ふたつめの月 | 本との出会いは、師との出会い。

本との出会いは、師との出会い。

智慧は、先生から指導されて身につけるものではなく、自ら学ぶものです。ですから、先生が本であっても、生徒の意欲が高ければ、学習の成果が期待できます。書店には、素晴らしい先生方が、時代を超えて、いつでも待っています。

ふたつめの月 (文春文庫)/文藝春秋




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ミステリーには、どんでん返しがつきものだ。最後に、より大きな悪が控えていることが多い、しかし、この作品は、真相が、より穏やかという稀有な作品だ。読者は、最後に、ホッと胸をなでおろし、余韻に包まれる。



 近藤史恵さんの作品では、主人公はスーパーマンやスーパーウーマンであることが少ない。どちらかというと、ありふれた若者で、むしろ、人生が上手く行っていなかったり、小さな悪意からつまずいてしまったりして、事件や謎に引き込まれる。そして、彼らの謎解きを助け、時として謎そのものになる脇役たちが、物語りに彩りを添える。



 近藤史恵さんは、優しい、そして、ちょっと意地悪だ。読者は、筋を辿りながら、久里子に、弓田に、赤坂に、こうなって欲しい、こうあって欲しいと願う。その願いは、裏切られることが多い、そう、より良い方に、または、より悪い方に、でもそこが、この物語りの魅力なのだ。



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