LOOPER/ルーパー(ネタバレ)
LOOPER/ルーパー※若干の修正&シネマハスラーへのリンクなどを追加しました(1/21)
原題:Looper
2012/アメリカ 上映時間118分
監督:ライアン・ジョンソン
製作:ラム・バーグマン、ジェームズ・D・スターン
製作総指揮:ダグラス・E・ハンセン、ジュリー・ゴールドスタイン、ピーター・シュレッセル、ジョセフ・ゴードン=レビット、ダン・ミンツ
脚本:ライアン・ジョンソン
撮影:スティーブ・イェドリン
美術:エド・バリュー
衣装:シャレン・デイビス
編集:ボブ・ダクセイ
音楽:ネイサン・ジョンソン
出演:ブルース・ウィリス、ジョセフ・ゴードン=レビット、エミリー・ブラント、ポール・ダノ、ノア・セガン、パイパー・ペラーボ、ピアース・ガノン、シュイ・チン、フランク・ブレナン、ジェフ・ダニエルズ
パンフレット:★★★★(800円/ちょっと高いけど、記事は充実)
(あらすじ)
タイムマシンの開発が実現するも、法律で使用が禁じられている近未来。法を恐れぬ犯罪組織が、消したい標的をタイムマシンで30年前に送り込み、そこにいる「ルーパー」と呼ばれる暗殺者に標的を殺させていた。凄腕ルーパーのジョー(ジョセフ・ゴードン=レビット)はある日、いつものようにターゲットの抹殺指令を受けるが、未来から送られてきた標的は30年後の自分自身(ブルース・ウィリス)だった。(以上、映画.comより)
予告編はこんな感じ↓
90点
※この映画は① あまり予備知識のない状態で、② 適当なSF映画を観るぐらいの気持ちで鑑賞すると非常に面白いと思うので、未見の方はこんな感想文を読まないで、劇場へどうぞ~。
※今回の記事は、「バタフライ・エフェクト」や「魔夏少女」のネタバレに触れているので、気をつけて!
※今回の記事は、ダラダラと長くて読みにくいので、そういうのが苦手な人は読まない方が良いかもしれません。
この映画、尊敬する映画評論家の町山智浩さんが絶賛&昨年のベスト1に選んでいるということで、超期待してたんですけど、試写会を観て微妙な評価を下してる人も結構いたりして。「これは期待しすぎると火傷するかもしれぬ… (・ω・;) ゴクリ」と期待値を「TIME/タイム」レベルに下げて、新宿のミラノ座に行って来ました。僕はグッと来ましたね… (ノω・、) ヨカッタ
公開日に行ってきましたよ~。
ロビーにはこんな展示がありまして。
端っこには、来月公開の「ダイ・ハード/ラスト・デイ」のマクレーン刑事がいたりして。
タンクトップをめくると「スマホでアクセス!」って、持ってねぇYO!ヽ(`Д´)ノ キィィ!
「ビジネススーツ全身コーディネートプレゼント」なんてキャンペーンもやってるそうな。
超雑にあらすじを書いておくと、30年後のジョー=オールド・ジョーは、自分を更生させてくれた最愛の奧さん(シュイ・チン)を殺されてしまったため、未来の犯罪王レインメーカーを幼いうちに殺すために2044年の世界にやってきまして。で、現在のジョー=ヤング・ジョーは、オールド・ジョーを殺さないと所属組織に命を狙われてしまうので(30年後の自分を始末して「ループを閉じる」のが掟になってる)、なんとか未来から来た自分を殺そうとするんです。
この2人が同一人物という設定だけで、なんとなく愉快。
で、ヤング・ジョーが、レインメーカー候補の子どもの家に行ったら、そこにはシングルマザー・サラ(エミリー・ブラント)とその息子の超能力少年シド(ピアース・ガノン)が細々と暮らしてまして。幼いシドに在りし日の自分を重ね合わせたヤング・ジョーは、すっかり感情移入&改心。最終的には自殺することで、オールド・ジョーの存在を消して、映画は終わってました。ちょっと違うんですけど、「バタフライ・エフェクト」の“もう1つのエンディング”である「どうせオレが生まれなければいいんだよな…」と胎児の段階でヘソの緒を首に巻き付けて死ぬシーンを思い出しましたね。
