8/7(日)の将棋入門コースで、ノートを片手に対局しているM君を発見した。棋譜(きふ)を記録しようとしているらしい。棋譜とは対局での指し手の記録のことで、あとで家に帰ってから棋譜をみながら対局を再現して、研究することができる。
このM君は、まだ、低学年のはずだが、棋譜を取ろうとするところは大したものだ。将来絶対に強くなるだろう。でも、この日のM君は、棋譜の取り方に苦労していた。それはそうだろう。私は昔、他人の対局の記録係をする機会を多く経験したが、指し手に遅れないように他人の将棋の棋譜を取ることはとても大変なことだ。ましてやこの日のM君のように、自分が対局しながら、その棋譜を取るのはものすごく大変なことだったと思う。
そこで今回は、覚えておくと便利な、略字(りゃくじ)を紹介し、素早い棋譜の取り方を説明しようと思う。
まず、略字について説明しよう。「略」とは「省略」(しょうりゃく)の「略」のこと。例えば、「角」という字を「ク」という文字で表すことだ。以下に、駒別の略字を紹介しておこう。略字には元の字の一部で表したものや、全く別の記号で表したもの、読み方の「音」(おん)をカタカナで表したものなどがある。
◎駒別の略字一覧
「王」、「玉」・・・「○」
「飛」・・・「ヒ」
「角」・・・「ク」
「金」・・・「人」(金の上の部分)
「銀」・・・「ヨ」
「桂」・・・「土」
「香」・・・「禾」または「↑」
「歩」・・・「ゝ」または「フ」
「竜」・・・「立」
「馬」・・・「マ」
「成銀」・・・「ナヨ」
「成桂」・・・「ナ土」
「成香」・・・「ナ禾」または「ナ↑」
「と」・・・「と」(これは同じ)
では、実際の棋譜の取り方を、いくつかの例で示す。
「7六歩」→「76ゝ」または「76フ」
「5二金右」→「52人右」(右や左はそのまま表記)
「3三角成」→「33クナ」(成りは「ナ」と表記)
「同桂」→「-土」(-は長めの横棒)
「2六歩」→「26ゝ」または「26フ」
「4五桂」→「45土」
「2五歩」→「25ゝ」または「25フ」
「5七桂不成」→「57土フナ」
「2四歩」→「24ゝ」または「24フ」
「同歩」→「-ゝ」または「-フ」
「同飛」→「-ヒ」
「6九桂成」→「69土ナ」
「同玉」→「-○」
「9九角成」→「99クナ」
「2一飛成」→「21ヒナ」
「8九馬」→「89マ」
「1一竜」→「11立」
「3二銀」→「32ヨ」
「2二歩」→「22ゝ」または「22フ」
「4二金打」→「42人打」(打はそのまま記入)
「2一歩成」→「21ゝナ」または「21フナ」
「5四香」→「54禾」
「3一と」→「31と」
「5七香成」→「57禾ナ」
「5九金」→「59人」
「6七成香」→「67ナ禾」
・・・以下省略。
上記の将棋は、将棋を覚えたばかりのお友達同士の激しい将棋だが、盤に並べて、略字記号を覚えてみよう。
なお、棋譜を取る練習は、毎週日曜のNHK杯将棋トーナメントでやってみるのがよい練習になる。岡南公民館こども将棋教室がない日には挑戦してみるとよいだろう。
次回は宿題詰将棋の回答を掲載する予定。