映画「おとなの事情」平成29年3月18日公開 ★★★★☆

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新婚のコシモとビアンカ、反抗期の娘に手を焼くロッコとエヴァ、マンネリ状態のレレとカーロッタといった面々が、ディナーで集まった。

その席でエヴァが、各自のスマートフォンに電話がかかってきたらスピーカーにして全員の前で話し、

メールが届いたら公開するというゲームを提案。早速ゲームを始めるが……。(シネマ・トゥデイ)

 

3組の夫婦に独身男一人。

男女7人が月食の夜、食事会をしていて、「秘密暴露ゲーム」をしようという・・・・

アイテムは7台のスマホ。

外部との接点は7台のスマホのみ。

時々タバコを吸いにベランダに出たり、キッチンに立ったりする以外はほぼダイニングルームの閉鎖空間・・

という典型的なシットコムで、まったく目新しさのない設定なんですけど、なぜに評価が高い?

 

登場人物は、まずホストファミリーの

①夫 ロッコ  医師 (美容整形の医師だとわかります)

②妻 エヴァ 心理カウンセラー

 娘  ソフィア 

 

おさないこどものいるちょっと倦怠期の夫婦

③夫 レレ 

④妻 カルロッタ

 

新婚ほやほやの夫婦

⑤夫 コジモ  タクシーの運転手

⑥妻 ビアンカ

 

そして独り者の

⑦ ペッペ

 

口うるさいエマヌエラと別れて最近ルチアという恋人ができたペッペ。

彼女は風邪をひいて今日は欠席ときいてみんながっかりです。

 

7人の男女が入り乱れてしゃべりだすものの、けっこう個性の強いメンバーなので、不思議なくらい混乱しなくてすみました。

名前を正確に言える人はいないものの、

ロッコ役の人→ 「神様の思し召し」の主人公の外科医

エヴァ役の人→「カプチーノはお熱いうちに」のヒロイン

ビアンカ役の人→「夏をゆく人々」のお母さん・・・・と出てきたとたんにわかりました。

私も意外とイタリア映画みてるんですね。

 

スマホは「生活のすべてが記録された禁断のブラックボックス」としながらも、

私たちの間に秘密はないよね?ないなら問題ないよね?と

 

★スマホをテーブルの上に出し、かかってきた電話はスピーカーフォンにしてみんなに聞こえるようにする

★受信したメールやLINE(のような通信アプリ)はみんなに披露する

 

というルールでゲームが始まります。

そして案の定、申し開きのできないような電話やメールがじゃんじゃんやってくる・・・というわけです。

 

ビアンカ以外の6人は同世代の幼なじみなんですが、結婚生活の長さはまちまちなので、夫婦の抱える問題は違い

それぞれに身につまされるものがあります。

 

ここから先は結末に触れているので、これから観ようという人は読まないでください。

 

 

年頃の娘のバッグからコンドームが出てきたことで、ロッコとエヴァは言い争いになり、

また「カウンセラーは無駄」と言っていたロッコが妻以外のカウンセラーに相談していたこと、

エヴァも夫以外の別の病院で豊胸手術を計画していることがわかって気まずい雰囲気です。

 

夫婦関係が冷えきっているレレとカルロッタ夫妻は、それぞれ出会い系で知り合った異性との関係が分かってしまいます。

同居している気難しいレレ母親老人ホームに入れようとしているカルロッタのたくらみも暴露されます。

 

新婚で早く子供を授かりたいビアンカなのに、コジモが会社のマリカを妊娠させてしまったことが発覚。

ビアンカのスマホにも元カレからのメッセージが頻繁にはいります。

 

そしてペッペの元へは、妹からの電話で、最近臨時教諭をクビになり職探しをしていることがわかり、

そして最大のカムアウトは、「ペッペがゲイ」だということ。最近できた恋人というのは男だったのです。

実は、同じ機種のスマホを持つレレから、自分の浮気をごまかすためにスマホを交換しようと頼まれて

逆にレレに「ゲイ疑惑」が浮かび上がってしまったんですが、この時のみんなのあまりに冷ややかな対応に

ペッペはなかなかゲイだというチャンスを失ってしまうのですね。

 

遊びのつもりがどんどんシリアルモードに。

カルロッタは飲酒運転で死亡事故を起こし、夫に身代わりになってもらった罪悪感から言いたいことが言えなかったと言い

コジモはマリカだけでなく、エヴァとも不倫していたのです。

 

まさにどこを見ても秘密だらけ。

パーティーはお開きになり、月食も終わって、また明るい満月となり、みんな元のさやに戻っていく・・・・

って、なんかもう修復不可能なカップルのいるような気がしますが。

 

まあ、悪い話ばかりでもなくて、ソフィアから「BFとお泊りデートしてもいい?」の電話に対する父のロッコの答えが素敵でした。

 

「心の準備がまだ出来てないのに(お泊りを)断ったら彼が怒る」というソフィアに

「一生忘れることのない大切な瞬間なのだから、自分が笑顔になれると思うなら行っておいで。

確信が持てないならやめなさい。まだ時間はたくさんある。急ぐ必要はない」と。

実はソフィアにコンドームを持たせたのは父親だということもわかり、プロのカウンセラーのエヴァは形無しです。

いくらプロでも自分の娘だと冷静な判断ができないということでしょうか。

 

男女をWindowsとMacに例えているところも面白かった。

WINDOWS→ ウィルスに弱くて、違う作業を同時進行できないから「男」

MAC → 直観的で互換性が低いから「女」

 

それから、エヴァの豊胸手術の件ですが、「本当はもっと重大な病気を隠している」パターンだと私は思ったんですが・・・

豊胸手術はとっさにウケを狙って、でまかせ言ったと思ったんだけどな。

彼女は「カプチーノはお熱いうちに」で乳がんを告白するシーンがあったので、その印象があってそう思ったのかもしれませんが。

 

 

けっこうなセリフのボリュームなので、ほかにもいろいろ言ってたんですけど、思い出せるのはこれくらい。

公開館が少ないので、あわてて観に行ったんですが、DVDで細かいところをもう一度見直してみたい気もします。

どうしても劇場でみなければいけない、って感じでもなかったです。

日本人にはピンとこないところもたしかにありますが、やっぱりイタリア映画は面白い!