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山河ノスタルジア

2016年05月28日 テーマ:映画

画「山河ノスタルジア」平成28年4月23日公開 ★★★☆☆


1999年、山西省汾陽の小学校で教師を務めるタオ(チャオ・タオ)は、

炭鉱作業員リャンと実業家のジンシェン(チャン・イー)から求愛されていた。

その後タオはジンシェンを結婚相手に選び、二人の間に男の子が生まれダオラーと名付けられる。

2014年、離婚して汾陽で一人暮らしのタオは離れて生活しているダオラーと久々に顔を合わせるが、

ジンシェンと一緒にオーストラリアに移り住むことを知らされ……。(シネマ・トゥデイ)


日経のシネマ万華鏡で★5つ付いていて、とても気になっていた作品。

3つの時代を生きる女性の姿を通して時の流れを描いているようで、なんか面白そう・・・

ル・シネマの短観上映だったんですが、ようやく今日になって見られました。


女性の生涯というなら、戦後~文革時代~現代・・・なんていうのを想像していたら大違いで、

① 1999年  25歳

② 2014年  40歳

③ 2025年  51歳 

の3つの時代です。

なんと、③なんて近未来だから、びっくりです。


時代を描き分けるのにモノクロ~初期のテクニカラー~最新のカラー技術のような区別はよくやりますけど、

1999年にはすでにカラー映画だったから、本作では画面の大きさで時代を表しています。

最初はほぼ正方形→ビスタサイズ→スコープサイズ と、だんだん横幅が広くなっていきます。


まずは1999年。

「GO WEST」の音楽に合わせて踊りまくる若い男女たち。

20世紀最後の春節で、もうすぐマカオがポルトガルから返還されるという時代です。

タオとジンシェンとリャンズーは、幼なじみの仲良し3人組ですが、

女ひとり男ふたりですから、25歳ともなると、まあよくある三角関係となります。

女性のタオは学校の先生、ジンシェンは(家が裕福なのか商才があるのかわかりませんが)やたら羽振りがいい。

リャンズーは地元の炭鉱ではたらくやさしい青年です。


タオ役の女優さんは「ある海辺の詩人」でイタリアに出稼ぎにきてるヒロインを好演していたし

ジンシェン役の俳優さんは「最愛の子」で準主役だったから、そんな下手な人ではないと思うんですが

この三角関係のくだりは、今まで見たどんなメロドラマよりも陳腐で、演技もひどく思えました。

脚本もですけど、実年齢アラフォーの人たちが25歳をやるのだから、もうちょっとメイクとか頑張ろうよ!

40歳のおばさんがポニーテールすれば若返るってもんじゃないと思います。

しかもこの妙齢の女性は、すべてのシーンで同じ派手なセーターを着ています。

服も買えないような家ではないはずですが、このセーター、10年以上後には、犬の服にリメイクしていました。

それにしても、子どものときからの仲良しが、ある日突然険悪になって殴り合ったりするもんですかね?

