伊豆高原メガソーラーパーク反対派は実質的に原発擁護、闘う点の誤りである。 | LED電球・照明の亀石屋

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先端複合材にまみれてソーラーカーとか作ってた筆者が伊豆の山でマスプロダクションに正面突破を挑む!準備をはじめよ。っとお告げがあった、夢を見た。ような気がしないでもない。

伊東市の八幡野、赤沢で計画されている伊豆高原メガソーラーパーク。この反対運動が盛り上がっていると静岡県のマスコミは連日のように報道しています。

 

先日の伊東市長選においてはどちらの候補もメガソーラー反対を訴え、当選した小野達也市長は6月2日に、事業者に白紙化を含む見直しを求めるための第1回研究会を市役所で開いたようです。

 

結論から言えば、これは伊東市か静岡県が事業者から訴えられ、莫大な保証金(売り上げ300-建設費120=180億円程度?)を税金から支払う可能性が高いと感じます。伊東市民にその覚悟があるのか、反対運動体の発信する情報は抽象的イメージばかりで、マクロ視点や具体的な技術的考察がありません。

 

伊東市当局も事業者と争う姿勢のようなので今後はそういう事は減っていくのかもしれませんが、そう感じる理由を簡単に述べていきます。

 

前提として、僕は事業者の説明会や、市の研究会、いずれも出席していません。反対運動には加わっていません。もちろん事業者側の人間ではありません。反原発運動に参加し、伊東市の隣、伊豆の国市在住で複数のミドルソーラーを運営しています。

 

よって僕もまだ本気ではないので、ネット上に存在した断片的情報を頼りに雑に述べます。

 

まずは世界的視点から。

再エネ拡大により原発稼働の理由がますます無くなっている現状を示します。

去年2016年の時点で太陽光と風力発電を合計した累積導入量は原発の約2倍になり、その量はどんどん増えています。

 

日本全体の自然エネルギー発電量の比率は約15%、原発は1.7%です。

 

2016年5月4日には自然エネルギーだけで日本国内電力需要の46%を賄いました。このグラフから黒色で示してある原発の無意味さが分かります。

 

そして瞬間値とはいえ問題なく46%の実績が出たということは日本全体の自然エネルギー発電量の比率15%はまだまだ伸びしろがあることの証明になります。

 

要するに、世界でも日本でも(注)再エネは伸びていてその流れに沿わないことは地域の衰退を意味するに等しいのです。今はまさに、エネルギー革命の真っ只中にあるのです。

 

さて、伊東市に戻ります。計画の全体図がこれのようです。

分かりにくいのでこれを伊東メガソーラー建設の中止を求める会http://ito-ms.chu.jp/ が作っています。

造成面積48.7ha パネル定格約40.7MW(報道によって42MWとか43MW)事業認定された売電単価は36円/Kwh ?かな?

 

そうするとおそらく16億円/年 程度の売電収入があります。FITは20年なので経年劣化を考慮し20年で300億円程度の売り上げが想定できます。事業者に撤回を求めると言う事はこれを無しにしろと言っているのです。争いに負けた場合、相当額が請求されるでしょう。

 

建設費は最近の相場から大雑把に、2.6億円/1MWかかるとすると110億円〜120億円くらいかかるかなと予想できます。

 

固定資産税税率は1.4%なので評価額100億円としても1.4億円/年の税収増ですよ。これを恩恵0と言い切ってしまう反対派の感覚は普通であれば理解されないでしょう。

 

 

次に予定地の航空写真を見てみます。

伊東メガソーラー予定地

これを見るとすぐわかるのですが、分からない方には比較として函南原生林を示します。縮尺は同じです。

函南原生林

はい。現場確認はしていないので推測だけど予定地はほぼ杉か桧の人工林のようです。人工林は7割くらいが間伐されず下草も生えない悪い状態であるとよく言われています。実際、山を所有している僕の家では、手入れなんてできるはずもなくずっと放置でした。植林しても木材の価値が実質無く、税だけを払い続けなければならない山の管理なんてできません。

2018年1月16日に現場を見て来ました。

伊豆高原メガソーラーパーク予定地現場視察レポート

 

そして富士箱根伊豆国立公園の地図はこれです。

メガソーラー予定地はだいたい206と書いてる黄色で記しをしたあたりです。

 

メガソーラー予定地は区域外、別荘地が2種や3種特別地域に食い込んでいることが分かります。区域外の山はかつて人の手が入り、みかん畑や薪、茅などの供給地として利用されていたが、木材生産の為に植林された後、管理放棄されている歴史があります。人の手が入っていなかった貴重な土地がその後、別荘地として開発されました。なので、別荘地が保護すべき土地である特別地域として指定されているのです。主にそこの住民がメガソーラー反対を言っています。別荘地は都市部からの移住者がとても多い地域です。

 

土地面積を客観視できない方がいるので参考に予定地周辺でのゴルフ場と比較した航空写真を載せます。40.7MWはだいたい18ホールと同じくらいかな。

 

反対団体は複数あるようですがここで、建設の中止を求める会のビラを示します。

心配はもっともだと思います。整理して大まかに分けるとこういう事だと思います。

 

①木の伐採による山の保水力低下、土砂災害への不安。

②除草剤など管理による環境汚染

③設備の破損による危険

④生き物のすみかを奪う影響

⑤景観の問題による資産価値低下

 

大前提ですが、現状メガソーラーを禁止する法律はありません。初めの説明通り再エネは普及させるべきものであるからです。ここでは、上記反対理由に具体的根拠をつけるべきであるという話をしていきます。逆にいえば、以下について正確に回答できれば反対運動にとって説得力ある内容となります。

 