あまり関係ありませんが、「バタフライ・エフェクト」の予告編を貼っておきますね↓
ちなみに、この手のタイムトラベルSFで楽しいのが、タイム・パラドックスについて考察することじゃないですかぁ~(突然、馴れ馴れしく)。僕なりにはこんな感じだと思ったんですが↓(※若干、修正しました)
<1周目の世界>
サラがシドの子育てに失敗→何らかの事情でサラが暴漢(ジョーとは関係ない人)に殺害される→シドが超グレて、「犯罪王に、オレはなる!(`・ω・´) キリッ」と決意→超能力=TK(テレキネシスの略)を生かして、レインメーカーとして犯罪組織の頂点に君臨する→幹部のエイブ(ジェフ・ダニエルズ)がタイムマシーンで未来から過去(2周目の世界)に送り込まれる(ルーパー制度の始まり)
<2周目の世界>
エイブがヤング・ジョーに銃を与えて、ルーパーにする→何らかの事情でサラがルーパー(ジョーとは関係ない人)に殺害される→シドが超グレて、「犯罪王に、オレはなる!(`・ω・´) キリッ」と決意→ヤング・ジョーはオールド・ジョーを殺害して無事ループを閉じる→引退して上海に行ったジョーは奧さんと知り合って改心→レインメーカーになったシドは、ルーパーが大嫌いなので、ループを閉じまくる→奧さんとジョーがノホホンと暮らしてたら、レインメーカーの部下がオールド・ジョーの奧さんを殺害→オールド・ジョーは部下どもを返り討ちにして、レインメーカーを幼いうちに殺すべく、単身、タイムマシーンで過去(3周目の世界)にGO!
<3周目の世界>
ヤング・ジョーはオールド・ジョーを取り逃がしたことで、シドを守ることに→ヤング・ジョーから“似た境遇の人のちょっと頑張った話”を聞いたり、シドを守るためにヤング・ジョーが犠牲になった話を母親から聞いたりして(たぶん)、シドにプラスの教育効果→サラがジョーのお金を大量にゲットしたことで、生活環境も改善される→シドはグレないので犯罪王にならない→むしろ正義の超能力者として、似た能力を持つ仲間たちとチームを結成し、世界平和に貢献→ところが、世界征服を企む悪の超能力者(磁力を操る)が登場してーー!? Σ(゚д゚;) ナンデスト!
…って、勝手な妄想が混ざっちゃいましたな、すみません m(_ _ )m つーか、「ターミネーター」と同じく「1周目はどうなってんだ問題」はあるし、「並行世界的な考えなら、ヤング・ジョーに何があろうとオールド・ジョーには関係がないハズ」とか、「でも、ヤング・ジョーの身が傷つく→オールド・ジョーに異変が起こるなら、改心してシドを守り始めた時点でオールド・ジョーも心変わりするハズ(まぁ、記憶が変わりつつあるから、必死に懐中時計を握りしめたりしてたんでしょうけど)」とか、考えれば考えるほどわからなくなるというね… ('A`) ザンネン
ううむ、慣れない考察をして知恵熱が出て来たし、オールド・ジョーも劇中で「タイムトラベルは複雑だから聞くな!(;`Δ´)」という、「ザ・松田」の松田鏡二さんの「いんだよ、細けぇ事は(略称・いん細)」マインドの画期的な台詞を言ってたので、“アーノルド・シュワルツェネッガーの代わりにブルース・ウィリスが送られてきた「ターミネーター」”くらいのライトな認識がベストなのかもしれませんナー (ノ∀`) エヘヘ
念のため、松田鏡二さんの画像を貼っておきますね。
なんとなく「ラスト・ボーイスカウト」のワンシーンに勝手な字幕を付けてみましたよ↓
タイムトラベルのことは聞かないで! 投稿者 kamiyamaz1972
閑話休題。僕的にグッと来た要素はいくつかありまして。まず、序盤にあった、現在のセス(ポール・ダノ)が拷問を受けると未来のセス(フランク・ブレナン)の肉体が容赦なく欠損していく残酷描写。やられてる方を直接的に見せないのがまた良くて、さりげなく鼻が削がれてたシーンとか、スゲー恐ろしかったです…。それ以降、こういう演出が全然出てこないのは本当に残念でしたがー。