ともかく、男二人は絶交して、タオは金持ちで赤いドイツ車を乗り回すジンシェンの妻となります。

ジンシェンは炭鉱を買い占め、そこで働くリャンズーは街を出ていきます。


そして2014年。

別の地方の地下の炭鉱で真っ黒になって働くリャンズー。

彼は妻と子どもと暮らしていますが、咳がとまらず、手術の必要な病気ですがお金がない。

家族はリャンズーの故郷、汾陽に戻ってきますが、

知り合いに借金を申し込もうにも、みんな国外脱出のために大金が必要で、とても言い出せない。

それで、妻は夫には内緒で、タオのところに手術費を借りにいくのです。

タオはすでにジンシェンとは離婚し、一人息子のダオラーの親権も奪われ、、

元夫と新しい妻のもとで、息子は上海のインターナショナルスクールに通っているのですが、

実家をガソリンスタンドに改装して、経済的には安定しているタオは、すぐ現金をジンシェンの家に届けます。


ちょっと前まで元気にしていたのに、タオの父が突然亡くなります。

その葬式に息子のタオを上海から呼び寄せますが、母のことはよく覚えておらず、

すぐ英語をつかったり、新しい母とスカイプしたり、女みたいにスカーフ巻いているのが気に入りません。

元夫は今はピーターと名前を変えており、一家でオーストラリアに移住する計画があるようで
もう最愛の息子とも会えないかも・・・

ダオラーとの別れがつらいタオは、鈍行を乗り継いで上海まで送り、「いつでも帰っておいで」と
家の鍵をふたつ、お守りのように息子に渡すのです。


2025年、オーストラリア。

青年になったダオラーはすでに中国語を忘れていて、中国語のレッスンを受けているのですが
その中年の女教師にあこがれています。

彼女もまたカナダ人の元夫との離婚裁判でもめていて、けっして幸せではありません。

6歳まで普通に中国語をしゃべっていたダオラーがしゃべれなくなるか?って思いましたが

それ以上に絶対おかしいのが、父のジンシェンが全く英語をしゃべれないこと。

息子に米ドル(ダオラー)を名前をつけ、ビジネスでオーストラリアにやってきて11年。

名前だってピーターに改名して、バリバリ事業を広げてきた彼が、英語をしゃべれないなんて!

難しいビジネストークでもなく、息子との日常会話をいちいち会話学校の女教師に通訳してもらってようやくわかる・・・

誰が考えてもおかしいと思いますが、これ、あえてそうやっているのかな?

51歳になったということで、ひげをつけて、お腹になにか巻いているようですが

相変わらずのチンピラ顔で、とってもタワーマンションの住民には思いえません。

近未来にしては車のデザインとか古臭いし、2014年のタブレット端末が、スケルトンになったくらいしか

「未来感」はありませんでした。


ダオラーは自分を拘束ばかりする父の存在が疎ましく、産みの母のタオの記憶を探るなかで

親子ほど年の違う教師と深い仲になっていくのですが、彼女のススメもあって汾陽に戻ることを考えています。


そんなことも知らないタオの話し相手は犬だけ。

散歩に出かけたタオは、開発も進まず26年前と少しも変わらない空き地で

汾陽の文峰塔をバックにひとり「GO WEST」のダンスをするのでした・・・・

そしてエンドロール。


このあとにどんなシーンが用意されているのか、ドキドキしながら待っていたんですが

そのまま終わってしまいました。


そんな肩透かしで終わってしまったんですが、なんというか、言いたいことはわかるんです。

近代化が進む中国・・・豊かな生活、通信手段も格段に進歩してきたのにも関わらず、

人々のつながりはむしろ薄れ、笑顔も見られません。

ジンシェンとタオの夫婦も時流に乗って成功したと思われたけれど、それと引き換えに家族の絆を失ってしまった・・・

大好きなタオをジンシェンにとられ、炭鉱で働き病気になってもお金がなくて治療もできない・・・

リャンズーは気の毒な「負け組」ですけど、貧しいながらも過程をもっていて

妻は愛する夫のために、元カノのタオに頭を下げてお金の工面にいくって、なかなかでことじゃありません。

気の毒ではあるけれど、この家族に不幸の影は感じられないのです。


母とドライブしたかすかな記憶や、どこかで聞いたことのあるサリーイップのヒット曲、

そして「GO WEST」のダンスミュージックが、不思議な力で人と人を結びつけるのですね。

劇中何度もかかる「GO WEST]は、90年代にペットショップボーイズのカバーで世界中でヒットしたので

タオたちの知っているのはこのバージョンだと思うのですが、私は70年代にヴィレッジピープルの

ちょっとゲイっぽい振付の曲で知っています。

ポンキッキで流れた日本語版を知っているという人もいます。


もともと「西へ行け」というのはアメリカの西部開拓のスローガンですけど、

中国だとどう考えても「天竺をめざす、西遊記」ですけど、

この映画の中では「より豊かな西側の資本主義陣営の国を目指そう」ってことなのかな?


そんなわけで、一人の女性の半生を通して今の近代化が進んだ中国の行方を問う映画だったんですが

それにしてはエピソードがとっ散らかりすぎて、回収しないまま終わってしまったのが、
個人的には気持ち悪いのです。

突っ込みどころも多すぎ。

中国の映画だから日本人にはわからなくて当然のところもあるんでしょうが、

たとえば、ジンシェンのキャラ設定が意味不明です。

学業をスポイルして学歴なしで人望もなくて、見た目もチンピラ風情、英語は息子との日常会話もできないレベルで

それでもって実業家として海外進出までできるものか?

