三つの名を持つ犬 | 本との出会いは、師との出会い。

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智慧は、先生から指導されて身につけるものではなく、自ら学ぶものです。ですから、先生が本であっても、生徒の意欲が高ければ、学習の成果が期待できます。書店には、素晴らしい先生方が、時代を超えて、いつでも待っています。

三つの名を持つ犬 (徳間文庫)/徳間書店




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始まりでは、若干リアリティが足らない物語りだと感じたが、読んでいる最中の冷静な意識とは裏腹に、私の眼は急いで次の展開を追っていた。



 モデルの仕事に陰りが見えていた草間都は、愛犬エルとの暮らしをブログに綴ることで新たな仕事を得ていたが、ある夜、不注意からエルを死なせてしまう。エルそっくりの犬をホームレスが飼っているという情報を得た都は、その犬を手に入れる方法を計画するのであった。



 『凍える島』『薔薇を拒む』と近藤史恵さんの中では、重めの作品を続けて読んだので、この『三つの名を持つ犬』の希望を感じさせる最後に癒された。



 物語りの始まり、私は「そんなことあり得ないだろう、リアリティがないなあ」と心の中で呟く。しかし私の眼は、そんな私の意識とは裏腹に、まるで走るように次の活字を追うのであった。近藤史恵さんは、いつも想像を超える展開を繰り出し、私の期待を裏切り続ける。自虐的になった私は、そんな仕打ちを受けたくて次の作品に手を伸ばしてしまうのだ。おそらく、他のファンの皆さんも、私と同じような気持ちで、近藤史恵さんの作品を次から次へと手にとってしまっているのではないだろうか。



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