必死に逃亡する“未来から来たセス”。この後、体の部位が欠損しまくるのです ((((°Д°; )))) ヒィィ
ジョセフ・ゴードン=レビットも素晴らしかったですね~。彼が30年かけてブルース・ウィリスに変わっていく場面は、明らかに途中で「ここから違う人になってる!Σ(゚д゚;) チガウ!」感がありましたけど、全体的には結構似てて面白かったです。お話的にも、金のためにセスを売るほどクズだったヤング・ジョーが改心して、シドのために自殺するオチは超泣けました… (ノДT) オールド・ジョーがサラに銃口を向けた時、僕はすっかり「ヤング・ジョーが己の指をスニッカーズ感覚でワイルドに食いちぎる→オールド・ジョーの指が消えて引き金が引けない!∑(゚Д゚) ヤラレタ!」的な展開を予想してたので(セスの部位欠損シーンが伏線になる感じ)、銃口を自分に向けて自殺した時はかなり意表を突かれたんですよ。
特殊メイクでウィリス化したジョセフ・ゴードン=レビット。話し方や表情も似てましたな。
クライマックス、僕的にはジャック・ハンマー風に指を食いちぎるのかと思ってました(「グラップラー刃牙完全版」19巻より)。
ラスト直前にジョーが見た“シドがグレる未来”は、別に予知能力が発動したのではなく、母を亡くして育った男が在りし日の自分を重ね合わせたんだと。自分と同じ想いをさせないために命を捨てたその姿勢にはつくづく頭が下がりました(フィクションですが)。最後、サラが死んだヤング・ジョーの髪を撫でるシーンがありますけど、あれは「無為な日々を送ってた男が、シドを救うことで自分自身を救った→安らぎを得たことの象徴」だと思ったのですが飛躍してますカネー (・ε・) ドウナンデショ
ヤング・ジョーの願望は、若干、「北斗の拳」の“お師さんの温もりに飢えていた男”サウザーと重なる印象。
ブルース・ウィリスも良かった! 劇場で本編が始まる前に「G.I.ジョー バック2リベンジ」と「ダイ・ハード/ラスト・デイ」の予告編が流れたこともあって、後半の犯罪組織のアジトで大暴れするシーンは、完全に「ダイ・ハード刑事 第24話『ガットマンを皆殺しの巻』」的な“いつもの彼”にしか見えませんでしたけど、「“TKの怪物”を倒すために、罪のない子どもを2人も殺して、自分も怪物化してしまう」という皮肉な展開がイイ感じ。あの“心が折れそうになると自分の魂を救ってくれた奧さんの写真を入れた懐中時計にすがる”姿にも、胸を掴まれました…(しみじみ)。
ゴツい銃を両手に撃ちまくる姿は、超お馴染みですな (・∀・) スキダケド
シドの圧倒的なTKを前にしても、妻の写真入り懐中時計を手放さないオールド・ジョー。こういうシーン、結構好き。
そして、最も心を揺さぶられたのが、エミリー・ブラントが演じた母親サラ。ただでさえ、シングルマザー描写が大好物なのに、「アタシったら、遊び歩いて、一番大事な息子をないがしろにしてた!ヽ川TДT)ノ クズデシタ」という猛省要素が僕の胸をハードに直撃地獄拳(なんだこれ)。彼女が庭にある切株を機械で掘り起こさずに斧で何度も切りつけるのは、己に対する戒めなんでしょうな…。それと、「ちょっと体が火照ってきちゃった♪ (^ε^し ウッフン」という“エロ要素”も魅力的でした。
シドのためなら命も投げ出すシングルマザー、サラ。もうね、最高でした… (´Д`;) ハァハァ