①予定地が管理放棄人工林であれば、本当に伐採により危険性が高まるのか疑わしい(現状のほうが危ないのではないか?)管理放棄人工林と、水路や調整池を設け管理された山とどちらが危ないのか、数字で検証すべき。

 

②事業者は除草剤は使わず、現地雇用により草刈りを行うとしている。

 

③強風による設備破損についてはその技術基準が制定され今後は問題ある設備は設置できないことになっている。

 

④予定地が管理放棄人工林であれば、そこには生物はあまり存在しない。

 

⑤景観の善し悪しは主観的に判断され、現状ではソーラーパネルが見える景観は悪いと多数が思っているようなのでその配慮は求めてもいいかも。(ただし予定地は国立公園区域外であり法律上の縛りは効かない)

 

余談だけど、田畑が広がる田園風景を、原生林しか知らない狩猟採取生活をしている太古の人々が見たら「景観が悪い」と言うのではないだろうか? パリのエッフェル塔の建設時に醜いから建てるなと沸き起こった景観論争を知ってるかな?

 

ソーラーパネルや風車が広がる景観は自然と生きる人類の象徴であり美しく見えるし、そう意識していけば景観の主観的な社会的評価は変わってくるし、変えるべき。参考記事→ルイ・ヴィトンから伊豆高原メガソーラーを見る(日本人の気候変動リスク認知はとても低い)

 

こんなところでしょうか。

 

ここからは反原発運動に参加し、原発の存在理由を少しでも減らす為に、地域で先端走ってミドルソーラーを設置してきた僕の考えです。

 

予定地は元はJALの所有だったものが地元不動産屋になり事業者に渡ったようです。地価はおそらく二束三文だったでしょう。

 

山や海の自然が、環境が、生き物が、と反対運動を起こしている方々がなぜ、その二束三文の時に山を買って環境保護運動、トラスト運動を展開してこなかったのでしょうか? 今までそれらに無関心だったのではないですか?荒れた山を見て何か行動していたのですか?山の税金を払っていたのですか?そもそも山が荒れていることを知っていますか?

 

ゴールド川奈カントリークラブに農薬撒くな。大室山を自然林に戻そうとなぜ言わないのですか?あなたの住んでいる別荘地の開発は自然破壊ではないと言うのですか?

 

土地面積を東京ドームに例えるって、静岡県民には全然分からないのです。ビラでそれ書いてるのは、反対派が地元とは縁が薄い証拠なのでは?

 

再エネをまるで原発と同様に扱い、イメージで感情的に反対運動が展開される動きは、原発推進派を利するだけです。実際、過激な太陽光発電反対派と原発推進派はほとんど同じ事を言って再エネ攻撃をしています。

 

東京資本が地方から収奪する形である「伊豆高原メガソーラーパーク」のようなタイプの開発には自治やエネルギーの地産地消の観点から問題があります。なので、闘うべきはその形であって、再エネそのものではありません。ドイツでは再エネ設備の多くを市民出資型が担い、このような反対運動は無いと聞きます。

 

12000人以上もの署名を集めるパワーを一人10万円の出資を求める方向に使えば12億円も集めることができます。これは今回のメガソーラー計画の10%程になります。

 

10万円で毎年1万円配当が20年続く。こういう事ができるのです。

 

従って事業者とは敵対するのではなく、地域を共に作る仲間として交渉をしていくべきです。ルールに従って動いていた事業者に後からルールを押し付けたり、やめろと糾弾してもそれはルール違反でしょう。事業者が意固地になるのは目に見えています。

 

反対団体には自ら動いてこなかった反省をもとに、地元にとっていい物を共に作るという発想の転換が必要です。感情的な言動に共感は生まれません。

 

具体的には、

 

伊東市民限定出資枠を設け、発電所の市民所有分を求める。

 

雑草対策、設備管理、保守、などは市民に任せる制度や報酬を求める。

 

伊豆に密着している金融機関からの融資を求める

 

これだけあれば、あとは自治が働き十分ではないでしょうか。

 

参考ですが、実際の運営の経験から、太陽光パネルは雨滴を地面に直撃させないので土の粒の隙間を保ち、地表流が発生しくにくく土壌の保水力保持に効果があると実感しています。パネルの下にだけはすぐにコケが生えてきます。コケは多くの植物の足場となります。

 

除草剤や防草シートではなく、草を生やせ刈る、あるいは羊などに食わせるなどの管理によって見栄えはもちろん、防災上も効果あるのではないかと感じています。そういう方法を求めていくのもありかと思います。(事業者は草刈りによる管理を行う計画と確認)

 

尚、この見解は参加している緑の党とは関係無く、僕個人の考えです。

 

谷壮一

 

https://www.facebook.com/tanisoichi/posts/10212963562588246

 

7月24日追記↓

ほんとこれメガソーラー反対派はちゃんと読むべき。 山を知らない都市生活者や移住者の「伐採=悪」との決めつけは誤りです。

 

森林を伐らないで守ったり、植えて回復しなければならないのは概ね海外(熱帯林の違法伐採等)の事情で、日本とは異なります。日本の森林資源は使われずに余っていますhttp://www.shinrin-ringyou.com/ringyou/ 

 

 

続きの記事を書きました。

 

伊東市メガソーラー反対派はレイシストとお友達。

 

伊豆高原メガソーラーパーク予定地現場視察レポート

 

「自然を守るといいながら自然を壊すのはおかしい」が58倍おかしい理由の計算-伊東市メガソーラー

 

これが太陽光パネルの不法投棄現場だ!?太陽光発電が憎いと見えてくる?伊東メガソーラー反対派の見識

 

メガソーラー反対の全国的盛り上がりは何に繋がるのか。