アルジャーノンに花束を | 本との出会いは、師との出会い。

本との出会いは、師との出会い。

智慧は、先生から指導されて身につけるものではなく、自ら学ぶものです。ですから、先生が本であっても、生徒の意欲が高ければ、学習の成果が期待できます。書店には、素晴らしい先生方が、時代を超えて、いつでも待っています。

2015年4月、山下智久さんを主演に据え、TBSでドラマ化された『アルジャーノンに花束を』を観た時、原作が読みたくなったので、手に入れておいた本を開いてみた…

'15にTBSでドラマ化された『アルジャーノンに花束を』の原作。チャーリーは知能が低いために、自分に起こっていたことを正確に把握できなかったが、手術によって自分に知能を与えてくれた博士や教授よりも知識のある人間になり、彼らの自己中心的な欲と、自分がアルジャーノンと同じモルモットに過ぎないこと、自分の哀しい記憶の意味を知ることになる。

やがて過去に周囲から受けた仕打ちに囚われ、自らをコントロールできなくなることも…この物語を読むことによって、読者は自分が固定された視点からしか世界を見ていないことに気付くのだ。

原書でも、冒頭の記述は、たどたどしいそうなのですが、これがどのように変わっていくのか、好奇心が刺激されます。

久しぶりに著者のストレートな思いが伝わってくる物語に出会いました。知るという事は良いことばかりではない。チャーリーは、手に入れた知能によって、解釈できなかった記憶にすら苛まれる。トリックやギミック、マジックなんて使わなくても、多くの読者が見て見ぬふりをしている真実を描くことで、読者の心を揺さぶるような物語が描けるという素晴らしい例になっていると思います。

生きることの意味や家族のことを自らに問う切っ掛けになる作品でした。


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