つーか、「子どもが超常的な能力を持ってたら… (゚д゚;) ゴクリ」的な話ってスゲー恐ろしいじゃないですか。僕が「超能力を持った子どもって怖い!(/TДT)/ タスケテー」と恐怖したのは、小学生のころ、六田登先生の「カイの旅立ち」という漫画の「少女が担任の先生を超能力で弄んで発狂させてしまう」というくだりを読んだのが最初でして(ウロ覚えですが)。あと、中学生の時、たまたま観たテレビドラマ「魔夏少女」も日本の住宅地が舞台というのもあって非常に怖かったし、「母親が超能力を持つ娘と火の中で心中する」というラストにも心底怯えたのを覚えております。で、この映画のシドったら、人間なんてアッサリ殺せるレベルのTKを備えてるくせに、結構制御が効かなくて、ちょっと怒っただけで簡単に発動したりするんですよ…。
超能力少年シドは感情が昂ぶると、即イヤボーン状態に。
この人がシドのTKで無惨に死ぬシーンはなかなか怖かったです。
シドが暴走すると、さすがのサラもゴツい金庫の中に逃げ込むほどであり、確かに危険すぎる存在だから、オールド・ジョーが殺すのもアリな気がしないでもないんですが…(という2択を観客も迫られるのがイイネ (o^-')b ナイス! )。やっぱりここで大事なのは愛情なんです。クライマックス、シドのTKが暴走して、凄まじい力の奔流にサラも巻き込まれるんですけど、その状況に怯えながらも毅然とした態度で、「大丈夫よ… 川;´∀`)」と優しくシドに語りかけて落ち着かせる姿には全僕が号泣!ヽ(TДT)ノ 世間では「マジ、母の鑑だよネー 川・∀・)(・∀・し ネー」とサラの評判がうなぎ登りであり、僕もね、寝かしつけを拒否して暴れる娘の指が鋭く眼球に突き刺さろうとも、これからもテトに噛まれたナウシカのような慈愛に満ちた気持ちで育児をしようと、あらためて強く決意した次第でございます(なにこの文章)。
シド役のピアース・ガノン、不気味だったり、純真に見えたりと、さまざまな表情を見せて良かったです。
と、好きなところをダラダラ書いて来ましたけど、微妙に思うところもありまして。とにかく設定について考えると、いろいろと違和感を感じてくるというかさ。例えば、誰もが「過去の人間にわざわざラッパ銃で殺させなくても、直接焼却炉に送っちゃえばいいじゃん (`∀´)」とか「30年後に襲われるのは知ってるんだから、もう少し用心すれば良いのに… (´・ω・`)」とか思うじゃないですか。ヤング・ジョーとオールド・ジョーが戦うシーンが予想以上に少ないのも拍子抜けしましたよ。キッド・ブルー(ノア・セガン)とエイブも“何らかの謎”に関わってくるのかと思いきや、単なる“無能な悪役”と“思わせぶりな幹部”だったのも残念でしたね~。
キッド・ブルーは「実は後の○○である」みたいな展開になるのかと思ってたんですが…。
エイブも大したことなかったなぁ。ちなみにジェフ・ダニエルズの名前を見た時は「この人、出てたっけ?」って間違えちゃった (*ノ▽ノ)キャッ
ただ、現在と地続き感のある未来描写は嫌いじゃなかったし、オッパイが出るシーンもちゃんとあるし、トータルでは好きなところだらけなので全然OKというか、僕は大好きな映画でした (´∀`) マンゾク 細部が気になって乗れない人もいるとは思いますが、そんなに期待値を上げずに観れば、それなりには楽しめるんじゃないかしらん。
※宇多丸師匠の実にタメになる批評がアップされてるので、ぜひ聴いてみて! 「刑事ジョン・ブック 目撃者」とか、すっかり忘れてましたよ~。
ライアン・ジョンソン監督×ジョゼフ・ゴードン=レヴィット主演作。未見ですけど、評判良いですな。
BRICK‐ブリック‐ [DVD]
アーノルド・シュワルツェネッガーの出世作。大好きです。
ターミネーター [Blu-ray]
この映画を作るにあたって、ライアン・ジョンソン監督が影響を受けたという村上春樹先生の著作。
世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド 上巻 (新潮文庫 む 5-4)
「子どもが超能力!」ということで、大友克洋先生の名作漫画も貼っておきますね。
童夢 (1984年) (アクション・コミックス)
なんとなく思い出したタイムトラベル映画。
