、ここで終盤に待ち受けているだろう暴走の惨劇振りを期待させられただけに、彼が超能力で人の頭や四肢をもいだり、人体を爆裂させたりしないのが、少し物足りなかったんですよ(成長したらマイケル・アイアンサイドっぽいビジュアルになりそうだし)。


この蜘蛛を分解するシーン、超最高でした!ヽ(`Д´)ノ
三角絞めでつかまえて-素晴らしいシーン!


ただね、恥ずかしながら、2回目を観て気付いたんです。彼の暴走は「“頂点捕食者”がクズどもに痛みを与えてやる!(`∀´) フハハハハハ」という動機じゃなく、「お母さん想いの優しい子が状況にどうしようもなく追い詰められて爆発した」だけだから、そういうことにはならないんですよね。“コンビニ襲撃シーンのお粗末さ”も、彼がいくら偉そうなことを言いつつもまだ子どもなのを表していたワケで…。だから2回目は「残虐描写がない=アンドリューったら優しいのね (ノ∀T) イイコダナー」と、むしろそこにグッときた次第。


コンビニ強盗シーンのダメっぷりは、子どもらしさや善良さを表していたと思うのです。彼の側に夜回り先生のような人がいたのなら… (ノДT)
三角絞めでつかまえて-ボロボロなコンビニ強盗


あの「初体験に失敗してダークサイドに堕ちる」というキッカケの(あえて書きますけど)“バカバカしさ”も、実に内向的な若者らしくてリアルというか。映画版「キック・アス」では「恋人が出来てセックス三昧→自警団活動なんてどうでも良くなる」なんてくだりがありましたが、アンドリューとモニカがあのままセックスして付き合っちゃったりすれば「頂点捕食者」とか言い出さなかったんだろうなぁってところが、実際にありそうで非常に面白い。


この「頂点捕食者」とか言い出すシーンは恐ろしいけど、キッカケを思うと微笑ましくもある不思議。
三角絞めでつかまえて-頂点捕食者とか言い出すアンドリュー


だから、“40歳のオッサン”の僕的に、アンドリューが童貞喪失を失敗→自暴自棄になるあたりはね、映画の中に入って超慰めたかった!ヽ(TДT)ノ(英語は一切話せませんが) 僕も初めての時は勃たなかったしさ(不要なカミングアウト)、いつか本当に好きな女性とセックスすればいいじゃない。「大人になれば本当にどうでも良いことなんだよ」って…。というか、もしこのブログの読者の中に初体験を失敗して落ち込んでいる方がいたら、そんなことは全然気に病まないでほしい。アナタは何も失っていなくて、経験を得たのです。そもそも「バキ特別編saga」によると、「セックスとは相手のして欲しいことをして欲しいタイミングで快感(ダメージ)を与える」ものであり、それには思いやりと信頼関係が必須なワケでね、凹んでいる人を気遣えないモニカのような相手とセックスしたって、大して気持ち良くないですぞ、マジで。


ああん、アンドリューの側にザファル先生のような人がいたのなら…(「拳闘暗黒伝セスタス」第1巻より)。
三角絞めでつかまえて-経験を得たのだ!

ちなみに「バキ特別編saga」はこんな漫画。奧さんに見つかって、「エロ漫画を読んでるなんて!川`Д´)ノ ヘンタイ!」と怒られたこともありました。
三角絞めでつかまえて-バキ SAGA編


閑話休題(使い慣れたフレーズ)。文章がダラダラしてて申し訳ないんですけど、もう少し書きますね。いろいろな面で先日観た「マン・オブ・スティール」を思い出しまして。未知の能力を得た若者の“喜び”や“呪い”に関しては、この映画の方が見事に描かれていて、戦闘描写は別として「僕が観たかった『MOS』はこんな感じ!Σ(゚д゚)」と。アンドリューの父親も“「MOS」のケビン・コスナーの真逆”って感じでスゲー良くて。病室のシーン、優しい言葉をかけるかと見せかけて「オレに謝れ!ヽ(`Д´)ノ」とか言い出した時は、口がアングリ状態でしたよ。あそこまでクズだと逆に清々しさすら感じるというか、同じ子どもを持つ父として見事な反面教師であって、「朝の7時半から酔っ払ったりしないようにしよう (・ω・;)」とか強く思ったり。

その他、「終盤の超能力バトルっぷりも素敵!」とか「“イジメッ子”ウェインの歯を3本抜いたシーンは超ざまぁ!ヘ(゚∀゚*)ノ ナイス!」とか「超能力でお母さんに寝返りをさせるなんて… (ノДT) イイコダナー」とか「チンピラどもからカツアゲするという“発想の幼さ”が良いね (´∀`) アラアラ」とか「デイン・デ『はぁ…ん… (´Д`;) ハァハァ』」(なんだこれ)とか、書きたいことはまだあるんですが、長くなるので割愛! 青春映画としても素晴らしいのに、超能力描写も実に愉快ということでね、僕的には超大切な作品になったというか、100点の映画でしたヨ ( ;∀;) イイエイガダナー 「海外版Blu-rayに日本語字幕が付いてて~」みたいな話もあってスゲーほしいけど、応援の意味も込めて、日本版Blu-rayが出るのを待って買う予定。「2週間だけ首都圏限定で公開」だったのが、全国での拡大公開が決まったそうなのでね、興味がある方はぜひぜひ劇場に足を運んでくださいな。僕も少なくともあと1回は観に行きますYO!ヽ(`Д´)ノ オシマイ!




サントラ、つい買っちゃいました。



ジョシュ・トランク監督に影響を与えた大友克洋監督作。僕は“漫画の方が好き”派でございます。



ジョシュ・トランク監督に影響を与えた「イジメ、カッコ悪い」映画。クロエ・モレッツちゃんはこれに勝てるのか…。



ジョシュ・トランク監督に影響を与えた「最後に人体爆発!ヘ(゚∀゚*)ノ」映画。最後だけ好きです。