狼の寓話 | 本との出会いは、師との出会い。

本との出会いは、師との出会い。

智慧は、先生から指導されて身につけるものではなく、自ら学ぶものです。ですから、先生が本であっても、生徒の意欲が高ければ、学習の成果が期待できます。書店には、素晴らしい先生方が、時代を超えて、いつでも待っています。

狼の寓話―南方署強行犯係 (徳間文庫)/徳間書店




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 私が初めて出会った近藤史恵さんの作品は、文芸界の話題をさらい、大藪春彦賞を受賞、さらに本屋大賞でも二位につけた『サクリファイス』であった。でも、近藤史恵さんは、『サクリファイス』ブレイクする15年も前に第四回鮎川哲也賞を受賞してデビューした作家さんなのである。



 そんな近藤さんの作品なのにも関わらず、私は「近藤さんは刑事モノも書けるの?」と半信半疑で読み始めた。最初は奇妙な寓話とありふれた刑事モノが交互に出てくる構成が気になるが、徐々に寓話の世界と容疑者の動機の間に繋がりが浮上し、近藤史恵さんならではの視点から観た世界が広がってくる。



 人物には親しみが感じられ、交わされる会話も心暖まるものだし、夫婦間に発生する問題についても鋭く切り込んでいるという面もある。そして狼の寓話は、決して子供向けとは言えないが、まるで長い年月に磨かれたかのような深さを感じる話しで、これだけでも成立しそうな完成度の高い物語であった。



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