バタフライ・エフェクト プレミアム・エディション [DVD]
原題:Looper
2012/アメリカ 上映時間118分
監督:ライアン・ジョンソン
製作:ラム・バーグマン、ジェームズ・D・スターン
製作総指揮:ダグラス・E・ハンセン、ジュリー・ゴールドスタイン、ピーター・シュレッセル、ジョセフ・ゴードン=レビット、ダン・ミンツ
脚本:ライアン・ジョンソン
撮影:スティーブ・イェドリン
美術:エド・バリュー
衣装:シャレン・デイビス
編集:ボブ・ダクセイ
音楽:ネイサン・ジョンソン
出演:ブルース・ウィリス、ジョセフ・ゴードン=レビット、エミリー・ブラント、ポール・ダノ、ノア・セガン、パイパー・ペラーボ、ピアース・ガノン、シュイ・チン、フランク・ブレナン、ジェフ・ダニエルズ
パンフレット:★★★★(800円/ちょっと高いけど、記事は充実)
(あらすじ)
タイムマシンの開発が実現するも、法律で使用が禁じられている近未来。法を恐れぬ犯罪組織が、消したい標的をタイムマシンで30年前に送り込み、そこにいる「ルーパー」と呼ばれる暗殺者に標的を殺させていた。凄腕ルーパーのジョー(ジョセフ・ゴードン=レビット)はある日、いつものようにターゲットの抹殺指令を受けるが、未来から送られてきた標的は30年後の自分自身(ブルース・ウィリス)だった。(以上、映画.comより)
予告編はこんな感じ↓
90点
※この映画は① あまり予備知識のない状態で、② 適当なSF映画を観るぐらいの気持ちで鑑賞すると非常に面白いと思うので、未見の方はこんな感想文を読まないで、劇場へどうぞ~。
※今回の記事は、「バタフライ・エフェクト」や「魔夏少女」のネタバレに触れているので、気をつけて!
※今回の記事は、ダラダラと長くて読みにくいので、そういうのが苦手な人は読まない方が良いかもしれません。
この映画、尊敬する映画評論家の町山智浩さんが絶賛&昨年のベスト1に選んでいるということで、超期待してたんですけど、試写会を観て微妙な評価を下してる人も結構いたりして。「これは期待しすぎると火傷するかもしれぬ… (・ω・;) ゴクリ」と期待値を「TIME/タイム」レベルに下げて、新宿のミラノ座に行って来ました。僕はグッと来ましたね… (ノω・、) ヨカッタ
公開日に行ってきましたよ~。
ロビーにはこんな展示がありまして。
端っこには、来月公開の「ダイ・ハード/ラスト・デイ」のマクレーン刑事がいたりして。
タンクトップをめくると「スマホでアクセス!」って、持ってねぇYO!ヽ(`Д´)ノ キィィ!
「ビジネススーツ全身コーディネートプレゼント」なんてキャンペーンもやってるそうな。
超雑にあらすじを書いておくと、30年後のジョー=オールド・ジョーは、自分を更生させてくれた最愛の奧さん(シュイ・チン)を殺されてしまったため、未来の犯罪王レインメーカーを幼いうちに殺すために2044年の世界にやってきまして。で、現在のジョー=ヤング・ジョーは、オールド・ジョーを殺さないと所属組織に命を狙われてしまうので(30年後の自分を始末して「ループを閉じる」のが掟になってる)、なんとか未来から来た自分を殺そうとするんです。
この2人が同一人物という設定だけで、なんとなく愉快。
で、ヤング・ジョーが、レインメーカー候補の子どもの家に行ったら、そこにはシングルマザー・サラ(エミリー・ブラント)とその息子の超能力少年シド(ピアース・ガノン)が細々と暮らしてまして。幼いシドに在りし日の自分を重ね合わせたヤング・ジョーは、すっかり感情移入&改心。最終的には自殺することで、オールド・ジョーの存在を消して、映画は終わってました。ちょっと違うんですけど、「バタフライ・エフェクト」の“もう1つのエンディング”である「どうせオレが生まれなければいいんだよな…」と胎児の段階でヘソの緒を首に巻き付けて死ぬシーンを思い出しましたね。
