警官の血 | 本との出会いは、師との出会い。

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智慧は、先生から指導されて身につけるものではなく、自ら学ぶものです。ですから、先生が本であっても、生徒の意欲が高ければ、学習の成果が期待できます。書店には、素晴らしい先生方が、時代を超えて、いつでも待っています。

警官の血〈上〉 (新潮文庫)/新潮社

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 警察小説なら佐々木譲さんと薦められた時、『警官の血』というタイトルから。警官が銃で撃たれて殉職するような話を思い浮かべてしまい、読むのを躊躇していたのですが、DONAさんが「おススメです。血筋の話ですよ」と早とちりを解いてくださったので、読んでみました!

 前半は、私が生まれる10年ぐらい前、街に第二次世界大戦の傷が残っている頃の物語り… 主人公の成長譚のような淡々とした描写で、同期の友情物語?が続きますが、決して退屈ではないところが流石です… 伏線なのか?と思いながら読み進めていると、後半の息子の代になったとたんに胸が締め付けられるような展開になり『笑う警官』『警視庁から来た男』と同じ作者とは思えないほど底力のある盛り上がりを見せ付けられました。

 直前に『ビブリア古書堂の事件手帳』を読んだ後だったので、尚更そう思ったのでしょうが、これが大人のための小説だ!という感じでした。私と同じような誤解をしている人がいたら、血筋の話ですから大丈夫です。是非、手に取ってみてくださいね。下巻も楽しみです。
警官の血〈下〉 (新潮文庫)/新潮社

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 読み終わって、大河ドラマみたいだなぁ~と思ったら、解説に「大河小説である」と書いてあった… 

 上巻第二部の民雄は、光が射したと思ったら再び奈落で気が滅入ったが、下巻第二部の民雄も、負けず劣らず波乱に満ちた内容だった。父と同じ天王寺駐在所勤務になって少しずつ本来の自分を取戻して行く様に見えた民雄だが、父である清二が追っていた事件を知り、清二の死にまつわる謎に捕らわれて再び正気を失ってしまう。そして第三部の和也には、祖父や父とは違う現代的な波乱が待っていた。

 謎は、一応解かれるのだけれども、証拠不十分?でモヤモヤが残る。また、読者に委ねられているのだろうが、登場人物の心理などに疑問を感じるところも多く、読後感はあまりよくなかった。

 佐々木譲さんは、私より8歳先輩(学年では、9年先輩)なので、良くも悪くも、その世代の男性が書いた小説って感じがして、僅かではあるけれども、世代の相違を感じた。まさに大人の男のための小説という感じがした。続編もいずれ読みたいと思う。

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