いちゃもんつけるつもりはないけれど、この辺は観客を納得させられないとダメだと思います。


小さなエピソードは、ほとんどが「これ必要?」ってレベルだったんですが、中国のリアルと思ってメモしておきます。


①共同浴場では大きな湯船の中で石鹸を使って、石炭で真っ黒な汚れを落としてオッケー

②救急車は(日本では生きてる人しか乗れないけれど)大金を払えば、サイレンを鳴らして自宅まで

遺体を運んでくれる。(12000元+ガソリン代)

③過積載でトラックが傾いて大変なことになってるけど、みんな慌てずに周りを掘ってトラックを動かそうとしてる。

④祭りの人出は尋常じゃなくて、いつ将棋倒しになってもおかしくない状況。

⑤おふくろの味の象徴として使われたのが「麦穂餃子」この地域のソウルフードなのかな?

食べると背がのびるそうです。

⑥父の葬儀で、どう考えてもタオは泣きすぎなんですけど、

老父を見送るのに喪主が参列者の前で大泣きするのは国民性なのかな?


もう一度★が5つ付いた日経の記事を読みましたけど、確かに伝えたいことは伝わるけれど
こんなに雑なつくりでいいのかと、考え込んでしまいます。

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これから読みたい原作本⑯

2016年05月27日 テーマ:原作本
▲ 6月4日公開予定 「探偵ミタライの事件簿 星籠の海」 ← 「星籠の海(上・下)」 島田荘司 講談社




△6月17日公開予定 「帰ってきたヒトラー」 ←(同名) ティムール・ヴェルメシュ 河出文庫



△7月22日公開予定 「トランボ ハリウッドに最も嫌われた男」 ← 「ローマの休日を仕掛けた男 不屈の映画人ダルトン・トランボ」 ピーター・ハンソン 中央公論新社(関連本)



▲10月8日公開予定 「少女」 ← (同名) 湊かなえ 二葉文庫



▲11月26日公開予定 「疾風ロンド」 ← (同名) 東野圭吾 実業之日本社



「トランボ ハリウッドに最も嫌われた男」の原作本は、ブルース・クック著の同名タイトルの本が
世界文化社から発行される、という情報をみたのですが、出版社のサイトにもなく、画像もなく、
公開日に間に合わなそうなので、とりあえず図書館から彼に関する本を借りてきたので
これは一応「関連本」ということにしておきます。

ところでこの映画のタイトル、去年公開された「ロバート・アルトマン/ハリウッドに最も嫌われ、そして愛された男」のパクリじゃありませんか?

「嫌われた脚本家」「嫌われた映画監督」とは言ってないので、どっちのほうが嫌われたのか、気になってしまいます。

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君がくれたグッドライフ

2016年05月26日 テーマ:映画
映画「君がくれたグッドライフ」 平成28年5月21日公開★★★☆☆



持ち回りで行き先を決めて、自転車で1年に1度の旅行に繰り出している6人の男女。
ハンネスとキキの夫婦が今年の旅行先を決める当番だが、二人はベルギーを選ぶ。
ベルギーと聞いて名物のチョコレートくらいしか頭に浮かばない仲間たちだが、
ハンネスは筋萎縮性側索硬化症(ALS)を宣告されており、
尊厳死が認められているベルギーに行って人生を終わらせようとしていたのだ。
それを知ってベルギーを目指し、例年と変わらない楽しい旅を続ける彼らだが……。(シネマ・トゥデイ)

一言で言ってしまうと、不治の病に侵された青年が尊厳死をとげる、というけっこうキツいドラマなんですが、
彼らはドイツ人で、国内では尊厳死が認められないので、仲間たちと自転車でベルギーに向かうのです。
日本では延命治療の拒否以上のことはかなり難しいですけど、外国映画の中に出てくる
尊厳死はあっけないほど簡単で、いつも驚かされます。
最近では「ハッピーエンドの選び方
これは末期がんや認知症になって死にたくてたまらない老人たちが
自分の意志でボタンを押すことで安楽死できるマシンを作った発明おじさんの話で、イスラエル映画です。
イスラエルでは安楽死は有罪ということですが、いくら自分の意志だとしても「自殺ほう助」にはなりそうですが・・・