あまり関係ありませんが、「バタフライ・エフェクト」の予告編を貼っておきますね↓
ちなみに、この手のタイムトラベルSFで楽しいのが、タイム・パラドックスについて考察することじゃないですかぁ~(突然、馴れ馴れしく)。僕なりにはこんな感じだと思ったんですが↓(※若干、修正しました)
<1周目の世界>
サラがシドの子育てに失敗→何らかの事情でサラが暴漢(ジョーとは関係ない人)に殺害される→シドが超グレて、「犯罪王に、オレはなる!(`・ω・´) キリッ」と決意→超能力=TK(テレキネシスの略)を生かして、レインメーカーとして犯罪組織の頂点に君臨する→幹部のエイブ(ジェフ・ダニエルズ)がタイムマシーンで未来から過去(2周目の世界)に送り込まれる(ルーパー制度の始まり)
<2周目の世界>
エイブがヤング・ジョーに銃を与えて、ルーパーにする→何らかの事情でサラがルーパー(ジョーとは関係ない人)に殺害される→シドが超グレて、「犯罪王に、オレはなる!(`・ω・´) キリッ」と決意→ヤング・ジョーはオールド・ジョーを殺害して無事ループを閉じる→引退して上海に行ったジョーは奧さんと知り合って改心→レインメーカーになったシドは、ルーパーが大嫌いなので、ループを閉じまくる→奧さんとジョーがノホホンと暮らしてたら、レインメーカーの部下がオールド・ジョーの奧さんを殺害→オールド・ジョーは部下どもを返り討ちにして、レインメーカーを幼いうちに殺すべく、単身、タイムマシーンで過去(3周目の世界)にGO!
<3周目の世界>
ヤング・ジョーはオールド・ジョーを取り逃がしたことで、シドを守ることに→ヤング・ジョーから“似た境遇の人のちょっと頑張った話”を聞いたり、シドを守るためにヤング・ジョーが犠牲になった話を母親から聞いたりして(たぶん)、シドにプラスの教育効果→サラがジョーのお金を大量にゲットしたことで、生活環境も改善される→シドはグレないので犯罪王にならない→むしろ正義の超能力者として、似た能力を持つ仲間たちとチームを結成し、世界平和に貢献→ところが、世界征服を企む悪の超能力者(磁力を操る)が登場してーー!? Σ(゚д゚;) ナンデスト!
…って、勝手な妄想が混ざっちゃいましたな、すみません m(_ _ )m つーか、「ターミネーター」と同じく「1周目はどうなってんだ問題」はあるし、「並行世界的な考えなら、ヤング・ジョーに何があろうとオールド・ジョーには関係がないハズ」とか、「でも、ヤング・ジョーの身が傷つく→オールド・ジョーに異変が起こるなら、改心してシドを守り始めた時点でオールド・ジョーも心変わりするハズ(まぁ、記憶が変わりつつあるから、必死に懐中時計を握りしめたりしてたんでしょうけど)」とか、考えれば考えるほどわからなくなるというね… ('A`) ザンネン
ううむ、慣れない考察をして知恵熱が出て来たし、オールド・ジョーも劇中で「タイムトラベルは複雑だから聞くな!(;`Δ´)」という、「ザ・松田」の松田鏡二さんの「いんだよ、細けぇ事は(略称・いん細)」マインドの画期的な台詞を言ってたので、“アーノルド・シュワルツェネッガーの代わりにブルース・ウィリスが送られてきた「ターミネーター」”くらいのライトな認識がベストなのかもしれませんナー (ノ∀`) エヘヘ
念のため、松田鏡二さんの画像を貼っておきますね。
なんとなく「ラスト・ボーイスカウト」のワンシーンに勝手な字幕を付けてみましたよ↓
タイムトラベルのことは聞かないで! 投稿者 kamiyamaz1972
閑話休題。僕的にグッと来た要素はいくつかありまして。まず、序盤にあった、現在のセス(ポール・ダノ)が拷問を受けると未来のセス(フランク・ブレナン)の肉体が容赦なく欠損していく残酷描写。やられてる方を直接的に見せないのがまた良くて、さりげなく鼻が削がれてたシーンとか、スゲー恐ろしかったです…。それ以降、こういう演出が全然出てこないのは本当に残念でしたがー。
