賢者はベンチで思索する | 本との出会いは、師との出会い。

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智慧は、先生から指導されて身につけるものではなく、自ら学ぶものです。ですから、先生が本であっても、生徒の意欲が高ければ、学習の成果が期待できます。書店には、素晴らしい先生方が、時代を超えて、いつでも待っています。

賢者はベンチで思索する (文春文庫)/文藝春秋




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浪人している弟の不審な行動に疑念を抱き苦しむ久里子。事件解決に乗り出したのは、いつも同じ窓際の席で何時間も粘る老人だった。ほのぼのとした物語、登場人物に感情移入した頃に、大きなミステリーの幕が開く。



 久里子は、洋服が好きだったから服飾関係の専門学校を選んが、就職先が決まらずファミレスでバイトしていた。同じウェイトレスの美晴から「拾った子犬を飼って欲しい」頼まれるのだが、子犬は病気で死んでしまう。すっかり子犬を飼う気になっていた久里子の母は、保健所から犬を譲り受けるのであった…



 『サクリファイス』が刊行された2007年8月の2年3ヵ月前に当たる2005年5月に刊行された『賢者はベンチで思索する』は、ほのぼのとした日常の中に潜む悪意が描かれている。一話から二話にかけては、久里子と老人の私立探偵物語に、久里子と弓田の恋愛物語が加わってハッピーエンドで終わるのかな?と思っていた筋書きは、三話に入って大きな展開を迎える。



 この物語りは、信じていた人を疑わなければならなくなるという苦しさを味わう物語りで織りなされている。話をしなくなっていた弟、幼い頃の友達、助けてくれた老人、久里子は、事件を解決しながら過去と現在、そして未来の自分と折り合いをつけてゆくのであった。



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