フランス映画「母の身終い」はもっとすごくて、末期ガンになったしっかりものの老母が、身辺整理し、
その「終活」の一環として、安楽死の認められるスイスに出かける・・・というもの。
自分の足で建物に入った母が何時間か後には遺体で搬出されるわけで、ショッキングだったんですが、
2作とも老人の話でした。
本作では、死を選ぶのは難病のALSとはいえ、30歳そこそこの青年ですから、
残される家族や友人たちの気持ちを思うといたたまれないものがあります。
死を選ぶ本人よりも、周囲の人たちの気持ちによりそった映画ともいえます。

ハンネスは、自転車でツーリングするのが趣味で、
毎年、友人たち(2組の夫婦と2人の独身男性)と遠出するのが楽しみでした。
彼は自分の父親と同じALSを発症し、友人たちには内緒にしていたのですが、
いよいよもう自転車には乗れないことを悟って、目的地はベルギーにしたいとみんなに提案します。
ドイツ人の彼らにとってベルギーは、「フライドポテト」「チョコレート」「スマーフ」
「タンタンのぼうけん」「ジャン・クロード・ヴァンダム」・・
くらいの認識だったので、ハンネスの決意を知って驚き、非常にショックを受けます。
同じ病気にかかった夫を看病して見送ったハンネスの母は、
「パパはその状態から1年以上生きたのだから、あなたも・・」」というと、
「1年延ばした甲斐があったか?」
「私はパパといられて幸せだったわ」と母。

でも、自転車をこげるのもあとわずか、
やがてコップも持てなくなり、呼吸が止まるのを待つしかない自分を受け入れることができず、
どうしても安楽死を選ぶというのです。

弟は「兄貴は戦わずにあきらめた」といい、
「夫が自分を捨てて死をえらぶ」というのだから、妻のキキにとっても残酷な選択です。

そして、一行は自転車でいつものように旅立つのですが、
旅の途中、彼らにはそれそれに課題が与えられます。
ガタイのいい独身の中年男ミヒャエルには「女になる」
恐妻家のドミには「乱交パーティーに参加する」
高所恐怖症のキキには「スカイダイビングをする」
そのほかにも、「未成年者にいちゃもんつけて薬物をかすめる」
「エホバの証人に反論して殴る」などなど・・・

自分を高めるというよりは、「弱点を克服する」課題なんですが、ともかく全員がクリアし、
旅の終わりにベルギーで母と落ち合い、処置をしてくれる医師のもとへ。

約束していた先生が不在で、処置できないと思いきや、代理の医師が簡単に引き継いでくれます。
「すぐ済むよ、いいね」といって、青い液がハンネスの体内へ注入されていきます。

「おれの人生は長くはなかったが充実していた」
「私も行くから、先に寝ていてね」と妻のキキ。
音楽はなく波の音が聞こえ、暗転して1年後へと・・・

スカイダイビングに成功したキキは、今度はバンジージャンプに挑戦していました。

ハンネスのいない世界でも残された者たちは、精一杯生きている。
WASHERE(ここにあり)という文字が浮かび上がり、
ハンネスを失った家族や友人たちも、時間をかけて立ち直り、元気なときの彼のすがたを胸に刻んで
最後の瞬間まで尊厳を保てる安楽死をオススメして映画のほうはさわやかなエンディングでしたが
日本人だったら、ちょっとまだそこまで割り切ることはできない人が多いと思います。

でも日本では、家族や医者の満足だけのために無駄に生かされているケースもないとはいえません。
死ぬことはダメなことで、どんな形でも生きてるほうがいい・・・って、そんなことはないですよね。

学校でもバカの一つ覚えみたいに「命を大切にしましょう」と繰り返され、
死ぬことを考えることすらタブーみたいになってますけど、
死ぬことを考え続けることで、逆に生きることがわかるってものです。

充分に苦しんで、本人が死を望んで、それでもせいぜいが延命治療しないで「自然死を待つ」
っていうのは、どうなんだろう?

これからは私たちの意識も少しずつ変わっていくかもしれません。

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