必死に逃亡する“未来から来たセス”。この後、体の部位が欠損しまくるのです ((((°Д°; )))) ヒィィ
ジョセフ・ゴードン=レビットも素晴らしかったですね~。彼が30年かけてブルース・ウィリスに変わっていく場面は、明らかに途中で「ここから違う人になってる!Σ(゚д゚;) チガウ!」感がありましたけど、全体的には結構似てて面白かったです。お話的にも、金のためにセスを売るほどクズだったヤング・ジョーが改心して、シドのために自殺するオチは超泣けました… (ノДT) オールド・ジョーがサラに銃口を向けた時、僕はすっかり「ヤング・ジョーが己の指をスニッカーズ感覚でワイルドに食いちぎる→オールド・ジョーの指が消えて引き金が引けない!∑(゚Д゚) ヤラレタ!」的な展開を予想してたので(セスの部位欠損シーンが伏線になる感じ)、銃口を自分に向けて自殺した時はかなり意表を突かれたんですよ。
特殊メイクでウィリス化したジョセフ・ゴードン=レビット。話し方や表情も似てましたな。
クライマックス、僕的にはジャック・ハンマー風に指を食いちぎるのかと思ってました(「グラップラー刃牙完全版」19巻より)。
ラスト直前にジョーが見た“シドがグレる未来”は、別に予知能力が発動したのではなく、母を亡くして育った男が在りし日の自分を重ね合わせたんだと。自分と同じ想いをさせないために命を捨てたその姿勢にはつくづく頭が下がりました(フィクションですが)。最後、サラが死んだヤング・ジョーの髪を撫でるシーンがありますけど、あれは「無為な日々を送ってた男が、シドを救うことで自分自身を救った→安らぎを得たことの象徴」だと思ったのですが飛躍してますカネー (・ε・) ドウナンデショ
ヤング・ジョーの願望は、若干、「北斗の拳」の“お師さんの温もりに飢えていた男”サウザーと重なる印象。
ブルース・ウィリスも良かった! 劇場で本編が始まる前に「G.I.ジョー バック2リベンジ」と「ダイ・ハード/ラスト・デイ」の予告編が流れたこともあって、後半の犯罪組織のアジトで大暴れするシーンは、完全に「ダイ・ハード刑事 第24話『ガットマンを皆殺しの巻』」的な“いつもの彼”にしか見えませんでしたけど、「“TKの怪物”を倒すために、罪のない子どもを2人も殺して、自分も怪物化してしまう」という皮肉な展開がイイ感じ。あの“心が折れそうになると自分の魂を救ってくれた奧さんの写真を入れた懐中時計にすがる”姿にも、胸を掴まれました…(しみじみ)。
ゴツい銃を両手に撃ちまくる姿は、超お馴染みですな (・∀・) スキダケド
シドの圧倒的なTKを前にしても、妻の写真入り懐中時計を手放さないオールド・ジョー。こういうシーン、結構好き。
そして、最も心を揺さぶられたのが、エミリー・ブラントが演じた母親サラ。ただでさえ、シングルマザー描写が大好物なのに、「アタシったら、遊び歩いて、一番大事な息子をないがしろにしてた!ヽ川TДT)ノ クズデシタ」という猛省要素が僕の胸をハードに直撃地獄拳(なんだこれ)。彼女が庭にある切株を機械で掘り起こさずに斧で何度も切りつけるのは、己に対する戒めなんでしょうな…。それと、「ちょっと体が火照ってきちゃった♪ (^ε^し ウッフン」という“エロ要素”も魅力的でした。
シドのためなら命も投げ出すシングルマザー、サラ。もうね、最高でした… (´Д`;) ハァハァ
つーか、「子どもが超常的な能力を持ってたら… (゚д゚;) ゴクリ」的な話ってスゲー恐ろしいじゃないですか。僕が「超能力を持った子どもって怖い!(/TДT)/ タスケテー」と恐怖したのは、小学生のころ、六田登先生の「カイの旅立ち」という漫画の「少女が担任の先生を超能力で弄んで発狂させてしまう」というくだりを読んだのが最初でして(ウロ覚えですが)。あと、中学生の時、たまたま観たテレビドラマ「魔夏少女」も日本の住宅地が舞台というのもあって非常に怖かったし、「母親が超能力を持つ娘と火の中で心中する」というラストにも心底怯えたのを覚えております。で、この映画のシドったら、人間なんてアッサリ殺せるレベルのTKを備えてるくせに、結構制御が効かなくて、ちょっと怒っただけで簡単に発動したりするんですよ…。
超能力少年シドは感情が昂ぶると、即イヤボーン状態に。
この人がシドのTKで無惨に死ぬシーンはなかなか怖かったです。
シドが暴走すると、さすがのサラもゴツい金庫の中に逃げ込むほどであり、確かに危険すぎる存在だから、オールド・ジョーが殺すのもアリな気がしないでもないんですが…(という2択を観客も迫られるのがイイネ (o^-')b ナイス! )。やっぱりここで大事なのは愛情なんです。クライマックス、シドのTKが暴走して、凄まじい力の奔流にサラも巻き込まれるんですけど、その状況に怯えながらも毅然とした態度で、「大丈夫よ… 川;´∀`)」と優しくシドに語りかけて落ち着かせる姿には全僕が号泣!ヽ(TДT)ノ 世間では「マジ、母の鑑だよネー 川・∀・)(・∀・し ネー」とサラの評判がうなぎ登りであり、僕もね、寝かしつけを拒否して暴れる娘の指が鋭く眼球に突き刺さろうとも、これからもテトに噛まれたナウシカのような慈愛に満ちた気持ちで育児をしようと、あらためて強く決意した次第でございます(なにこの文章)。
シド役のピアース・ガノン、不気味だったり、純真に見えたりと、さまざまな表情を見せて良かったです。
と、好きなところをダラダラ書いて来ましたけど、微妙に思うところもありまして。とにかく設定について考えると、いろいろと違和感を感じてくるというかさ。例えば、誰もが「過去の人間にわざわざラッパ銃で殺させなくても、直接焼却炉に送っちゃえばいいじゃん (`∀´)」とか「30年後に襲われるのは知ってるんだから、もう少し用心すれば良いのに… (´・ω・`)」とか思うじゃないですか。ヤング・ジョーとオールド・ジョーが戦うシーンが予想以上に少ないのも拍子抜けしましたよ。キッド・ブルー(ノア・セガン)とエイブも“何らかの謎”に関わってくるのかと思いきや、単なる“無能な悪役”と“思わせぶりな幹部”だったのも残念でしたね~。
キッド・ブルーは「実は後の○○である」みたいな展開になるのかと思ってたんですが…。
エイブも大したことなかったなぁ。ちなみにジェフ・ダニエルズの名前を見た時は「この人、出てたっけ?」って間違えちゃった (*ノ▽ノ)キャッ
ただ、現在と地続き感のある未来描写は嫌いじゃなかったし、オッパイが出るシーンもちゃんとあるし、トータルでは好きなところだらけなので全然OKというか、僕は大好きな映画でした (´∀`) マンゾク 細部が気になって乗れない人もいるとは思いますが、そんなに期待値を上げずに観れば、それなりには楽しめるんじゃないかしらん。
※宇多丸師匠の実にタメになる批評がアップされてるので、ぜひ聴いてみて! 「刑事ジョン・ブック 目撃者」とか、すっかり忘れてましたよ~。
ライアン・ジョンソン監督×ジョゼフ・ゴードン=レヴィット主演作。未見ですけど、評判良いですな。
BRICK‐ブリック‐ [DVD]
アーノルド・シュワルツェネッガーの出世作。大好きです。
ターミネーター [Blu-ray]
この映画を作るにあたって、ライアン・ジョンソン監督が影響を受けたという村上春樹先生の著作。
世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド 上巻 (新潮文庫 む 5-4)
「子どもが超能力!」ということで、大友克洋先生の名作漫画も貼っておきますね。
童夢 (1984年) (アクション・コミックス)
なんとなく思い出したタイムトラベル映画。
バタフライ・エフェクト プレミアム・エディション [DVD]